「紳士とオバケ氏」たかどのほうこ作・飯野和好絵 

フレーベル館 2001年 定価1300円

 

 

日を追うごとに、夜が長くなりますね。

たまには仕事をきりあげて、

長い夜をひとり楽しむ人も多いのでは…

ということで、この本です。

 

主人公は真面目な紳士、マジノ・マジヒコ氏。

大きな町の古い一軒家に一人で住み、

その真面目さについては、

「規則正しい生活ときたら、まるで時計のようだったし、

きちんとした身なりは、仕立て屋のウィンドウから抜け出してきたみたい…」

と、細やかな描写が続いていきます。

 

つねにおちついた心もちで、たんたんと毎日をくらしていたマジヒコ氏ですが、

風邪をひいて昼夜逆転の一日を過ごしてしまったことから、

マジヒコ氏にそっくりな家オバケ氏との交流が始まります。

真面目で丁寧な言葉が崩れることのないマジヒコ氏と、

ふわふわと気の抜けた話し方をするオバケ氏との会話、

お互いに相手を気づかう優しい気持ちと、

それを伝える手紙やもののやりとり。

物語の最初から最後まで、

笑みがこぼれてしまうような「おかしみ」にあふれています。

 

絵本の最後では、

「ほどほどにまじめな紳士」になったマジヒコ氏が、

真夜中の夜更かしを楽しむようになります。

 

作者のたかどのほうこさんは北海道出身の作家。

日常から非日常の世界へと、

想像力の架け橋を軽やかにかけてしまう

だけでなく、ユーモアあふれる文章で、

まあちゃん、へんてこもり、つんつくせんせいのシリーズなど、

多くの絵本や児童書を世に出されています。

 

この「紳士とオバケ氏」では飯野和好さんが絵を描かれています。

表紙からも伝わる何ともいえない表情豊かなあたたかい絵。

この物語には、この絵しかないと思わされます。