【帚木71-②】古文解釈~「妹」とは? | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【帚木71-②】古文解釈~「妹」とは?

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最近、相談メールなどで、解釈問題における国語力の必要性を改めて痛感しています。

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↓今日の源氏物語はこちら↓

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…とて、式部を見やれば、わが妹どものよろしき聞こえあるを思ひてのたまふにや、とや心得らむ、ものも言はず。
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【源氏物語~これまでのあらすじ】

桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。あるつれづれに長雨の降る夜、光源氏と頭中将、さらに友人の左馬頭、藤式部丞が、帝の物忌みのために宮中に籠もり、女性の品定めを始めました。頭中将が、女の品格を3つに分類し、左馬頭がそれに色をつけます。

今回は、「妹」の意味についてです
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センター試験の問1などには、次のような古語の問題が出てきます。


 

「わが妹どものよろしき聞こえあるを思ひてのたまふにや」

 

問)傍線部①~③の意味の組み合わせとして最も適当なものを、1~5の中から選びなさい。

 

1.①妹たち ②噂   ③申し上げる

2.①姉妹  ②評判  ③おっしゃる

3.①恋人  ②名声  ③おっしゃる

4.①妻たち ②評判  ③申し上げる

5.①妻子  ②名声  ③おっしゃる

 

本当は、「妹」の意味を出題したかったのですが、

せっかくなので、ちょっとひねってみました^^


 

③は、敬語の種類が押さえられているかという問題であり、

 

【のたまふ】=「言ふ」の尊敬語

 

ということをきちんと理解していれば、「申し上げる」という選択肢は、明らかに間違っていると分かります。

ここで悩んでしまったあなたは、敬語の種類を、いま一度復習してくださいね。

 

 ■尊敬語・謙譲語

 ■謙譲語のまとめ


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②は、裏ワザを使って、

「あ!『噂』が1つしかないぞ。これは消去消去^^♪」
などと、安易に消去法を使ってはだめ!


 

実は、「評判・信望・噂・名声」…どれも同じような意味なんです;;

 

もちろん、前後のつながりから、「噂」よりも「評判」のほうが適当な場合もありますが、

それは前後を見て判断することであって、

単語のイメージや選択肢の多寡などにより、消去できません。

 

 

もしここで、「噂」を削ってしまったあなたは、

今回は正答であっても、本番で正答できるとは限りません><

 

言葉の意味をもう少し意識することが大切ですね♪

 

 ■漢字が国語力UPにつながる理由

 ■選択肢☆満点計画!

 

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では、問題の①です。

 

きのうのイラスト解釈を見て、

 

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別に何の違和感もなく、流しちゃいまいたよね。

 

ですが、選択肢を見ると、

 

1.妹たち

2.姉妹

3.恋人

4.妻たち 

5.妻子 



あれ…?


そういえば、「妹(いも)」って、万葉集などで、恋人や妻の意味で出てきてたような…

(°Д°;≡°Д°;)


 

こういうあたりで、選択肢に惑わされてしまうんですねー^^;

これが、出題者の意図である、引っかけ問題なんですよ!

(※出題者の意図に関しては、こちらを参照→


 

【妹】

①(「いも」と読んで)あなた(女性を親しみこめて呼ぶ語)

②(「いもうと・いもと」と読んで)姉・妹


 

実は、この「妹」という語、

■男性から姉妹、妻、恋人などを親しんでいう「妹(いも)

■男性から姉妹を呼ぶ「妹人(いもひと)」のウ音便の略

 

このどちらにも取れるんです。


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もちろん、「いも」と読んでも、姉妹も指しますので、差し支えないのですが、

 

■「妹」には、恋人を指す場合がある

■年下のきょうだい(妹)だけでなく、を指す場合もある

 

この2点は押さえておいてくださいね♪

(o^-')b


 

ではいったい、今回なぜ妻や恋人ではなく、姉妹の意味なのでしょうか?

 


左馬頭は、直前の話題で、兄の顔が「憎げ」であることを、

「予想外に美しい女」の事例として挙げていました。


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それを聞いて、藤式部丞は、


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「ものも言はず」という文脈になっています。


 

もし「妹」を「姉・妹」の意ととらえると、

藤式部丞は、まさにそのなんですね~∑(゚Д゚)

そ、そりゃ、憤慨もしますよぉ^^;


 

また、当時の結婚形態では、男性は恋人や妻である女の顔しか見られません。

 

つまり、左馬頭が、藤式部丞の妻(恋人)の顔に興味を持っている、という設定は、ちょっと不自然なんですね;;


 

また、「わが妹どものよろしき聞こえある」とあります。

当時の結婚に至る慣習から、「聞こえ(=)」は、独身女性に立つもの、とも言えます。

(※詳しくはこちら→


 

なので、藤式部丞の妻に「よろしき聞こえ」が立つのは不自然なんです;

 

したがって、


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「わが妹」とは、藤式部丞の姉または妹であると捉えるのが、もっとも自然なんです。


 

あ、「わが妹ども」と複数形になっていますので、

複数の「姉妹」をさすものと思われます。

 

ちなみに、「ども」があるから「妻」ではない、というのは、

当時の結婚形態からいって、根拠にはなり得ませんよ^^;


 

正解は……

 

ところで、こちら の「」も、「」でなく「せうと」と読んで、兄弟をさします。

合わせて押さえておいてくださいね♪


 

(o^-')b
 

今回の源氏物語イラスト訳はこちら→
 

 

あいでしたラブラブ