絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。
「絵本専門士リレートーク」では、 個性豊かな絵本専門士のみなさんが、私たちからの「4つの質問」に答えてくれます
新しい年度がスタートする4月。新年度最初に登場してくださるのは、沖縄から、絵本専門士4期の松浦佑司(まつうらゆうじ)さん。松浦さんは元保育士さんでもあります。ふと図書館で目にした「絵本専門士養成講座」のポスターに導かれて現在に至るという松浦さん。ユーモアも交えながら、現在の活動を紹介してくださいました
1. 松浦佑司(まつうらゆうじ)さんのプロフィール
絵本専門士 第4期
沖縄県在住
aiirononami@gmail.com
2. 松浦佑司さんに「4つの質問」
①なぜ絵本専門士になろうと思ったのですか?
端的に言うと「面白そうだったから」です。
私は昔から本が好きで、もっというと「言葉」そのものに興味を持っていた、なんというかただの変人でした。学生の時は「傷つけることと幸せにすること、言葉の本質はどちらだと思いますか?」みたいなこじらせまくった質問を真顔で教授にするような毎日でした。すみません、反省しかしていません。
それからほどなくして、保育士として働く中で手に取った絵本による言葉の新たな魅力を知りました。語彙、リズム、発声したときの音…どれもが新鮮かつ奥深く、単なる子どもの読み物としての認識が完全に覆されました。
絵本そのものや関連書籍を読み漁るうち、ふと図書館で目にした「絵本専門士養成講座」のポスターが全ての始まりです。
「自分が知らない絵本と言葉の魅力の新しい可能性が見られるかも」
そんなピカピカの一年生のような気持ちから現在に至ります。
②現在、どのような活動やお仕事をされていますか?
保育園のスペースをお借りし、月1でテーマを決めて絵本棚作りをしています。絵本は園と私の蔵書の中から10冊ほどセレクト。ポップ作りや飾り付けも行い、最近はピックアップした1冊の書評も添えています。
限られた蔵書の中がだからこそ各園独自の色も出ますし、職員の皆さんにとっても自園にある絵本の魅力や価値を再発見出来る機会になります。
また、子ども達や保護者が触れてもいいようなものにするからこそ、書店や図書館の棚とは違う工夫や気遣いが必要になりますが、
それも含めて楽しんでいます。
難点は私のインテリアセンスが皆無なことですね。もうすぐ棚作りをはじめて2年になりますが、一向にセンスという物が身につく気配がありません。最近だとおしゃれなカフェカーテンを付けたつもりが「定食屋にあるのれんかな?」と言われたり、職員の皆さんの感想が「まあ頑張ってると思う」一択になりつつあるので、ますます危機感を覚えます。
今はあ〇もりでコーディネート力(ぢから)を磨いています。他にもいい方法があれば教えてください。
他には保護者向け講演会や読み聞かせ、保育園職員に向けての研修等もさせていただいたことがありました。何かを教えるというより、皆で絵本のことを楽しんだり考えたりする時間をもてたことがありがたく貴重な経験だったと思います。
③これからどのような活動をしていきたいですか?
何をするにも、とにかく絵本を楽しみ合い続けたいと思っています。
私より絵本に詳しい方は大勢いますが「面白い!」と感じる気持ちだけは同等だと思いますので、そんな場をちまちま作って遊んでいきたいです。noteや音声メディアなど、まずは一人で楽しんでいようかなと。それを見てなんかやってるなって誰かが来たら「あ、一緒にどう?」と誘ってみたいなと。
それらを頑張らずに頑張るのが目標です。
④「働く大人」にオススメの絵本を教えてください
『アンドルーのひみつきち』
文・絵 ドリス・バーン
訳 千葉茂樹
発行所 岩波書店
発行年 2015年7月7日
彼の創造性の豊かさと、反比例する序盤の空回り具合。
でも終始一貫して誰かの為の物作りをしている様子の真摯さは、現代の疲れた大人にはこの上なく眩しく映るかもしれません。でもそれがいいのです。
自分の好きなことが、そのまま誰かを助けたり支えたりするきっかけになればいい。巡りめぐってそうなってほしい。働く人のほとんどが漠然と思う願いが、この本には描かれていると私は思います。
sakaguraより…
保育園での絵本棚作り。子どもや保護者が手にとって楽しめる絵本棚をという松浦さんの気持ちが写真から溢れるよう。わたしも自分の子どもが保育園に通っていた頃、子どもが絵本コーナーに座り込んでいる姿をよく目にしましたが、こんな素敵な絵本棚があれば、絵本コーナーの魅力がますます高まりますね 展示方法については、「インテリアセンスが・・・」と謙遜をされていますが、いえいえ、とっても素敵です!力強いエネルギーが伝わってきますね。
自分がまず楽しんで、みんなとも楽しんでいきたいという松浦さん。いつだったか「子どもたちは、一人でも一番楽しそうに遊んでいる子どものところに集まってきて遊ぶ」と聞いたことがあります。大人だって、まず自分が楽しんでいるからこそ、「皆で絵本のことを楽しんだり考えたりする時間」が生まれてきそうです。noteや音声メディアで・・・と書かれているのは、どんな活動かしら。保育園という枠を超えて広がっていきそうな、松浦さんの活動が楽しみです
紹介してくださった絵本についても「自分の好きなことが、そのまま誰かを助けたり支えたりするきっかけになればいい。巡りめぐってそうなってほしい。働く人のほとんどが漠然と思う願い」という言葉がぐっときます。働く大人の一人として、私の中にもある、この願いを大切に育てていきたいと改めておもうとともに、働く大人にこの絵本を紹介してくださった、松浦さんに感謝です
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