【夕顔337-3】古文単語「おぼえず」
古語は、丸覚えするもの、漢字で覚えるもの、
イメージで覚えるものと、覚え分けしましょう。
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違うもの)
2.古典多義語(現代より幅広いもの)
3.古今同義語(現代と同じ意味のもの)
があります。
大学入試によく出るのは、今回のような【古今同義語】です♪
【今回の源氏物語】
「…初めより、あやしうおぼえぬさまなりし御ことなれば、『現ともおぼえずなむある』とのたまひて、『御名隠しも、さばかりにこそは』と聞こえたまひながら、…」
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今回出てきた古文単語
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■【初め】…恋愛当初
■【より】…起点の格助詞
■【あやしう】…シク活用形容詞「あやし」連用形ウ音便
※【あやし】…奇妙だ。不思議だ
■【おぼえず】…思いがけない
※【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【さま】…ようす。状況
■【なり】…断定の助動詞「なり」の連用形
■【し】…過去の助動詞「き」の連体形
■【御―】…尊敬の接頭語
■【こと】…事。ここでは恋愛関係のこと
■【なれ】…断定の助動詞「なり」の已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【現(うつつ)】…現実
■【と】…引用の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【おぼえ】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」の未然形
※【おぼゆ】…思われる
■【ず】…打消の助動詞「ず」の連用形
■【なむ】…強意の係助詞
■【ある】…ラ変動詞「あり」の連体形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまひ】…ハ行四段動詞「のたまふ」の連用形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(右近⇒夕顔)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【御―】…尊敬の接頭語
■【名隠し】…名前を名のらず隠しておくこと
■【も】…強意の係助詞
■【さばかり】…あれほど
■【にこそは】…~であったのだ
※【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
※【こそ】…強意の係助詞
※【は】…とりたての係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」の連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲(右近⇒光源氏)
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」の連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(右近⇒夕顔)
■【ながら】…逆接(継続)の接続助詞
◇ 今回は「に」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「おぼえず」 ☆
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「…初めより、あやしうおぼえぬさまなりし御ことなれば、『うつつともおぼえずなむある』とのたまひて、『御名隠しも、さばかりにこそは』と聞こえたまひながら、…」
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.みっともなく思いやりのない関係のお人
2.不思議で思いがけない状態であったご関係
3.粗末で情趣深くはない様態の出来事
4.怪しく覚えていない状況であった事
5.奇妙にも似通っていない様子のお方
さあ、いよいよセンター試験2日前ですよ。
直前といえど、基本事項はしっかり確認を。
今回の源氏物語では、
「おぼえず」が2箇所出てきています。
「…初めより、あやしうおぼえぬさまなりし御ことなれば、『うつつともおぼえずなむある』とのたまひて、『御名隠しも、さばかりにこそは』と聞こえたまひながら、…」
基本的に、「おぼえ/ず」は、
「おぼゆ(=思われる)」に打消がついた形で
「思われ/ない」という意味になります。
下の方は、まさにその訳出ですね。
『現ともおぼえずなむある』とのたまひて、
訳)『現実の事とも思われないことであるわ』とおっしゃって、
ところで、古語辞典には、
こんな連語も載ってます。
【おぼえず(覚えず)】
【副詞(連語:動詞+打消の助動詞)】
…思いがけなく、思いも寄らず
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
上の傍線部は、
この連語の訳出があてはまりますね!
さあ、正答できたかな?
センター試験まで、あと2日です!
【解答】…2
「…初めより、あやしうおぼえぬさまなりし御ことなれば、『現ともおぼえずなむある』とのたまひて、『御名隠しも、さばかりにこそは』と聞こえたまひながら、…」
● 過去記事リンク
■より
■あやし
■おぼゆ
■も
■のたまふ
■ばかり
■たまふ
■ながら
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