一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

どの作品にも共通してる「動画作業において気をつけて欲しいこと」を書いてます。
動画をきちんと教えてもらってない人も増えてるようなので、参考にして頂けたらと思ってます。
今は、iPad版クリスタを使った動画作業の流れについて書き加えてるところです。

字ばかりでは分かりにくいと思うので、今回は絵をつけて説明します。

 

クミ線(組み合わせ線)には大きく分けてセルクミとBG・Bookクミがあります。

 

 

このようなカットで、テーブルがAセルだとします。(レイアウトにはbookクミと書いてありますが、セルだと思ってください。)

人物はBセル。

体はAセルの奥にあり、手とカップは手前なので、セルクミが発生します。

デジタル仕上げでのセルはアンチなし(ドット絵)状態なので、ペイント時にAセルに合わせてきっちり塗れます。

 

けれど、テーブルがBG(Book)だった時はアンチありの時は「クミ線ぴったり」で塗ることができません。

 

分かりやすいようにテーブルの輪郭線を赤にしてあります。

テーブルがBG(アンチあり)。

輪郭線がボケてるので、クミ線ぴったりに塗ることができません。

 

テーブルがセル(アンチなし)

輪郭に合わせてぴったり塗れます。

 

 

動画は、BG(book)クミの場合は、クミ線より多めに描きます。

 

 

セルクミの時は、クミ線ぴったりまで。

 

テーブルがbookの時にどのように塗るかというと、Bセルをテーブルの奥と手前に分けてbookを挟み込む形にします。

動画はクミ線より多めに描いておき、Bセルはbookの下に置き、テーブルの手前になる部分を切り出した物をbookの上に置きます。

 

元のBセル

book

 

Bセルから切り出した上セル

 

下から順にこのように重ねて完成。

 

クミ線部分はこんな感じになります。

 

 

これらの上セル作成などの作業は仕上げ時に無償でやらされる事が多いようです。

できれば、原画時にそれを見越して

Aセル:テーブルの奥の体

book:テーブル

Bセル:テーブルの上に乗る手

とセル分けしておくとありがたいです。

この場合、動画時からAとBに分けて描くのは手間なので、動画時はAセルに描き込みで、「テーブルの手前の部分は仕上げ時にBセルとして分離」とするのがいいでしょう。

 

 

次は、このテーブルにダブラシ影が落ちてる場合です。

 

これも、テーブルがセルなら簡単ですが、bookの場合は、クミ線より多めに描く必要があります。

地面影などのダブラシなら体と同じ紙に描くことが多いですが、このカットような場合、一緒に書き込むと、体の線や色トレスと重なって分かりにくくなるので、別紙に描くのがいいと思います。

 

テーブルがセルの場合のダブラシ影は、動画時はこのように描き、

 

仕上げ時はダブラシ部分を仮色で塗ります。

 

テーブルがbookだと、ダブラシ影もクミ線より多く描いておく必要があるため、

動画はこのように描くことになりますが、体も影も「クミ線より多く」描くため、線が混ざって分かりにくくなります。

少々面倒ですが、ダブラシはB_wセルなどであらかじめ分けて描くのが良いでしょう。

 

仕上げ時に作られたダブラシ影も重ねて

テーブルからはみ出てる影部分は、撮影時にマスクで消してくれます。

(分かりやすいように、ダブラシ部分は50%表示にしてます)

 

 

 

会社(作品)によって、ダブラシ影の処理や、BGクミでもセルクミと同様に「ぴったり」までしか描かない場合もあります。

ここに書いた方法とは違うこともあるので、実際の作業では注意事項に従ってください。