絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。
「絵本専門士リレートーク」では、 個性豊かな絵本専門士のみなさんが、私たちからの「4つの質問」に答えてくれます
今回バトンを受け取ってくださったのは香川県初の絵本専門士!2期の藤原まゆみさんです。
小学校の先生から司書へ、現在は香川短期大学の附属図書館で働いていらっしゃいます
1.プロフィール
「自作の相棒ニャンタと」
絵本専門士第2期。香川県高松市在住。
小学校学級担任の経験と、民生委員・主任児童委員の経験をもとに、2006年「どんぐりお話の会」を立ち上げ、代表として活動中。本好き(読書家とは言えない)、図書館好きが高じて司書教諭と司書資格を取得。
縁あって香川短期大学に採用され、附属図書館に配属となり司書として勤務している。
香川県図書館学会、絵本学会に所属。
2.4つの質問
①なぜ絵本専門士になろうと思ったのですか?
現在勤務する大学には保育者養成の学科があります。採用後間もなく、実習に行く前の学生を対象に絵本や読み聞かせに関する講義をする機会をいただきました。
熱心に聞いてくれる学生の姿に、回数を重ねるにつれ、これでいいのか?もっと絵本に特化した学びが必要だ!と思ったのがきっかけです。
②現在、どのような活動やお仕事をされていますか?
職場では、保育者養成の学科に加えて、栄養士を養成する学科でも食育に関する絵本の講義をする機会をいただきました。また、介護、司書、デザイン、気が付けば全ての科の学生、教員にも絵本に関する支援を行っています。
その他、大学が連携協定を結んでいる市町の地域住民を対象に、絵本に関する公開講座も毎年させていただいています。
地域で活動している「どんぐりお話の会」は16年目となりましたが、主に過疎化が進む地域の小学校2校(全学年に毎月)、保育所2カ所(2か月に1回)でおはなし会を実施しています。
また、小学生のジュニアボランティア「どんぐりジュニア」の育成も行っており、毎年夏休みに保育所でおはなし会を実施しています。おはなし会に参加してくれていた子が、「自分が楽しかったから今度は誰かに届けたい!」という思いで参加してくれるのは何よりの喜びです。
「手遊びも盛り上がるどんぐりジュニアのおはなし会」
香川県初の絵本専門士として新聞に掲載していただいた後、ありがたいことに様々なご依頼をいただくようになりました。新聞、ラジオ出演、機関誌への寄稿、学会発表、講師依頼(香川県教育委員会の初任者教員研修、社会福祉協議会ボランティア養成講座、小・中・高校図書館部会、幼稚園研修など)、いずれも絵本の新たな視点を得る機会となり、感謝の日々です。
1対2000人のおはなし会も経験しました
地域の高齢者、お母さん、赤ちゃんの世代を超えた交流会
③これからどのような活動をしていきたいですか?
「絵本の視覚表現性に注目して絵本というメディアをあらゆる角度から愉しむ」が、今の私の学びのテーマですが、これからも固まらず緩~く学び続け、絵本は大人にとっても面白い!と思ってもらえるように情報発信をしていけたらと思っています。
また、1対1あるいは少人数で絵本を愉しむ「いっしょに絵本読み」を、地域の世代間交流の中(例えば高齢者と子ども)で実施したいと計画中です。大勢のおはなし会で得られるものとは違ったものが得られる場になればいいなと考えています。
④「働く大人」におススメの絵本を教えてください
しっかり働いた後の、決して特別じゃないけれど、心を潤してくれる上等なご褒美。働く大人の、心と体をほぐしてくれるような2冊をご紹介します。
『やすみのひ』 小池壮太 作 ブロンズ新社
ISBN:978-4-89309-664-7 2019年
「やすみのひ なにしてるの?」の問いかけに、洋画家の作者があたたかな絵で描く身の回りのものたちの休日。
めざまし時計の朝寝坊に貯金箱の無駄遣い、休み方のヒント満載です。
『きょうはそらにまるいつき』 荒井良二 作 偕成社
ISBN:978-4-03-232450-1 2016年
美しい満月の夜、静かな光は誰をも等しく照らします。繰り返される「きょうはそらにまるいつき」の言葉と幻想的な絵、肩の力がすぅーっと抜けていくようです。
sakaguraより…
大学教員の私からみて、大学の図書館にこんなに絵本に造詣の深い司書の方がいてくださるのは、
本当にありがたいことだと思います。
学生さんたちにとっても、なんて幸せなことかと羨ましくなりました。大学の宝ですね。
それに加えて、1対1から1対2000まで、赤ちゃんから高齢者の方までを対象に活動される幅広さと豊かさ!
私たちも学ぶべきことがたくさんありました。
そして、最後の「しっかり働いた後の、決して特別じゃないけれど、心を潤してくれる上等なご褒美」という文章
素敵すぎます…
この言葉とともに2冊の絵本をそっと手渡されたような、あたたかい気持ちに満たされました。