【帚木268-2】思い込みをなくそう!
勉強するときに最も必要な力は、
複眼的視点だと思います。
これが正しいと思い込んでしまったら、
ついつい固定観念で考えてしまいがち。
古典文法もそうです。
文法問題集を何周もやって、
それで文法をマスターしたと思ったら大間違い!
古文単語や古典常識、文脈に至るまで、
複眼的な見方で検討していきたいものです。
では、今回の「源氏物語」のなかから、
複眼的な文法解釈を、ということで、
一気に行ってみましょう!!
ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ
↓今回の源氏物語↓
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「…今やうやう忘れゆく際に、かれはたえしも思ひ離れず、折々人やりならぬ胸焦がるる夕べもあらむとおぼえはべり。これなむ、え保つまじく頼もしげなき方なりける。…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭の女性体験談を受け、頭中将も、自分の体験談を話ります。ひそかに関係を持っていた内気な女は、頭中将の妻の嫉妬に思い悩み、頭中将の訪れのない中、失踪してしまいます。
「…今やうやう忘れゆく際に、①かれはたえしも思ひ離れず、折々人やりならぬ胸焦がるる夕べもあらむとおぼえはべり。…」
問)傍線部①を現代語訳せよ。
…すでに、昨日のイラスト訳で、
この部分の逐語訳はいけると思うのですが、
初見の古文で、このような設問がいきなり出てきたら、非常に困惑します。
「かれはたえしも思ひ離れず」
↑
この最初の部分を、「彼は」で切ってしまうと、
一生かけても正答にたどりつけません><;
・「たえ」→「絶ゆ」かな?
・「し」→過去の助動詞かな?
文法的接続に問題がないからと、こう考えて、
間違った方向に訳出してしまいがち…
かれはたえしも思ひ離れず
誤訳)この女とは関係が絶えたけれども想いは離れず
…な~んて(;゚;∀;゚;)
でも、どこが違うのかも、分からないですよね;;
そうと思い込んでしまったら、
人間の思考回路はそこから逃れられません。
※ダイヤモンド社書籍オンラインより
「かれはたえしも思ひ離れず」
↑
「~は」という助詞が、主語を表すというのは、
現代の固定的な発想です。
古文では、主語を表す「は・が」は、省略される場合が多い。
ヽ(゚◇゚ )ノ
「彼は」という固定観念を外すと、
「かれ/はた/…」という品詞分解に気づく。
そして、
「え/しも…」という区切りが見えてくる。
え?見えてこないって?
(`・д´・ ;)
実は、
まだあなたの頭のなかに、「はた」や「しも」「え…ず」といった単語が定着していないせいです。
このブログのイラスト訳で、
毎日、ちょっとずつでいいから、
古文に慣れ親しんでいってください。
「はた」や「しも」、「え~ず」などの基本古語は、
「源氏物語」でもしょっちゅう出てきますから、
初見の古文で、
こんなひらがなばかりのことばのつながりがでてきても、
かれ/はた/え/しも/思ひ離れ/ず
こんな/ひらがな/ばかり/の/ことば/の/つながり
が、かんたんに区切れるように、
たやすく分かるようになるんですよ♪
ぽ☆
ご意見・ご指摘等があれば、コメントお願いします。
では次回の講釈もおたのしみに☆
(o^-')b
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あいでした