うつ病ランナー サロマを走る(第1回) | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

1.無言の抗議


 それは1997年、私が37歳のときのことでした。


 25歳というちょっと遅い年齢で就職してから12年。ここまでは順調な公務員生活を送っていました。中間管理職になり、多少の難局は自分で切り開いていけるという自信を持って仕事をしていました。


 私生活においても、子供が2人でき、息子は小学2年生、娘は幼稚園の年長となりました。子供たちは田舎でのびのびと育てたいという希望を持っていた私は、その前年の1996年12月に故郷の美瑛町に家を建てていました。当時北見市で勤務していた私は、家族を自宅に住まわせて単身赴任生活を始めていました。まだ40歳になる前の若さで自分の家を持てたということに、この頃の私は得意の絶頂でした。


 ところが当時担当していた仕事で問題が発生してしまいます。その処理にあたって上層部と地元関係者の板挟みにあってしまい、どんどんストレスを溜め込んでしまいました。連日帰宅は午前0時を回り、酒量もたばこの量もどんどん増えていってしまいます。眠れない日も続くようになります。やがて精神を病んでしまいました。


 2月になって仕事にも行けなくなり、病院で下された診断はうつ病。2ヶ月間仕事を休むように言われてしまいました。


 その翌日から1ヶ月間入院。退院後も1ヶ月間の自宅療養をしました。自宅を建てたものの、単身赴任のため自分が住むことはできず、いつになったら住めるようになるのだろうと思っていました。それが皮肉なことに、病に倒れたおかげで毎日こうしてずっと過ごせるようになりました。


 2ヶ月の休職期間を終えて職場復帰をし、再び単身生活が始まりました。でも復帰後の自分は、それまでの自信に満ちた自分とはすっかり変わっていました。


 定期的な通院をして、抗うつ剤を飲んでいます。そのためでしょうか、頭にはいつも霞がかかっているような感じがして、スムーズにしゃべることもできません。言葉がのどにつかえたり、言いたいことをうまく整理できなかったり、そのため気分もますます沈んでいってしまいます。薬を飲み続けていても、症状が目に見えて改善されることはなく、そんな自分に焦りを感じる毎日でした。


 この状態で毎週末に3時間あまりの運転をして自宅と行き来するのも、とても億劫に感じていました。


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