【夕顔363-3】古文単語「むずらむ」
重要古語の記事では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
単語を1つピックアップしています♪
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違う)
2.古典特有語(現代死語・使わない)
3.古文常識語(現代にない慣習)
があります。
毎日の学習の箸休めに、
この記事でプラスαの知識を身につけてね♪
【今回の源氏物語】
「…かの御あたり去らず、生ほしたてたまひしを思ひたまへ出づれば、いかでか世にはべらむずらむ。いとしも人にと、悔しくなむ。…」
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今回出てきた古文単語
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■【かの】…あの
■【御―】…尊敬の接頭語(右近⇒夕顔)
■【あたり】…辺り。ここでは夕顔を間接的に指し示している
■【去る】…そこから離れていく。遠ざかる
■【ず】…打消の助動詞「ず」連用形
■【生ほしたて】…タ行下二段動詞「生ほし立つ」連用形
※【生(お)ほしたつ】…育てあげる。養育する
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(右近⇒三位中将)
■【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【を】…対象の格助詞
■【思ひたまへ出づ】…思い出させていただく
※【思ひ出づ】…思い出す
※【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…謙譲の補助動詞(右近⇒三位中将)
■【ば】…順接偶然条件の接続助詞
■【いかでか】…どうして~か、いや~ない(反語)
■【世(よ)】…世の中
■【に】…場所の格助詞
■【はべら】…ラ変動詞「はべり」未然形
※【はべり】…「あり」の丁寧(右近⇒光源氏)
※【あり】…生きる
■【むず】…推量の助動詞「むず」終止形
■【らむ】…現在の原因推量の助動詞「らむ」連体形
■【いとしも】…こんなにも
※【いと】…とても
※【しも】…強意の副助詞+強意の係助詞
■【人】…あの人
■【に】…対象の格助詞
■【と】…引用の格助詞
■【悔しく】…シク活用形容詞「悔し」連用形
■【なむ】…強意の係助詞
◇ 今回は「なむ」に注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「むずらむ」 ☆
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「…かの御あたり去らず、生ほしたてたまひしを思ひたまへ出づれば、いかでか世にはべらむずらむ。いとしも人にと、悔しくなむ。
問)傍線部の品詞分解として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.はべ+らむ+ず+らむ
2.はべ+らむ+ずら+む
3.はべら+む+ず+らむ
4.はべ+ら+む+ず+らむ
5.はべら+むず+らむ
大学入試古文のなかで
上のような、品詞分解の問題も
よく出題されますよね。
(*′•ω•`*;)
「むずらむ」などの助動詞の連語は
古文でよく出てきますが
私の手持ちの古語辞典には
載ってませんでした;;
ですが、Web上の古語辞典には
載ってましたよんっ!
҉٩(*´︶`*)
【むずらむ】
【連語:推量「むず」+現在推量「らむ」】
…~だろう
*『Weblio古語辞典』より
推量の助動詞「むず」に
現在推量の助動詞「らむ」を重ねた形☆
※ここでは「いかで」があるので原因推量でしょうか。
どう訳すのかと思ったら
たんなる「~だろう」でいいんですね~;;
(;゚;∀;゚;)
いかでか世にはべらむずらむ。
どうしてこの世で生きられるだろうか。
あの方(夕顔)が亡くなったこの世で――。
右近の悲痛な思いを
反語で表現しているんですね!
【答え】…5
「…かの御あたり去らず、生ほしたてたまひしを思ひたまへ出づれば、いかでか世にはべらむずらむ。いとしも人にと、悔しくなむ。…」
● 過去記事リンク
■か・かの
■たまふ
■か・かは
■よ(世)
■はべり
■いと
■しも
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