絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。

 

「絵本専門士リレートーク」では、 個性豊かな絵本専門士のみなさんが、私たちからの「4つの質問」に答えてくれます音譜

11/30にご登場いただいた野見山直子さんに続き、寺島さんも多面的、多角的に絵本とかかわっていらっしゃいます。

 

1. プロフィール

 

てらしまちはる[寺島知春]

 

絵本研究家/ワークショッププランナー/コラムニスト/講師。東京学芸大学大学院美術教育専攻修了、教育学修士。日本児童文芸家協会正会員。絵本専門士5期。

 

400冊の絵本を小学校卒業まで読んでもらって育つ。(株)チャイルド本社で絵本編集者ののち、大手新聞社等での企画・編集・執筆を経て、上記大学院で絵本ワークショップの研究・開発、日本絵本史の研究に着手する。

 

現在は、絵本コラムや書籍を執筆しながら、絵本を含む美術ワークショップの企画・運営、絵本展示ディレクション、研究などをしている。2022年3月上旬に自身初の単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180(仮)』(秀和システム)を寺島知春名義で刊行予定。

 

絵本ナビスタイル連載

https://style.ehonnavi.net/post-series/19415

プロフィール詳細(SNS各種あり)

https://lit.link/terashimachiharu

 

2. 寺島知春さんに「4つの質問」 

①なぜ絵本専門士になろうと思ったのですか?

10年近く、一人で絵本の仕事を暗中模索してきて、ふと「他の人はどんなことをしているんだろう?」と思ったからでしょうか。わりと気軽な気持ちで、「のぞいてみようかな」みたいな感じでした。

 

②現在、どのような活動やお仕事をされていますか?

「美術」「絵本」をテーマに、多角的に動いています。箇条書きにしてみますね。

◆  執筆

個人名義で書き始めたのは、絵本編集者からフリーランスになった2010年からです。報道記事、広告、評論、エッセイ……と様々な形態で書いてきて、現在はコラムが多いですね。代表作に、絵本ナビスタイル連載「子どもの視点でストン!とわかる絵本〜てらしま家の絵本棚から〜」があります。

また今年は、初めての書籍執筆にも取り組んでおり、来年2022年3月上旬ごろに『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180(仮)』(秀和システム)という本が刊行される予定です。非認知能力という切り口で180冊の絵本を紹介する、初の書籍になると思います。ご期待ください!

 

 

◆選書・展示ディレクション

誌面での選書と、展示などのリアルの場での選書があります。

前者には「AERA」(2016年9月19日号、朝日新聞出版)上で、旅先で読みたい絵本を選書し、インタビュー掲載された例などがあります。後者では、今年2021年夏に主催した、板橋区立美術館とのコラボイベント「エキマエ絵本市」などがあります。

このイベントでは、太鼓判を押せる中古絵本だけを100冊ピックアップして展示販売しました。書店の少ない地域だったので、お客さんには殊のほか喜んでもらえてうれしかったです。ここではワークショップも行い、絵本に関する取り組み例として板橋区長・板橋区立美術館長の視察を受けました。

ちょうど現在、私が絵本展示ディレクションをしたイベントが東京・国分寺の駅ビル内で開催中です。美術作品の展示空間を、絵本が有機的につなぐイメージで選びました。幕開け2日間で行った私のワークショップはすでに終了しましたが、他の美術家たちによるワークショップは会期終了まで続きます。のぞきに来てくださいね。

アートイベント「オープンスタジオ」

・会期:2021年12月11日(土)〜26(日)

・場所:JR中央線・国分寺駅直結「セレオ国分寺」4階フリースペース

主催/こくぶんじアートラボ・プロジェクト&とうきょうアートラボ・プロジェクト、協力/(株)JR中央線コミュニティデザイン

※ワークショップ参加にはPeatixでの事前予約が必要です。詳細はURLをご確認ください。

セレオセレオ国分寺のイベント情報です。リンクwww.jrccd.co.jp

◆  ワークショップ

上で触れたように、ワークショップを開催しています。私が行うのは美術系のもので、すべて企画開発から手がけます。絵本をテーマにする時は「絵本の面白み」を自然に体感できるよう、気を配っています。

 

 

 

個人的には、全年齢型の開催が好きです。子どもだけじゃなく、大人も遊びたいですものね(笑)。これまでに2歳から88歳の方までご参加いただいています。家ではすぐにお絵描きに飽きてしまう2歳児も、アプローチ次第で2時間集中して遊んでくれますし、もう少し大きければ3、4時間は当たり前に没頭しています。その人その人の「好き」に出会えるように、システムを組み、現場でアプローチしていけるのが面白いところです。

最近、オンラインワークショップレーベル「アトリエ游」を立ち上げました。現在、2022年初頭からの予約を受け付け始めています。大人の方もぜひ遊びに来てくださいね。

https://you-online.peatix.com/

 

◆  講義

2013年から、絵本や文章のゲスト講義をしています。女子美術大学で6年、その他に共立女子高校、山村学園短期大学での経験があります。

初めての講義を作る時点で、すでに「ワークショップ」という手法に大きな魅力を感じていたので、どの回にもワークショップ形式を取り入れています。赤ちゃん絵本の回では、学生たちと「模擬書店での絵本選び」や「親子になりきった読み聞かせ」を楽しみました。遊びながら、エッセンスを体感してほしいと思っています。

2022年度からは認定絵本士養成講座の講義を、東京・彰栄保育福祉専門学校で受け持つことになりました。お題は「絵本ワークショップ」、いまから楽しみです。

 

 

◆  研究

数年前から、研究という視点でも絵本に関わり始めました。特に絵本ワークショップの研究は、日本ではほとんど未着手の分野です。東京学芸大学・笠原広一先生のもとで、絵本ワークショップについての国内初の先行研究調査・実態調査を行い、「新しい絵本ワークショップ」の開発を行いました。一部が、学会発表と論文の形で公開済みです。

 

論文例(アートミーツケア学会)

https://onl.tw/2WrYEW7

 

③これからどのような活動をしていきたいですか?

ひきつづき、「絵本」というテーマを多角的に探求していきたいです。絵本でもっとも大切なのは、子どもの目。私には幸い、子ども時代の豊富な絵本体験があるので、これを軸にするのはこれから先も変わりません。

また、最近では「美術」という、より大きな枠組みで捉えたい気持ちが大きくなっています。変化を恐れず、自分にも世の中にもフィットする仕事の形を探っていければいいなと思います。

 

④「働く大人」にオススメの絵本を教えてください

 

『ぐん太』夢枕獏/文、飯野和好/絵、小学館

 

人生の長い時間をかけて成長していく、一人の男の物語です。歳を重ねた読み手ほど、キャリアや日々の暮らしを投影し、じんわり染みるものがあるのでは。2021年の新刊の中で、イチオシの一冊です。

 

sakaguraより…

寺島さんの多彩な活動とアウトプットの豊かさに触れ、しばらく目を見開いてしまいました!素晴らしいですね!

小学校卒業までに400冊の絵本を読んでもらったという体験。そこにまかれた種がぐんぐんと成長し、今花開いているのだなあと感じました。

「変化を恐れず、自分にも世の中にもフィットする仕事の形」という言葉にも感銘を受けました。

絵本に対する想いや情熱があっても、どうしたらそれを他者と共有したり、社会に還元できるのだろうと思う人は多いはず。寺島さんの多角的な活動は大きなヒントを与えてくれます。原稿とは別に送ってくださったワークショップの記事もとても興味深かったです。

来年3月に『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180(仮)』を刊行されるとのこと。

刊行されたらすぐ読みます!楽しみですねラブ