多くの会社では二値化したデータ(Paintman向けに出力したもの)で納品するケースが多いですが、私が所属する会社では、二値化は仕上時に行うため、クリスタで動検後、アンチありの状態でセル出力して仕上さんに渡してました。
動画よりも、適切な二値化の線の太さを知ってるのは仕上さんなので。
仕上時の二値化にはRETASのTracemanを使います。
(Opentoonz用のスキャンソフトGTSでも二値化できますが、使ってるところは少ないと思うので、その説明は省きます。)
クリスタからセル出力する時は、白ベタのレイヤーを入れておき、「アニメーションフォルダ外のレイヤーを出力する」にチェックを入れます。
これをしないと、Tracemanで開いたときに二値化されたように見え、線の太さの調整なども出来ないので、忘れずに「白背景」のレイヤーを入れましょう。
また、塗り分けをした下描きレイヤーは、出力しません。
下描きレイヤーも一緒にすると、塗り分けられた色に反応してベタ塗り状態になってしまうので。
(塗り分け参考用に別に書き出す時は、下描きレイヤーも一緒に出力します。)
二値化用には、線画のみ出力します。
塗り分け参考は、「アニメーションセルの下書きを出力」でそのまま出力。
「アニメーションフォルダ外~」のチェックは外しても構いませんが、線画を出力する時にチェックを入れ忘れるといけないので、入れたままでいいでしょう。
クリスタによる「Paintman向けに出力」ですと、色トレスが赤、青、黄緑の3色のみですが、Tracemanですと、カスタムカラーで3色追加できるので、最大6色の色トレス線が使えます。
普段は普通に赤、青、黄緑だけしか使わないと思いますが、どうしても色数の多いものを二値化する場合、これらの色を使うと6色に分けられます。
前述の「中割り時に見やすい色」は、実は、通常使う「赤、青」と別の色に出力することができます。
これに加え、「紫」が使えそうです。
黄緑に出力できる色相が狭いため、「黄緑‐鈍」と「黄緑(グリーン)」で分けるのは難しかったです。
通常通り3色で二値化する時、
「朱‐鮮」と「赤(レッド)」は赤に、「空‐鮮」と「青(ブルー)」は青になります。
紫は、「色鉛筆対決 その2」で説明したピンクと同様、通常通り3色にすると透明になってしまうので、使用するのは指示がある時だけが無難です。
(紫は、Paintman向けに出力すると「青」になります。)
Paintman向けに出力したりTracemanの3色で出力できる色のリストです。
黒の棒線はPaintman向けで透明になってしまう色。
赤の斜め線は、Tracemanの3色二値化で透明になってしまう色。
↓
Tracemanで3色に二値化したもの
赤、青、黄緑、黒の線で囲ってるものは、クリスタで出力した時にその色になるものです。
↓
Tracemanのカスタムカラーで6色に変換したもの。
色相の数値によっては、これとは違う色になることもあります。
↓
Paintman向けに出力する場合と、Tracemanで3色になる色にも違いがあるし、カスタムカラーを使わないと出力できない色もあるので、どれで二値化しても問題がないように6色を選ぶのは難しかったです。
結局のところ、6色目の紫は、「指示がある時のみ」が無難です。
「黒」に出力したい色も、やや明るい色だと、黒に赤や青などが混ざってしまうので、複数色使うときは、「かなり黒に近い3色」が良いです。
この時は、「0,0,0」の黒は使いません。
「黒」と「黒に近い色」では、二値化した時に太さの違いが出てしまうので。
私が選んだのは
黒の複数色としては
紫-黒:31,6,45
紅-黒:45,6,20
緑-黒:6:45:12
色トレスはこちらの6色
(色の名前は、クリスタの標準カラーパレットに合わせてます)
レッド:255,0,0
空‐鮮:0,165,255
黄緑‐鈍:101,153,51
朱‐鮮:255,88,0
ブルー:0,0,255
<カスタムカラーを使う指示があった時のみ>
紫:175,76,229
↑このように描いた線をTracemanのカスタムカラーを使って
↓このように二値化できます。
ちなみに、こんな感じに塗り分けました。
黒系の3色も同じような太さで二値化されてます。
色トレスが多い上に2号影やハイライトまで入ると色数が足りなくなるので、トーンレイヤーを使ってます。
レイヤー数が多くなるとclipファイルが重くなるので、その兼ね合いも考えつつ、不要なレイヤーは削除するなどして、自分だけがわかるのではなく、後工程の人にも分かりやすい塗り分けを心掛けたいものです。
説明が下手で申し訳ないですが、クリスタで4色以上の色トレスを使いたい場合は、Tracemanのカスタムカラーを使えばできる、という話でした。
ちなみに、GTSでの二値化ですと黒を含めた6色なので、色トレスは5色までとなります。