「マーラーの交響曲の中で一番好きなのは何番?」
という話題を、作曲家仲間の間ですることがあります。
貴方は何番でしょうか。
私は、実はこの第6番「悲劇的」なのです。
相当に重苦しい楽想が支配的な長大な作品ですが、
私はこの作品から、マーラーの輻輳した心情を、
ストレートに感じることができるような気がするのです。
全体の楽章構成は、前作=第5番のような
5楽章3部構成というような独創的なものではなく、
古典的なソナタ形式・スケルツォ・緩徐楽章・フィナーレ
という構成になっています。
中間楽章の並びについては
マーラー自身にも迷いがあったようで、
実際の演奏やリリースされている録音にも、
ソナタ形式・緩徐楽章・スケルツォ・フィナーレの順序を
採っているものも見受けられますが、
私はやはり、前者の必然性が高いと確信しています。
第1楽章は、ソナタ形式による冒頭楽章です。
意外にも、所謂私の言うところのマーラー流ソナタ形式を、
ここでは採用していません。
何と、第1番「巨人」に先例が有るとはいうものの、
提示部の最後に反復記号も持つ、
古典的なソナタ形式の外観を持っているのです。
しかも、一般的には推移主題と解釈されているテーマも
極めて独立性が高くまた展開部や終結部で
重要な素材として扱われているので、
私はむしろ、ブルックナーに近い三主題によるソナタ形式
として捉えた方が分かり易いと考えています。
さて、このように書くと、あまりマーラー的ではない楽章
と思われるかもしれませんが、実はそのような事はないのです。
実にマーラーらしいの音がしますし、
マーラーならではの厭世観や、起伏の激しい心情の放出を、
ストレートに感じることができます。
この作品は、「悲劇的」というタイトルではありますが、
マーラーの「英雄の生涯」といった内容を持っています。
この第1楽章の第一主題は、過酷な運命に立ち向かう自分自身
を暗示していると思われますし、
第三主題(一般的の言う第二主題)は、妻=アルマを描いたと、
自身の手紙に告白しています。
ベートーヴェン以来の、提示部・展開部・再現部・終結部という
4部構成を持つ典型的なソナタ形式の外観を借りつつも、
マーラーが自己の心情を素直に投影した楽章だと
私は強く思うのです。
第2楽章は、マーラー流のスケルツォです。
トリオが二回奏でられる構成になっています。
トリオから主部に戻るところで
更にエピソードが挿入されていますから、
ABDABCAという構成として捉えることができます。
トリオの楽想に、三拍子の中にランダムに四拍子が交錯する
場面が多くありますが、ここは当時妻アルマとの間に
子供を授かったばかりの幸福の絶頂期にあったマーラーが、
よちよち歩きする娘から着想したものとも言われています。
それにしては、少々不気味な楽想にも感じられますが・・・
この第6番は、私が最も愛好する交響曲だけに、
文章が長くなってきてしましました。
後続の楽章については明日の記事に続けましょう。
ここで、私の愛聴盤をご紹介しておきましょう。
最近はもっぱらバーンスタイン盤CDを聴いていますが、
LP時代には、下の写真の盤をよく聴いていました。
この曲の私の一押しが、このショルティ盤です。
シカゴ交響楽団の黄金期の録音で、とにかく勇壮な演奏です。
マーラー/交響曲第6番「悲劇的」
指揮=ゲオルグ・ショルティ
管弦楽=シカゴ交響楽団
LONDON / SCL 2387~8
それから、懐かしの名盤と言うべきものが、
このバルビローリ盤です。
EMI-Angel / EAC-50055-56
演奏時間約80分の大曲ですが、
じっくり味わって聴く価値のある素晴らしい交響曲です。
心を静めて、音楽に向き合ってお聴きください。
という話題を、作曲家仲間の間ですることがあります。
貴方は何番でしょうか。
私は、実はこの第6番「悲劇的」なのです。
相当に重苦しい楽想が支配的な長大な作品ですが、
私はこの作品から、マーラーの輻輳した心情を、
ストレートに感じることができるような気がするのです。
全体の楽章構成は、前作=第5番のような
5楽章3部構成というような独創的なものではなく、
古典的なソナタ形式・スケルツォ・緩徐楽章・フィナーレ
という構成になっています。
中間楽章の並びについては
マーラー自身にも迷いがあったようで、
実際の演奏やリリースされている録音にも、
ソナタ形式・緩徐楽章・スケルツォ・フィナーレの順序を
採っているものも見受けられますが、
私はやはり、前者の必然性が高いと確信しています。
第1楽章は、ソナタ形式による冒頭楽章です。
意外にも、所謂私の言うところのマーラー流ソナタ形式を、
ここでは採用していません。
何と、第1番「巨人」に先例が有るとはいうものの、
提示部の最後に反復記号も持つ、
古典的なソナタ形式の外観を持っているのです。
しかも、一般的には推移主題と解釈されているテーマも
極めて独立性が高くまた展開部や終結部で
重要な素材として扱われているので、
私はむしろ、ブルックナーに近い三主題によるソナタ形式
として捉えた方が分かり易いと考えています。
さて、このように書くと、あまりマーラー的ではない楽章
と思われるかもしれませんが、実はそのような事はないのです。
実にマーラーらしいの音がしますし、
マーラーならではの厭世観や、起伏の激しい心情の放出を、
ストレートに感じることができます。
この作品は、「悲劇的」というタイトルではありますが、
マーラーの「英雄の生涯」といった内容を持っています。
この第1楽章の第一主題は、過酷な運命に立ち向かう自分自身
を暗示していると思われますし、
第三主題(一般的の言う第二主題)は、妻=アルマを描いたと、
自身の手紙に告白しています。
ベートーヴェン以来の、提示部・展開部・再現部・終結部という
4部構成を持つ典型的なソナタ形式の外観を借りつつも、
マーラーが自己の心情を素直に投影した楽章だと
私は強く思うのです。
第2楽章は、マーラー流のスケルツォです。
トリオが二回奏でられる構成になっています。
トリオから主部に戻るところで
更にエピソードが挿入されていますから、
ABDABCAという構成として捉えることができます。
トリオの楽想に、三拍子の中にランダムに四拍子が交錯する
場面が多くありますが、ここは当時妻アルマとの間に
子供を授かったばかりの幸福の絶頂期にあったマーラーが、
よちよち歩きする娘から着想したものとも言われています。
それにしては、少々不気味な楽想にも感じられますが・・・
この第6番は、私が最も愛好する交響曲だけに、
文章が長くなってきてしましました。
後続の楽章については明日の記事に続けましょう。
ここで、私の愛聴盤をご紹介しておきましょう。
最近はもっぱらバーンスタイン盤CDを聴いていますが、
LP時代には、下の写真の盤をよく聴いていました。
この曲の私の一押しが、このショルティ盤です。
シカゴ交響楽団の黄金期の録音で、とにかく勇壮な演奏です。
マーラー/交響曲第6番「悲劇的」
指揮=ゲオルグ・ショルティ
管弦楽=シカゴ交響楽団
LONDON / SCL 2387~8
それから、懐かしの名盤と言うべきものが、
このバルビローリ盤です。
EMI-Angel / EAC-50055-56
演奏時間約80分の大曲ですが、
じっくり味わって聴く価値のある素晴らしい交響曲です。
心を静めて、音楽に向き合ってお聴きください。