松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

松尾祐孝(作曲家・指揮者・音楽プランナー)の
ブログへようこそ!。
音楽を中心に据えつつ記事のテーマや内容は
様々な方向に展開しています。
朝の記事、昼の記事、夕方の記事、夜の記事を基本に、
それぞれの時間帯に個別のシリーズをアップすることもあります。
気軽に覗いてみてください。
皆さんも、音楽と共に在る素敵な人生を!
私が少年期から憧れの存在だったジェームズ・ボンドが
主役のスパイ活劇、007シリーズの最新作は、
2015年暮れから2016年の正月にかけて公開された
<007 スペクター>です。
私は、品川プリンスシネマのシアターZEROの
大画面でたっぷりと楽しんできました。

次々と息を飲むような場面が展開していきます。
娯楽大作でもありアクション・サスペンスでもあり、
007シリーズの面目躍如といった趣でした。

YouTube / 映画『007 スペクター』最新予告編


緊迫感に貫かれた名作の誕生です。



### 007 スペクター / Spectre ###
2015年作品 監督=サム・メンデス
脚本=ジョン・ローガン
製作=バーバラ・ブロッコリ マイケル・G・ウィルソン
原作=イアン・フレミング
主題歌=サム・スミス「Writing's On The Wall」
音楽=トーマス・ニューマン
ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグ
ボンド・ガール=レア・セドゥ
ボンドカー=アストンマーチンDB10
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製作会社=イーオン・プロダクションズ
配給=栄・米 / コロンビア映画
   日本 / SPE
公開=英 / 2015年10月26日
   米 / 2015年11月6日
   日 / 2015年12月4日
上映時間=148分
製作国=イギリス

007.com:http://www.007.com/spectre/?lang=ja

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YouTube / ダニエル・クレイグ、インタビュー映像
         『007 スペクター』
異種の楽器(群)または二群の合奏の対照を
テーマとした作品のタイトルとして使用している
<音・音 / Sound Sound>というシリーズについて、
このところの連続記事として紹介しています。

昨日までに、シリーズ第1作から第3作までを
紹介してきました。そして、
<SOUND SOUND>シリーズ第3作は、
後にヴァージョンを重ねていくことになりました。

今日ご紹介するのは、その第3作の、2019年の9月14日に
久しぶりに再演されたヴァージョンです。
その再演の動画を先ずリンクしておきましょう。



##### 音・音 Ⅲ-b ~笙とリコーダーの為に~ #####

          SOUND SOUND Ⅲ-b
       for Sho and Recorder (2008)   

      <フュージョン・フェスタ>出品作品

演奏時間:約13分

初演:2008年3月 洗足学園 前田ホール
   <現代の音楽展2008>第5夜<フュージョン・フェスタ>            
演奏:笙=宮田まゆみ リコーダー=鈴木俊哉

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このブログのアーカイヴを検索するとご覧いただける
<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>特集記事
の中の<独奏作品展>の中に登場している鈴木俊哉氏の
リコーダーの演奏を、皆さんはご存知でしょうか。
学校教育の中に長く浸透している縦笛=リコーダーに対する
認識が一変してしまうような、鮮烈なパフォーマンスを
鈴木さんは飄々と繰り広げてしまします。

あの2001年10月10日以来、私は、
「いつか鈴木俊哉さんに演奏していただく作品を書きたい」と
想い続けていました。
長らくしれは実現しなかったのですが、
「音楽異種格闘技大会!?」のような「あらゆるフュージョン」
の特集という異例の企画<フュージョン・フェスタ>の企画を
私が担当することになった際に、
真っ先に私の脳裏に浮かんだアイデアが、この作品でした。

笙とコントラバスの為に書いた<SOUND SOUND Ⅲ>の
コントラバスのパートをリコーダーに書き換える形で、
作品が誕生することになったので、このタイトルになりました。

