絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。
「絵本専門士リレートーク」では、 個性豊かな絵本専門士のみなさんが、私たちからの「4つの質問」に答えてくれます
今回は、北海道から水野有子(みずのゆうこ)さんです 北海道の十勝初❗️にして唯一の❗️絵本専門士である水野さん。帯広大谷短期大学附属図書館に勤務されていますが、図書館でのお仕事に加えて、その活動は、地域へと大きく広がっているようです。ご紹介します。
1. 水野有子(みずのゆうこ)さんのプロフィール
絵本専門士4期 北海道十勝在住
3つの公共図書館勤務を経て、現在は帯広大谷短期大学附属図書館に勤務。司書として勤める傍ら、知的財産管理技能士や福祉住環境コーディネーターなど独学で取得できると踏んだ資格を突然思い立っては取得する「にわか資格マニア」。ビブリオバトル普及委員会会員。十勝初にして唯一の絵本専門士。
2. 水野有子さんに「4つの質問」
①なぜ絵本専門士になろうと思ったのですか?
図書館勤務プラス2児の母ということもあり、絵本についてはある程度詳しいつもりでした。そんな中、ご縁をいただき初めて「大学図書館」で勤務することになったのですが、ある時ふと、「なぜこの絵本が良いのか」を経験則だけでなく理論を以て学生に説明できるだろうかと思い始めました。「もっと体系的に絵本を学びたい!」そう思った瞬間、高校受験を控えた長女と一緒に「受験生」になろうと決意し、締切日直前に慌てて受講を申し込みました。
写真提供:十勝毎日新聞社
②現在、どのような活動やお仕事をされていますか?
勤務する短大に保育士・幼稚園教諭を養成する学科があり、絵本の選書や読み聞かせの方法について学生に講義する機会をいただいています。その他にはさまざまな外部機関から講師依頼があり、受講者層にあわせてお話をさせていただいています。例えば北海道教育庁や十勝教育局主催の教員研修、帯広市民大学講座、幼稚園の園内研修、高文連、社会人サークルの勉強会などです。職業柄、絵本と著作権を絡めた話もできますので、特に現職の保育士・幼稚園教諭や図書館職員から好評をいただいています。絵本に関心の低い高齢の方(特に男性)や高校生から、「絵本ってこんなに深くて面白いんだ!」と言っていただけるのがとても嬉しいです。講演を行うことでできたさまざまなコネクションも財産となっています。
③これからどのような活動をしていきたいですか?
私の掲げる目標は「地域全体の絵本フリーク化」です。読み聞かせはもちろん、ビブリオバトル、アニマシオン、ブックトークなどあらゆる形で絵本に触れる機会を創出し、私自身も絵本の魅力をどんどん開拓していきたいと思います。コロナ禍で図書館や本屋さんになかなか出かけられない人のもとへ絵本と触れる機会を届けるため、「えほんマイクロライブラリー」という私設移動図書館を始める準備をしています。このためだけに購入した車にたくさんの絵本を積んで、十勝の広大な土地を走りたいなと思っています。
④「働く大人」にオススメの絵本を教えてください
『2ひきのいけないアリ』
C.V.オールズバーグ 村上春樹(訳) あすなろ書房 2014年
ISBN:9784751522714
女王のためにクリスタル(=砂糖)を探し求めるアリの一行。ついにたどり着いたその場所で、2匹のアリが職務を放棄してしまい…。時には誘惑に負けてしまうことも生きものの性(さが)。たとえ困難がつきものでも、欲望のまま生きることを選びますか? 1989年刊『くいしんぼうのあり』の新訳版。アリの視点で描かれたダイナミックな構図とシュールな展開が特徴です。
『いっしょにいてね』
ポリーヌ・ドゥラブロワ=アラール(作) HifuMiyo(絵) 山口羊子(訳)
ポプラ社 2019年 ISBN:9784591166680
仕事へ向かう母と幼稚園に通う娘。離れている間、ふたりはどんなことを思っているのでしょう。一緒にいても違うことを考えたり、離れていてもお互いを思いやったり。何気ない一日を母娘それぞれの視点で描く、特に共働きのご家庭で読んでほしい一冊。
sakaguraより…
「なぜこの絵本が良いのか」を経験則だけでなく理論を以て学生に説明したいというお気持ちから、絵本専門士講座への応募にチャレンジしたという水野さん。現在は、さまざまな場所で講演活動に取り組まれているとのこと。司書さんとしての知識・経験や絵本専門士講座での学び、それ以外の資格取得で身につけた知識など、水野さんならではのお話が伺えそう。わたしも聴講したい!と思ってしまいます…。また、「絵本に関心の低い高齢の方(特に男性)や高校生から、『絵本ってこんなに深くて面白いんだ!』と言っていただけるのがとても嬉しいです」という言葉に、「働く大人」に絵本を届けたいと願うsakaguraの私たちもとても共感しました。
働く大人にオススメの絵本として挙げてくださった『いっしょにいてね』は、子育て中の「働く大人」に気になる一冊ですね。お子さんの高校受験と同時に自らも「受験生」となったというエピソードも素敵です
「地域全体の絵本フリーク化」というビジョンに向けて、私設図書館となる愛車で十勝を走る、バイタリティあふれる水野さんの姿がまぶたにうかびます。絵本専門士の力で地域に絵本が根付いていくことに感動。さらなるご活躍が楽しみです
過去の絵本専門士リレートーク
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