その6 中割りについて | 一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

一本のネジ(アナログからデジタルへ〜手描き動画部)

どの作品にも共通してる「動画作業において気をつけて欲しいこと」を書いてます。
動画をきちんと教えてもらってない人も増えてるようなので、参考にして頂けたらと思ってます。
今は、iPad版クリスタを使った動画作業の流れについて書き加えてるところです。

★原画に詰め指示がある場合はそれに従います。

 シートと原画の中枚数が違う場合は、シートに準じて詰め方を考えましょう。
 
原画に中2枚のツメ指示があるのに、シートでは中3枚になってる場合は、
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というように、全体的に同じような印象になるようにします。
 
難しいのは、下図のような中2枚のツメ指示があるのに、シートでは中1枚になってる場合。
間をとって均等に割るのではなく、
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のように、前後の動きから考えて、先詰めか後詰めにします。
 
★詰め指示が入ってなくても、シートや原画で動きの流れを見て、詰め方を考えてから中割りに入ります。
 
 
★やってはいけない詰め方
 
車などが奥へ向かって走っていくor手前に向かって来る、というような場合、原画に均等割りの指示があったとしても、それは、「車のスピードがだんだん速くなったり、遅くなったりするわけではない」という事だと認識してください。
 
 
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左の図のように、それぞれの原画(丸数字)の間を均等割りすると、4→⑤→6 や 8→⑨→10 の流れで急にスピードが変わってしまいます。右の図のように、全体的に均等な流れになるように中割りを入れてください。
 
最悪なのは、曲線の軌道なのに、それぞれの原画の間を直線で書く事。
 
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こういう動画が上がってきた場合、中割りを全部直したいところですが、時間がない場合はしょうがないので、原画をいじります。
下図のように、軌道をグレーのものに変え、⑤を少し6寄りに、⑨を少し10寄りに詰めた絵を作ります。
 
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本来、原画時点で作りたかった動きとは変わってしまいますが、仕方ありません。
けれど、これは動画チェックや演出サイドで判断することであり、動画上がりを出す前に気づいた場合、自分で勝手に原画の絵を変えるのはやめてください。
 
★目パチの中割りは開き目寄り。
 黒目にマブタがかかると眠そうな目になるので、極力黒目に掛からない位置で。
 
まばたきの場合は、目線は変えませんが、「目を閉じる」という演技の時は目線を下にするといいでしょう。そういう場合は、中枚数も多いので。
 
★口パクの中割りは、基本的には真ん中ですが、どちらかといえば閉じ口寄りで。
 セリフシートが「アキ、中、アキ、中、アキ、中…」と続く時、開き口寄りの絵だと、唇が震えてるだけに見えてしまうので。
 閉じ口寄りなら、「アキ、中、アキ、中…」でも「中、閉じ、中、閉じ…」でも喋ってるように見えますから。
 
 ※稀に、「開き口寄り」を奨励するところもあるようなので注意。(理由は不明)
 ロボット物など、叫ぶシーンが多い作品には、開け口寄り奨励があるような気がします。
 
上の歯は、基本的には開き口と同トレスですが、中割りで歯が見えなくなってしまう時は、閉じ口の時に上の歯がどこにあるかを考えて中割りするといいでしょう。
 
 
★振り向きなど、円筒状の中割りについて
 
円筒状の物を均等に中割りする時は、このように上から見た時に均等になるように考えて描いてください。
見てわかる通り、横から見た絵を中割りする時は、多少、両詰めになります。
 
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首の動きもあるので、円筒とは言い難いですが、振り向きの時の鼻や耳の位置も正面から見える位置については同じ考え方です。
特に、鼻の向こうに隠れてる目の位置はみどりで書いた所になると意識してください。
 
線と線の間を描くのではなく、立体的に形をとらえて、その輪郭を描きます。
形だけではなく、軌道についても同様です。