和楽器と洋楽器の対照・・・
高音楽器と低音楽器の対照・・・
リード楽器と歌口楽器の対照・・・
様々な音と音の対照や“フュージョン”を意図した作品です。

尚、リコーダーは、テナーとグレート・バスの
持ち替えとなっています。

初演は、世界的名手であるお二人による
素晴らしい演奏に恵まれて、
前田ホールが冷徹で厳粛ば大空間になり、
<フュージョン・フェスタ>の最終演目として
狙い通りの時空を生成することができました。


・・・<現代の音楽展2008>のプログラム冊子・・・>
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-現代の音楽展2008冊子

《ISCM WNMD 2025 Portugal》訪問記は、本編(音楽祭参加のレポート)を終えて、

番外編(旅行記)に入って既に8回目を数えます。

今日は、音楽祭の最終公演の会場となったジェロニモス修道院について、

あらためてご案内しましょう。

 

 

《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記/番外編8〜ジェロニモス修道院

 

ジェロニモス修道院は、リスボンのテージョ川沿いの西郊の地域、ベレンにあります。

WNMD2025の主要会場の一つになっていたベレン文化センターのすぐ傍でもあり、

また"発見のモニュメント”やベレンの塔"といった観光名所の近くでもあります。

 

 

ポルトガル初の海外進出を果たしたエンリケ航海王子や、

その死後約40年を経てインド航路を発見して

ポルトガルに香料貿易による巨万の富をもたらしたヴァスコ・ダ・ガマなど、

ポルトガルに黄金期をもたらした彼らの功績を称えて、

マヌエル1世がベレンに建立した修道院です。

1502年に着工されて1511年には大回廊など大部分が完成したものの、

マヌエル1世の死やスペインとポルトガルの同君連合などによる中断もあって、

最終的な完成には300年程を要したそうです。

マヌエル様式と呼ばれる過剰なまでの装飾性が特徴的な歴史的な建築です。

 

 

そこかしこにある窓や扉などにも精巧で繊細な彫刻が施されています。

また、天井のアーチの石組みの構造と装飾が実に繊細で、特徴と異彩を放っています。

 

 

 

階段ホールの天井や壁面の絵画なども見事でした。

 

  

 

しかしなんと言っても一番の見どころは中庭を囲む55メートル四方の大回廊でしょう。

二階建ての回廊が幾何学的な庭園を囲んでいる荘厳かつ繊細な建築美は、

他に類例を見ないものです。

 

下の写真5枚は、大回廊の二階で撮ったものです。

 

 

 

 

 

 

ここから下の写真6枚は、大回廊の一階で撮ったものです。

 

 

 

 

 

 

 

音楽祭の最終公演となった弦楽四重奏演奏会が終わった後、日が暮れた中庭は、

さらに美しく輝いて見えました。その美しさの中でWNMD2025は幕を閉じたのでした。

 

 

 

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第43巻の紹介です。

485系特急形直流電車クハ481形200番台

今回は第43巻になります。
本号の付録は、前面貫通タイプの特急形電車として
国鉄ボンネットタイプのイメージチェンジの嚆矢となった
485系特急形直流電車クハ481形200番台の
Nゲージサイズ模型でした。

国産鉄道第43巻パッケージ

さて、いつものようにパッケージを開けましょう。

第43巻冊子

冊子の巻頭記事は、北勢鉄道~三重交通~近鉄~
三岐鉄道と社籍を変更しながら庶民の足として
営業されているナロー鉄道のモニ220形の紹介です。

三岐鉄道北勢線モニ220形

続く記事は、九州の交流電化に伴い登場した
旅客用の電機機関車=ED72形の特集です。
当時はまだ蒸気機関車が多く残っていた
九州の事情に合わせて、重量のかさむ蒸気暖房供給機器を
搭載するために、中間に務動力台車を配して軸重を分散
する必要があったために、EFではなくEDになったのでした。
そして、独特の顔つきが個性的です。

