うつ病ランナー サロマを走る(第12回) | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

 2度あることは3度ある。


 今年もやはりここが限界でした。ここまでは必死で息子の後ろに食らいついてきましたが、3km地点を過ぎると、徐々に息子の背中が遠くなり始めます。


 「くそっ!今年もやっぱり3kmまでなのか?」


 一瞬、弱気が首をもたげます。


 私が離れた気配を察したのでしょう。息子もこちらを振り返りました。その目は「やっぱり今年もか・・・」と失望の色を湛えていました。


 「心配するな!絶対についていくから、そのまま走れ!」


 私は思わず叫んでいました。そうです、昨年までと同じことを繰り返すわけにはいきません。ここでまた同じことを繰り返してしまうと、私はこのままずっとダメおやじで終わってしまいます。どん底の状態からやっと浮上のきっかけをつかめたのに、また奈落の底にまっさかさまに落ちてしまうかもしれません。


 息子に認められる父親になるためにも、ここは絶対についていかなければならないのです。ここからついていくために、この1年間、走り続けてきたのです。死ぬ気で頑張らなければならないときがあるとするなら、今がまさにそのときです。


 息子は前を向いて走り続けました。そして私も、そんな息子の背中だけを見つめて必死で追いかけ続けました。


 徐々に息子の背中は小さくなっていきます。しかし絶対に諦めてはいけません。ともかく息子を見失わないようについていかなきゃなりません。見えないくらい離されてしまうと、気持ちも切れてしまうかもしれません。最後まで全力で走るためにも、息子の背中を視界にとらえて追いかけ続けなければなりません。


 1組・・・2組・・・。必死でもがく私を抜いていくランナーたちの中に、親子ペアのランナーもいます。息子の頑張りを、このダメおやじのせいでまた順位を落としてしまいました。でもまだ諦めはしません。絶対に諦めはしません。必死で食らいついていけば、最後に逆転するチャンスもあるでしょう。


 ここで簡単に諦めてしまうようなら、私は救いようのないホンモノのダメおやじになってしまいます。でもダメおやじはダメおやじなりに、意地を見せたいところです。意地を見せなきゃならないところです。


 第13回へ


バックナンバー


1.無言の抗議

 第1回   第2回   第3回   第4回   第5回

 第6回   第7回   第8回   第9回   第10回

 第11回