【空蝉91-3】基本形の特徴的な古語☆
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現代と基本形の異なる動詞☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
しばしうち休みたまへど、寝られたまはず。御硯急ぎ召して、さしはへたる御文にはあらで、畳紙に手習ひのやうに書きすさびたまふ。
――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――
■【しばし】…しばらくの間
■【うち休み】…マ行四段動詞「うち休む」の連用形
※【うち休む】…休息する
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」の已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ど】…逆接の接続助詞
■【寝】…ナ行下二段動詞「寝(ぬ)」の未然形
■【られ】…可能の助動詞「らる」の連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」の未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ず】…打消の助動詞「ず」の終止形
■【御(おん)】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【硯(すずり)】…石などで作った墨をする道具
■【急ぎ】…ガ行四段動詞「急ぐ」の連用形
■【召し】…サ行四段動詞「召す」の連用形
※【召(め)す】…「取り寄す」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【さしはへ】…ハ行下二段動詞「さしはふ」の連用形
※【さしはふ】…わざわざする
■【たる】…完了の助動詞「たり」の連体形
■【御(おん)】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【文(ふみ)】…手紙
■【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
■【は】…強意の係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形
■【で】…打消接続の接続助詞
■【畳紙(たたうがみ)】…懐紙。折りたたんで懐中に入れる紙
■【に】…場所の格助詞
■【手習(てなら)ひ】…心のおもむくままに書き流すこと
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【やうに】…比況の助動詞「やうなり」の連用形
■【書きすさび】…バ行四段動詞「書きすさぶ」の連用形
※【書きすさぶ】…なぐさみ半分に書く
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 単語の意味と文法的説明です。
――――――――――――――
☆ 基本形の見分けにくい古語 ☆
――――――――――――――
大学入試古文で、動詞の活用なんか出てこないじょ~
…なんて言って、
動詞をおろそかにしてるあなたのために…
(σ・∀・)σ
しばしうち休みたまへど、A寝られたまはず。御硯急ぎ召して、Bさしはへたる御文にはCあらで、畳紙に手習ひのやうに書きすさびたまふ。
問)傍線部ABCの動詞の基本形(ひらがな)と活用形を答えよ。
こういう問題、私大入試ならフツーに出てきますよ~;
(;゚;∀;゚;)
特に、現代と活用や基本形の異なる動詞は、
電子辞書が主流になってきた現代において、
自力で辞書を引けるためにも、
きちんと押さえておく必要があるんですね。
φ(.. )
【自動詞:ナ行下二段活用】
…眠る。寝る。横になる
さしはふ 【思ひ果つ】
【自動詞:ハ行下二段活用】
…わざわざする。特にそれとめざす
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
Aの「寝」とBの「さしはふ」は
どちらも下二段活用動詞です。
「寝」は、現代も同じ意味で用いる語で、
「さしはふ」は、逆にあまり出てこないので、
どちらも重要古語というわけでなく…
スルーしがちな動詞ですが――
「寝」は、下二段の暗記動詞ですし
「さしはふ」は、
ここまでの『源氏物語』だけでも2回出て来ています。
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
Cの「あり」については、
「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」
の丸暗記で覚えている人も多いでしょう。
現在でもよく見る言葉なので、
特に意味は気にされないとは思いますが…
【自動詞:ラ行変格活用】
①いる。ある
②生きている
③住む。暮らす
④居あわせる
⑤すぐれた所がある
⑥(世にあり」の形で)繁栄して暮らす
⑦起こる。行われる
⑧たつ。経過する
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
文脈によって、
現在よりずっと幅広い意味で用いられるので、
このイラスト訳で慣れていってほしい古語の1つです。
(▰˘◡˘▰)
解答例
A 「ぬ」 未然形
B 「さしはふ」 連用形
C 「あり」 未然形
こういう重要古語以外の動詞は、
なぜそうなるのかをきちんと理解したうえで
活用の練習に慣れていく(体得する)というのが
いちばん効果的な勉強法かと思います。
しばしうち休みたまへど、寝られたまはず。御硯急ぎ召して、さしはへたる御文にはあらで、畳紙に手習ひのやうに書きすさびたまふ。
● 過去記事リンク
■さしはふ
■畳紙
■手習ひ
■やうなり
ーーーーーーーーーーーーー