ED72形交流電気機関車

一方で、音楽関係の記事、"ちゃっきり節"
というコーナーもあり、目を惹かれました。

ちゃっきり節

その他、中国の主要幹線に残る庶民の長距離列車、
普通旅客快車(1461/1462列車)の記事がユニークです。

普通旅客快車

そして巻末に本号の主役の登場、
クハ481形200番台直流特急電車の特集記事です。
ボンネットタイプから前面貫通タイプへの
イメージチェンジは、新時代の到来を思わせてくれました。

クハ481形200番台直流特急電車

お楽しみの付録模型はこの通り、
485系特急形直流電車クハ481形200番台、
なかなかの出来栄えです。

485系特急形直流電車クハ481形200番台
グスタフ・マーラーは、交響曲第8番の初演で、
交響曲作曲家としての人生最高の成功を収めました。

しかしその後、クラシック音楽界の大ジンクスに
呵まれることになっていきます。
所謂「第9の呪縛」です。

ベートーヴェン以降のシンフォニストで、
交響曲を9曲を超えて発表した者が居ないという
有名なジンクスを強く意識したのです。

シューベルトも然り、
(当時は「ザ・グレイト」が第9番とされていました)
メンデルスゾーンやシューマンやブラームスは4~5番止まり、
ブルックナーも第9番を未完で鬼籍に入ってしまいました。

生来の心臓疾患が判明して自分の死期が
そう遠くないと悟るようになっていたマーラーは、
第9番を書いてしまったら寿命が尽きるのではないかと
考えるようになってしまったのです。

そこで、第9番を書く前に、
番外編としてこの「大地の歌」を発表して、
既に交響曲を9曲書いたのだからもう大丈夫という
自己暗示の下に、次に<第9番>を書いたという
心理的な事情があったのです。

さて、その交響曲「大地の歌」を紐解いていきましょう。
全6楽章構成で、すべて独唱を伴った楽章になていて、
非常に大規模なオーケストラ伴奏付歌曲といった趣の
作品になっていますし、ソナタ形式楽章は在りません。
しかし、作品の精神的な質量から、
やはり紛れもなく交響曲と言える風格を持っています。

第1楽章=地上の悲愁を詠える酒席の歌(テノール独唱)
 李太白の詩による、厳しさを感じさせる楽章です。
第2楽章=秋に独りいて寂しきもの(アルト独唱)
 銭起の詩による、もの思いに沈んだような楽章です。
第3楽章=青春にふれて(テノール独唱)
 李太白の詩による、快活な情熱を放射する楽章です。
 小粒ながらピリリと辛い、スケルツォのような存在です。
第4楽章=美しさについて(アルト独唱)
 李太白の詩による楽章が続きます。
 静かに始りつつ、次第に熱気を孕んでいきます。 
第5楽章=春にありて酔えるもの(テノール独唱)
 更に李太白の詩による楽章が続きます。
 陶酔感の強い楽章で、最後は激しいコーダで音楽を閉じます。
 終楽章を第二部に見立てると、前半5楽章が第一部となり、
 そのフィナーレと位置付けられる楽章です。
第6楽章=告別(アルト独唱)
 第5楽章までが10分以下の規模であるのに対して、
 この終楽章だけは30分を超える規模を持っています。
 孟浩然と王維の詩を組み合わせて使用しています。
 厭世観に満ちた重々しい楽章です。

テキストを東洋(中国)の詩に求めたことが注目されます。
ハンス・ベトゲが大意訳した漢詩集「支那の笛」から七つの詩を選んでいます。
東洋的でありまたユダヤ的であり、独特の存在感と厭世観に彩られた音楽が、
しみじみと心に滲みる作品です。

マーラー自身は、この作品の演奏を聴くことなく、
この世を去ってしましました。とても残念な気がします。


写真は、私の仕事場のライブラリに在るCDです。
ニューヨーク・フィル常任指揮者時代の
レナード・バーンスタインによるマーラー全集の第5巻で、
「交響曲第9番」、交響曲「大地の歌」、そして
「交響曲第10番からアダージオ」が収録されています。

