【桐壺161-②】古文常識~「文」について☆
【古文】
文など作り交はして、今日明日帰り去りなむとするに、かくありがたき人に対面したるよろこび、かへりては悲しかるべき心ばへをおもしろく作りたるに、
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【これまでのあらすじ】
光の宮の母桐壺更衣は、帝の度を過ぎた寵愛の為、周囲の反感・嫉妬で心身共に衰弱し、とうとう亡くなってしまいました。それから半年後、光の宮は宮中に引き取られます。桐壺帝は、高麗の人相見に、この御子の将来を内密に占ってもらうのでした。
今日は、「文」についてです。
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光の宮の相を人相見に鑑定してもらうため、
後見のようにしていた右大弁は、一緒についていったのだということが、前述からわかりました。
高麗の人相見と、「興」ある会談だったようですね。
文など作り交はして、
【文】
①手紙
②書物
③漢詩
④漢学
「文(ふみ)」は、基本的には「手紙」の意味です。
「文=手紙」と、暗記している受験生も多いのではないでしょうか?
しかし、今回は、直後「作り交はして」という文脈につながるためには、「手紙」では不自然になってしまいます;;
しかも、直前に、「弁も、いと才かしこき博士にて、…」とありました。
「才(ざえ)」が「作り交はす」ものの根拠となるためには、
「漢学」に関係のあることですよね!!
そして、「作り交はす」のだから、「漢学」というよりも、「漢詩」☆
訳)漢詩などを作り交わして、
漢詩は、単に漢字を連ねたらいいのではなく、
平仄(ひょうそく)・押韻(おういん)等々、
漢学のかなりの知識が必要です。
漢詩を暗唱したり、解釈したりするのはもちろんのこと、
漢詩を作るなんて、浅はかな知識ではとてもできません!
実は、私、高校で漢詩を作って先生に見せたことがあります。
授業で習った押韻なども駆使して、かなり良い出来映えだと思ったのですが…
一蹴されました(;゚;∀;゚;)
「平仄(ひょうそく)」というのは、中国語の発音を4声に分類し、それを規則的に配列させたもので、中国語を知らない人にはなかなか理解できません;;
(※詳しくはWikipedia「近体詩の規則」参照 )
けれど、右大弁は、そんな漢学の知識もじゅうぶんに備えた上で、漢詩もたしなむことができる。
そんな「才(ざえ)」の持ち主だったのです!
(o^-')b
☆今回の古文常識☆
「文(ふみ)」は手紙以外の意味の場合もある。
丸暗記単語も、1語のみと決めつけないで!!
あいでした