仕上げ(RETAS)での合成の仕方 | 一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

どの作品にも共通してる「動画作業において気をつけて欲しいこと」を書いてます。
動画をきちんと教えてもらってない人も増えてるようなので、参考にして頂けたらと思ってます。
今は、iPad版クリスタを使った動画作業の流れについて書き加えてるところです。

仕上げでRETASを使ってる方はどのように合成してるかはわかってると思いますが、実作業を見たことがないアニメーターは知らないことが多いと思うので、アニメーター向けに説明してみようと思います。

RETASには作画用(Stylos)、スキャン用(Traceman)、仕上げ用(Paintman)、撮影用(Core RETAS)のソフトが同梱されてます。
これらのソフトは、アニメ用に開発されたもので、ちょっと特殊な構造でファイルを作ってます。

作画で、このような絵が作られたとします。


これは、クリスタ(ClipStudio)で描いた絵を「ペイントマン向けに書き出し」したものです。
そうすると、このような構造の画像ファイルが作られます。

「主線プレーン」    … 実線
「彩色プレーン」    … 色トレス
「外部用(編集不可)」 … 塗り分け参考

黒は主線プレーンに、赤、青、黄緑の色トレスは彩色プレーンに振り分けられます。
基本的に、色は彩色プレーンに塗られるので、影トレスなどは塗り色と同化します。
「外部用(編集不可)」は、スタイロスやクリスタで「下書きレイヤー」に描かれた塗り分けなどが表示されます。
塗り分け参考として見えるだけなので、「編集不可」とあるように、ここに線を引いたり、色を塗ったりすることは出来ません。
書き出し後は、RETAS以外では見えません。(クリスタでも見えない)

ちなみに、Tracemanでスキャンした場合は、「塗り分け参考」は作られません。
塗り分けは紙の裏にあるので、スキャンされませんし。

こんな風に、仕上げで使われてるファイルは、主線と彩色用のプレーンの二層構造になってます。
名前は「主線」とか「彩色」とかついてますが、主線プレーンに黒以外も着色できるし、彩色プレーンに黒で線を引くこともできます。

合成は、この二層構造を利用して作られます。

つまり、合成の親と子、それぞれ別々に色を塗った後、この彩色プレーンに塗られた色をすべて主線プレーンに移動させ、空いた彩色プレーンに「親」をコピーします。

多重合成の場合は、これを繰り返します。

分かりにくい説明だったらすみません。
絵を見ただけの方がわかるかもしれません。