この「大地の歌」のみ、ニューヨーク・フィルではなく、
イスラエル・フィルを起用しているところが特徴です。
(同様に、第4巻の「交響曲第8番」では、
 ロンドン交響楽団が起用されています。)

マーラーの交響曲受容の歴史上、
最重要と目される全集の最終巻にあたります。
若々しいバーンスタインのポートレートが印象的です。

指揮=レナード・バーンスタイン
管弦楽=イスラエル・フィルハーモニック
アルト=クリスタ・ルートヴィヒ
テノール=ルネ・コロ
バーンスタイン/マーラー全集第5巻
CBS/SONY / 73DC 233-5
交響曲「大地の歌」
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-バーンスタイン盤・大地の歌
長らくアップしてきた<007シリーズ>の記事も、
今回で第22作まで辿着きました。
この<007スカイフォール>は、
シリーズ誕生50周年とロンドン五輪を記念して制作された
正に記念碑的な映画と言えるでしょう。



###シリーズ最新作<007スカイフォール>###
2012年作品 監督=サム・メンデス
製作総指揮=アンソニー・ウェイ
原作=イアン・フレミング
主題歌=アデル「スカイフォール」
音楽=トーマス・ニューマン
ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグ
ボンド・ガール=ベレニス・マーロウ
ボンドカー=アストンマーチンDB5
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YouTube /「007 スカイフォール」新予告(ネット公開版)



2012年の夏に開催されたロンドン五輪の開会式では、
ダニエル・クレイグ演ずるジェームズ・ボンドが
女王陛下をエスコートして空から登場する演出が
大きな話題となりました。
正に「スカイフォール」なのですが、
実はこのタイトルには別の理由があることが、
作品を観て行くうちに明らかになります。

作品によっては、宇宙船や人工衛星まで登場して、
あまりにも空想的であったりSF的になってしまうこともあった
このシリーズでしたが、今回はかなり現実的な内容になっていて、
今一度、本来のアクション映画の醍醐味を、
前面に押し出しているようにも感じられます。

今までのこのシリーズの作品と同様に、
世界各地で撮影が繰り広げられたようですが、
今回のロケ地の一つに、日本の軍艦島(長崎県)が登場します。
なかなか凄いシーンです。

物語の後半には、ボンドカーとして懐かしい
アストンマーチンDB5も、ボンド個人所有車として
颯爽と登場して疾走します。

一方では、シリーズ通算6代目となる
Q=秘密諜報部員向けの特殊装備を開発する専門家が、
若々しく登場して大活躍を見せています。

流石は「007シリーズ」、見応えたっぷりの作品です。

YouTube / 007 / スカイフォール (字幕版)
         MGMvodJP
異種の楽器(群)または二群の合奏の対照を
テーマとした作品のタイトルとして使用している
<音・音 / Sound Sound>というシリーズについて、
一昨日から数日の連続記事として紹介しています。
今日は第3作の紹介します。

#### 音・音 Ⅲ ~笙とコントラバスの為に~ ####

          SOUND SOUND Ⅲ
       for Sho and Contrabass (2000)   

          真鍋尚之委嘱作品

演奏時間:約13分

初演:2000年7月 紀尾井ホール
   <真鍋尚之リサイタル>            
演奏:笙=真鍋尚之 コントラバス=溝入敬三

再演:2001年10月 横浜みなとみらいホール(大ホール)
   <ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>
      オープニング・コンサート
演奏:笙=真鍋尚之 コントラバス=溝入敬三

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未来を担う若手の笙奏者の一人に、真鍋尚之さんが居ます。
作曲家としての研鑽も洗足学園音楽大学で積んだ後に、
東京藝術大学に雅楽専攻が開設された時に入学して、
以前から続けてきた笙の分野での研鑽に更に磨きをかけて、
その後、国立劇場主催の作曲コンクールで自作自演で優勝する等、
華々しい活躍で注目されている、気鋭の演奏家です。
その真鍋さんのリサイタルのために作品を委嘱され、
更には氏の最初のCDに収録もしていただきました。

