皆さんの声援に「ありがとう」と応えながら、だんだんハイになってくるのを感じます。これなら大丈夫です。完全に私はレースと一体化しています。このままレースの流れに乗っていけば、最後まで行けるに違いありません。
ぐるっと一回りしてきてスタート地点の近くに戻ってきます。走りはじめはウォーミングアップ代わりと思っていましたが、このコースを考えたらパレードラップのようなものと思った方がいいのかもしれません。こんなエキサイティングな大会を開催してくれる地元の皆さんに顔見せをして、そしてこれから長い旅に出るのです。この1周で、ますますテンションも上がってきました。
市街地を過ぎて広々とした大地の中を走ります。すっかりレースの雰囲気と一体化したおかげで、軽く走ることができます。5km、10kmと順調に進んでいきました。
右手にサロマ湖を眺め、左手には林が広がっている。午前6時を回ったばかりの爽やかな空気の中を、エゾセンニュウなどの野鳥の声が響きわたります。この先、どれだけ景色を楽しめるのでしょう。どれだけ周りの音を楽しめるのでしょう。この楽しさが1日中続くものと、このときは決めてかかっていました。
やがて左手の林が切れ、目の前が開けてくると、三里浜です。浜の方では熱心に太鼓の演奏で歓迎してくれています。それを聞いていると、また目がうるうるしてきました。
やや行くと折り返し点があります。そこを折り返し、ふたたび太鼓の演奏の前を通るときは、みんなに手を振ってお礼の気持ちを示しました。
20km、30km、40kmと通過していきます。ペースは5kmを33分から34分前後で走れています。何より驚いたのは、ダメージをほとんど感じていないことです。フルマラソンのときは苦しくなってしまう30km以降も、まったく変わらない調子で走れています。これは嬉しい誤算でした。
コースは国道238号をはずれ、月見が浜へと入りました。左手に湖面を眺めながら、同じリズムで走っていきます。やがて42.195km地点に到達しました。ここには雑誌などで目にする「42.195km」と書かれたモニュメントがありました。ついにここまできたな・・・。私の目はまたまたうるうるしてしまいました。
バックナンバー
1.無言の抗議
2.思い上がり
3.初フルでの挫折
4.ホームページ開設
5.北海道マラソン、奇跡の完走
6.そしてサロマへ・・・