【帚木359-3】格助詞「と」
ごきげんよう、あいです
先日、こんなメールをいただきました。
毎日イラスト訳を読んでます！！
とくに助動詞が勉強になります(^o^)ｖ
イラスト訳をヒントに、助動詞を思い浮かべ、
翌日【重要古語】の記事で確認してます！
ずいぶんと文法的説明ができるようになりました＾＾*
ﾍ(ﾟ∀ﾟ*)ﾉ
【今回の源氏物語】
寝たりける声のしどけなき、いとよく似通ひたれば、いもうとと聞きたまひつ。
【今回の古文単語】
■【寝】…ナ行下二段動詞「寝（ぬ）」の連用形
■【たり】…存続の助動詞「たり」の連体形
■【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形
■【の】…同格の格助詞
■【しどけなし】…くつろいでいる、無造作である
■【いと】…とても
■【よし】…良い、十分である
■【似通ふ】…似通っている
■【たれ】…存続の助動詞「たり」の已然形
■【ば】…～ので（順接の接続助詞）
■【いもうと】…ここでは姉（空蝉）のこと
■【と】…引用の格助詞
■【聞きたまふ】…お聞きになる
※【―たまふ】…尊敬の補助動詞
■【つ】…完了の助動詞「つ」の終止形
今日は、「と」についてです☆
ーーーーーーーーーーーーーーー
格助詞「と」については、源氏物語の中でも、
しょっちゅう出てくるにもかかわらず、
なかなか記事にできずにいました。
といっても、ほとんど【引用】の意味ばかりでしたが。
(;ﾟ;∀;ﾟ;)
今回、「あれ？ 【引用】でよかったかな」と調べてみましたが、
やっぱり、【引用】のようで…；；
でも、記事にしてみますねっ♪
ﾍ(ﾟ∀ﾟ*)ﾉ
【と】（格助詞）
①【共同】～と、～とともに②【結果】～と、～に
③【比喩】～のように
④【基準】～と、～に比べて
⑤【引用】～と
⑥【目的】～として、～と言って、～と思って
⑦【強調】
⑧【並列】～と～と
基本、体言および連体形に接続しますが、
⑤や⑥の用法では、会話文等の文末にも付きます。
具体的に用法説明しますね。
(･∀･)/
①【共同】～と、～とともに
「さあ、私と参りましょう」の「と」と同じで、
「ともに～する」時に用います。
EX. 「何事ぞや。童べと腹立ち給へるか」
（訳）「何事だ。子供とけんかなさったのか」
②【結果】～と、～に
「水の泡となってしまった」の「と」と同じで、
「結果として～となる」時に用います。
EX. 「古き塚はすかれて田となりぬ」
（訳）「古い墓は掘り起こされて田になってしまった」
③【比喩】～のように
和歌中によく出てくる用法。
EX. 「雪とのみこそ花は散るらめ」
（訳）「まるで雪とばかりに桜の花が散っているだろう」
④【基準】～と、～に
「～と異なる」「～と劣る」のように、
比較の基準として用います。
EX. 「昔の夕顔と劣らじや」
（訳）「昔の夕顔に比べて劣っていないだろうか」
⑤【引用】～と、～に
会話文や文末につき、直接会話文、間接会話文、
または心中語を引用します。
EX. 「かれは何ぞとなむ男に問ひける」
（訳）「あれは何ですかと男に尋ねた」
⑥【目的】～として、～と言って、～と思って
「と」だけで「とて」と同じ用法になることがあります。
EX. 「同じ煙に上りなむと泣きこがれ給ひて」
（訳）「同じ煙になって天に上ってしまおうと言って泣き慕われて」
⑦【強調】
動詞を重ねた間に入って、どの動詞に意味を強めます。
EX. 「生きとし生けるもの」（※「し」も強意の副助詞）
（訳）「生きているものはすべて」
⑧【並列】～と～と
現在もっともよく用いる「～と」の用法ですね。
EX. 「白き鳥の、嘴と足と赤き、」
（訳）「白い鳥で、くちばしと脚とが赤いのが、」
…現代語の「と」とほとんど同じですよね！
(;ﾟ;∀;ﾟ;)
今回の源氏物語では、
いもうとと聞きたまひつ。
訳）（小君の）姉だとお聞きになった。
と、⑤【引用】でとりましたが、
いもうとと聞きたまひつ。
訳）（小君の）姉と思ってお聞きになった。
⑦【目的】の訳をあてはめた方が文意がすっきりしますね！
(￣∇￣+)
どちらにせよ、
「いもうと」の部分を、光源氏の心中語ととらえています。
以上、格助詞「と」についてでした。
ふぅ～！ やっと「と」が記事にでけた！！
(*^ｍ^*)
● 本日の「源氏物語」～帚木359（原文）
寝たりける声のしどけなき、いとよく似通ひたれば、いもうとと聞きたまひつ。
● 本日の古語～過去記事リンク～
■いと
ーーーーーーーーーーーーーー
今日もご訪問ありがとうございました☆
お役に立ちましたでしょうか？(o^-')b