また、横浜在住の演奏家による委嘱作品で、協演者も横浜在住
ということと、邦楽器と洋楽器の協奏作品ということもあって、
<ISCM世界音楽の日々2001横浜大会>の開催初日夜の公演=
<オープニング・コンサート>にもプログラミングされました。

高音楽器で構造的には管楽器である笙と、
低音楽器で弦楽器であルコントラバスの対照、
拍節感がほとんど無い曲の前半部と、
悠然とした拍節がたゆたう曲の後半部の対照が、
この作品の基本コンセプトになっています。

また、慎重に吟味して構築したこの作品の音構造は、
その後の私の他の作品にも応用されていることを考えると、
小粒な作品ながらなかなかの重要作なのかもしれません。

この作品が収録されているCDが下の写真です。
「呼吸」~真鍋尚之-笙リサイタル
ALM RECORDS / ALCD-9023

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-真鍋尚之CD「呼吸」

《ISCM WNMD 2025 Portugal》訪問記は、本編(音楽祭参加のレポート)を終えて、

番外編(旅行記)に入っています。

 

《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記/番外編7〜国立馬車博物館旧館〜

 

 

WNMD2025の最終日夕方公演(児童合唱演奏会)の会場となった

国立馬車美術館旧館は、元は1726年にイタリア人建築家によって建てられた

乗馬学校という、由緒ある建物でした。今でも多くの馬車が展示してあるホールの奥に

演奏会場が設えられて、ISCMポルトガル大会の最後から2番目の演奏会が行われました。

 

 

トラムが走る大通りを挟んで斜向かいにある新館の現代建築とは対照的で、

歴史的な風格が漂う空間でした。

 

 

下に、こちらの旧館に展示されていた馬車の数々の写真をアップしておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

気分は正にシンデレラ!、といった感じの国立馬車博物館でした。

 

 

 

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第42巻の紹介です。

155系修学旅行用直流電車クハ155形

今回は第42巻になります。
本号の付録は、修学旅行専用電車として
一世を風靡した155系直流電車の先頭車、
クハ155形のNゲージサイズ模型でした。

「国産鉄道」第42巻パッケージ

さて、いつものようにパッケージを開けて、
奥底から冊子を出してみましょう。

第42巻冊子

暫く旧国鉄車両の特集が続いていた巻頭記事ですが、
本号は久しぶりに私鉄の往年の名車の紹介です。
東急が電車に初めてステンレス車体を試行した
5200系電車の懐かしい雄姿と記事が堪能できます。
子供の頃、大井町線でよく見かけました。

東急5200系

後続の記事は、一転して旧国鉄の
電気機関車の特集でした。

山陽本線の瀬野八専用補機の旧型電機の代替
として改造整備が始められたものの、
諸般の事情から増備が頓挫したという
曰く付きのEF61形200番台直流電気機関車が
紹介されていました。

EF61形200番台直流電気機関車

その他、枕崎駅舎の記事も目を惹きました。
廃線になった後ながら、地元住民や鉄道愛好家の
要望と行動によって再建されたものだそうです。

枕崎駅舎

更に、JR四国の社員が内装のデザインを考案したらしい
四国初の本格的観光列車"伊予灘ものがたり"の紹介記事も、
なかなか微笑ましいものでした。

伊予灘ものがたり~四国初の本格的観光列車

そして巻末に本号の主役の登場です。
戦後の国鉄電車の近代化の中で誕生して、
東海道新幹線開通後も暫くは旺盛な重要に応えて
大活躍をした修学旅行専用電車の草分け、
155系修学旅行用直流電車の特集です。

