1.【原文】の音読
2.【現代語訳】の照らし合わせ
3.【イラスト訳】のイメージを入れる
この順で一語一語の読解とイメージトレーニングを行います。
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源氏物語イラスト訳【紅葉賀188】その人なめり
「その人なめり」と見たまふに、いとをかしければ、太刀抜きたるかひなをとらへて、いといたうつみたまへれば、ねたきものから、え堪へで笑ひぬ。
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は、年増にして色好みの源典侍(げんのないしのすけ)にちょっかいを出したのを、義兄の頭中将に気づかれ、密会中に乗り込まれてしまいます。
源氏物語イラスト訳
「その人なめり」と見たまふに、いとをかしければ、
訳)「あの男であるようだ」とお分かりになると、とてもおかしかったので、
太刀抜きたるかひなをとらへて、
訳)太刀を抜いたその腕をつかまえて、
いといたうつみたまへれば、
訳)とてもひどくつねりなさったので、
ねたきものから、え堪へで笑ひぬ。
訳)悔しいながらも、堪え切ることができないで笑ってしまった。
【古文】
「その人なめり」と見たまふに、いとをかしければ、太刀抜きたるかひなをとらへて、いといたうつみたまへれば、ねたきものから、え堪へで笑ひぬ。
【訳】
「あの男であるようだ」とお分かりになると、とてもおかしかったので、太刀を抜いたその腕をつかまえて、とてもひどくつねりなさったので、悔しいながらも、堪え切ることができないで笑ってしまった。
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■【その人】…あの男。頭中将をさす(源氏の心中会話文)
■【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記
■【めり】…推定の助動詞「めり」の終止形
■【と】…引用の格助詞
■【見たまふ】…ご覧になる
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【に】…順接の接続助詞
■【いと】…とても
■【をかしけれ】…ク活用形容詞「をかし」已然形
※【をかし】…滑稽だ。おかしい
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【太刀(たち)】…反りがあり、刃を下に向けて腰につり下げる長大な刀
■【抜き】…カ行四段動詞「ぬく」連用形
■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形
■【かひな】…腕
■【を】…対象の格助詞
■【とらへ】…ハ行下二段動詞「とらふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いと】…とても
■【いたく】…ひどく
■【つむ】…前歯でかじる。つねる
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【ねたき】…ク活用形容詞「ねたし」連体形
※【ねたし】…悔しい
■【ものから】…逆接の接続助詞
■【え~で】…~できないで
※【え】…陳述の副詞
※【で】…打消接続の接続助詞
■【堪へ】…ハ行下二段動詞「たふ」未然形
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形
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