絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。はじめましての方は、こちらをご覧ください
「絵本専門士リレートーク」では、 個性豊かな絵本専門士のみなさんが、私たちからの「4つの質問」に答えてくれます
長野県松本市の豊嶋さおりさんからのバトンを受けて、今回は、同じ松本市の絵本専門士2期、谷口和恵(たにぐちかずえ)さんです。子どもと本にかかわって36年という大ベテラン 絵本にまつわる幅広い活動は、最近はSDGs(注)関連の取り組みにも広がっているようです。これまでの活動とこれからの抱負を伺いました!
注:Sustainable Development Goals:2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す
1. 谷口和恵さんのプロフィール
絵本専門士2期。長野県松本市在住。福岡県福津市出身。
語り手・JPIC読書アドバイザー・SDGs for School認定エデュケーター。
35年以上子どもたちと本を結びつける活動をしています。それはストーリテリングや絵本の読み聞かせ、詩やわらべうたやことば遊び歌を楽しむことだったりします。
そして最近はSDGs 17のゴールを絵本で知ってもらえるよう大人の方の講座などに力をいれています。
2. 谷口和恵さんに「4つの質問」
①なぜ絵本専門士になろうと思ったのですか?
長年活動してきたことを体系的に学ぶことで点と点を線にそして面にしたいと思いました。より高い専門性を身に付け、講座などで多角的にお伝えできるよう心掛けています。そして何より「学べる!」ということにワクワクしたのが受講のきっかけです。
絵本専門士講座での多くの学びや体験は、私の活動の中で大変役に立っています。
②現在、どのような活動やお仕事をされていますか?
活動は多岐にわたります。大人向け講座をはじめ、幼稚園から小中学校での語り中心のお話し会など。個人的には重症心身障がい者通所施設に月1回の読み聞かせに通って20年になります。また長野県立こども病院のお話ボランティアの仲間で設立した「本と子どもの発達を考える会」では支援を必要とするお子さん読へのみ聞かせを中心に、病児・障がい児理解が進むよう、近隣の小学校で「いのちの本展・いのちの授業を展開しています。コロナ禍でいろいろな制限はありますが、現場のニーズが高いことを感じています。会のメンバーの共著で10年間の活動をまとめた『読み聞かせで発達支援 絵本でひらく心とことば』(かもがわ出版)が4刷りになりました。
また選書チームとして携わった別冊太陽『絵本で学ぶSDGs』(平凡社)がこの夏刊行されました。
③これからどのような活動をしていきたいですか?
これまで通り、お話しの楽しさを子どもたちに伝えていきたいと思います。この時代、肉声で語り、まなざしを届けることが子どもたちの育ちの上でますます大切になると思います。クリック一つであらゆる情報が手に入る便利なネットの世界とは真逆にあるお話の世界。しかし子どもたちは想像力豊かにその世界を楽しんでくれます。
また大人の方にはSDGsの理念を伝えながら、世界を取り巻く状況を絵本を通してご一緒に考えることに力を注ぎたいと思います。そして絵本はいろいろなテーマを学ぶ入り口になること、その奥深さを伝えられるよう研鑽に励みます!
④「働く大人」にオススメの絵本を教えてください
『いっしょだよ』 小寺卓矢 写真・文 アリス館
木漏れ日が優しく降り注ぐ森の中。
目をつぶれば草木の香りがしてきます。
周りを見ると、森の中にはいっしょがたくさん!
「でもほんとはね みんなだれもがちがうものどうし ひとりのだれかと
ひとりのだれか ひとりとひとりが いるからいっしょ」
いろいろな命が交錯する懐深い森の中。
「あなたはどんな時でもひとりぼっちじゃないよ」と語りかける作者の優しい視点が胸に沁みます。
日々の忙しさの中で見失いがちな大切なものに気づかされます。
sakaguraより…
「肉声で語り、まなざしを届けることが子どもたちの育ちの上でますます大切に・・子どもたちは想像力豊かにその世界を楽しんでくれます」というお言葉。長年子どもたちと本にかかわってきた谷口さんならではの重みをもって胸に響きました。いつの時代も子どもたちにはあたたかい心のつながりを感じ、豊かなお話の世界に遊んでほしいと願います
また、多様な活動の中で、最近はSDGsへの取り組みに力を入れていらっしゃるご様子の谷口さん。未来に向けた包括的なビジョンであるSDGsを、日常の中で自分ごとにしていくために、絵本が果たせる役割は大きそうですね。これからのご活躍に期待が高まります。
ご紹介いただいた絵本は『いっしょだよ』。生命の循環とつながりを優しくあたたかく感じることができそうです。
また、ここで紹介しきれなかったのですが、素敵な写真をたくさん送ってくださり、谷口さんの活動の広さと厚さ、そして思いの深さを垣間見た思いです。谷口さん、ありがとうございました
過去の絵本専門士リレートーク
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