155系修学旅行用直流電車

その先頭車=クハ155形のNゲージサイズ模型が
お楽しみの付録でした。

155系修学旅行用直流電車クハ155形
マーラーの交響曲の紹介も、遂に最大の作品=
交響曲第8番「千人の交響曲」に到達しました。

第1番「巨人」で青春の息吹とも言うべき門出を飾った後、
第2番「復活」、第3番「夏の交響曲」と声楽を伴う巨大な作品が続いた後、
終楽章に声楽が導入されてはいるものの規模は小さくなった
第4番「天上の生活」による過渡期を経て、
いよいよ中期の器楽三部作と言われる第5番・第6番・第7番に進んできました。

そしてこの第8番では、再び声楽を伴う作品の立ち戻ります。
しかも、一部の楽章に独唱や合唱が導入されていたこれまでのケース
とは違って、ほぼ全編にわたって声楽が扱われています。

また、全曲の構成からは従来の「楽章」という表記が消えて「部」のみとなりました。
第2番・第3番で、長大な冒頭楽章を第一部として、後続の楽章を第二部としました。
第5番では、第1・2楽章を第一部、第3楽章を第二部、
第4・5楽章を第三部とする構成を採用しましたが、
そしてこの第8番では、遂に「部」のみによる構成に至ったのです。

第一部は、マーラー流ソナタ形式(ABABABAABA)による壮大な冒頭楽章です。
第6番「悲劇的」の第1楽章・第1主題の音型=
「ラ~ラ・ド・シラ~ラ・・・」が、
第7番「夜の歌」の第1楽章・第1主題の音型=
「ミ・シ・シソ・ファ♯ミ・ラ・・・」を経て、
この第8番の第一部・第1主題では、
「ミ♭~シ♭・ラ♭~ソ・ファミ♭~ファ・シ♭・・・」と
言うようにより大胆なテーマに進化したように感じられます。
終結部がフーガの手法によって導入される等、
音楽史全体を包括するような宇宙を構築しています。
ほぼ全編にわたって声楽が導入されていますが、
器楽的楽章としても充分に有機的な素晴らしい音楽だと私は思います。

第二部は、ゲーテの<ファウスト>の終幕をテキストにした、
交響曲としては極めて異例な楽章です。
ウィーン宮廷歌劇場(現・国立歌劇場)総監督と地位にまで
上り詰めて、オペラ指揮者としての名声を確立した
指揮者としてのマーラーでしたが、
作曲家としてはオペラを作曲しませんでした。
そういった状況の中にあって、この楽章は、
マーラーの最もオペラ的な作品と考えられます。

しかし、第一部で提示・展開されたテーマ・素材を駆使して、
一時間近い音楽を紡ぎ出して行く様は、器楽的作品として聴いても実に圧巻です。
最後のコーダで、第一部冒頭のテーマが更に発展して、
「ミ♭~シ♭~ド~・ミ♭~シ♭~ド~・・・」と、
7度音程が9度音程に拡大して全曲を閉じるところは、
何度聴いても鳥肌が立ってきます。

この第8番はマーラーがオペラ指揮者でありながら歌劇を書かなかった中で、
最もオペラ的な作品とも言われます。
しかし、声楽を導入しながらもマーラー流ソナタ形式をほぼ崩さずに適用した
第一部の構成の見事さに、紛れもない交響曲としての風格が備わっていると、
私は考えています。

LPレコード時代の私の愛聴盤がこのバーンスタイン盤です。
レナード・バーンスタイン指揮/ロンドン交響楽団
CBS/SONY / SOCL 121-2 (LP)

ニューヨーク・フィルと「マーラー全集」を録音していた
NYP常任指揮者時代のバーンスタインでしたが、
この第8番のみ、諸般の事情からロンドン交響楽団と
録音していることが、異例と言えば異例というディスクです。
ジャケットの写真は、録音会場となったロンドンの
ロイヤル・アルバート・ホールの演奏中の模様です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-マーラー8番バーンスタイン盤