その3 ヌリ分け(色分け)について | 一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

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どの作品にも共通してる「動画作業において気をつけて欲しいこと」を書いてます。
動画をきちんと教えてもらってない人も増えてるようなので、参考にして頂けたらと思ってます。
今は、iPad版クリスタを使った動画作業の流れについて書き加えてるところです。

★「きいろ」はハイライトや透過光にのみ使用。「みずいろ」は影色にのみ使用。
 瞳のハイライトは、塗らなくていいです。(複数の色のハイライトがある場合はともかく)
 
★ヌリ分けは、すべて紙の裏に描きます。
 原画だけでなく、中割りの動画も全て塗ってください。
 仕上げさんに分かりやすく、というのも勿論ですが、自分が描いているものが何なのか把握するためにも必要な作業です。
 
★紙の裏であっても、ぐりぐりと濃く塗るとスキャンに反応してしまう可能性がありますが、薄すぎても影色と気づいてもらえない事もあるので、程よい濃さで塗ってください。
 

★同じ色を「影」と「色分け」の両方に使ってはいけません。

 例えば、肌の影色にオレンジを使ったら、オレンジはそのカットにおいては、服の模様とかリボン等の「色分け」には使えません。
 
★面積が広く、わかりやすい時は「色分け」と「影色」の重ね塗りはOKですが、分かりにくい時は、ノーマルと影色で違う色にするなど工夫してください。
 
★影の方に明るい色を使うと混乱するので、同系色の暗い色をお勧めします。
 きみどり→えめらるど  だいだい→あかむらさき  おうどいろ→しゅいろ  など
 
 同系色といっても、濃く塗った水色と薄く塗った青は区別が付きにくいので、なるべく一緒に使うのは避けてください。
 
 「みどり」と「えめらるど」、「みずいろ」と「うすむらさき」、「だいだい」と「しゅいろ」も塗り方によっては区別がつきにくいです。
 特に「うすむらさき」は時間が経つと「みずいろ」に近く変色してしまいます。使うなら「三菱アートカラー」の「ヘリオトロープ」がお勧めです。
 緑系なら同じくアートカラーの「オリーブ」がお勧め。
 
 塗り分けが多く、色数が足りなくて青や緑を使う場合は、地面影や服の裏など、明らかに違う色とわかる部分に使うといいでしょう。
 その場合も、ぐりぐりと濃く塗るのは避けてください。スキャン時に反応してしまう可能性があるので。
 
★りんかく線に沿うように描かれているハイライトは、それが塗りなのか、線のみなのか分かるようにしてください。
 原画で線のみで描かれている場合は判断が難しいと思いますが、仕上げに判断を任せるのではなく、「これは分かりにくいな」と思ったら、前後のカットや設定などを見て判断するか、担当原画やメインスタッフなどに問い合わせてください。
 
★「口の中」の塗り分けに影と同じ色は使わないでください。元々、「口の中」は「舌」より濃い色で設定されてるので、影色と思われてしまうと、さらに濃い色になってしまいます。
 大きく口を開けて、口の中や舌にも影とノーマル部分が見えてくる場合は、「舌の影色」と「口の中」が同じにならないように、「口の中」も影色にする場合はあります。
 口の中に限ったことではありませんが、原画の塗り分けが「影」なのか「(ノーマル部分の)色分け」なのか、判断してから塗ってください。
 
★仕上げ時、仕上げさんは動画ではなく、スキャンされた原画を見て色を塗ることが多いようです。
 スキャンデータだけが届いて、動画の現物が手元にない場合も多いとのこと。
それなら、動画時に裏ヌリは不要では?と思うかもしれませんが、前述のとおり、ヌリ分けは、自分の為です。
 また、原画を描くことになった時に困らないよう、動画時代にきちんとヌリ分け方を学んでおきましょう。