前の年までは真駒内屋外競技場をスタートした後、札幌市内をぐるっと回って中島公園にゴールするというワンウェイコースでしたが、今年からコースは大幅に変更され、スタートとゴールは同じですが、途中2カ所に折り返し点が設けられたコースへと変更になっていました。
荷物を預けて競技場内に入り、集合場所でじっと待ちます。その間にもどんどん緊張は高まってしまい、完全に雰囲気に飲まれてしまいました。そんな状態でスタート時刻は刻々と近づいてきます。おそらく報道関係でしょうか、上空をヘリコプターが飛ぶ爆音が響いてきて、そのこともこの大会がほかと違うのだと私にプレッシャーをかけてきます。
やがてスタートエリアにつくよう指示があり、まわりのランナーに混じってスタートエリアに並び号砲を待ちました。
「スタート、3分前」
と、コールが聞こえてきます。
「ピシャ、ピシャ、ピシャ」
普通の大会では、スタートエリアでも談笑しているランナーの姿や声があります。でも周りから話し声はまったく聞こえず、聞こえてくるのは足を叩く音のみです。その静けさの中に響く音は、緊張感を否応なしに高めます。何を見ていればいいのか、何を聞いていればいいのか、何をしていればいいのか。そんなことすらわからないまま、私はスタートを待つ集団の中にいました。
「バン!」
唐突にピストルが鳴り、花火が上がります。心の準備ができていなかった私は、少なからず動揺しながらスタートしました。心臓も突然早鐘を打ち出しました。
陸連登録の部の最後尾からスタートした私ですが、後ろから未登録の高速選手が次々と抜いていきます。私はその邪魔にならないよう、コースの1番左端をまっすぐに走ることだけを心がけていました。
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1.無言の抗議
2.思い上がり
3.初フルでの挫折
4.ホームページ開設
5.北海道マラソン、奇跡の完走