• 30 Jun
    • 許可さんの名演〜胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>

      6月26日の記事の通り、T氏から<天風愛舞和庵>のタイトルをいただいて以来、密に心に秘めていた構想がありました。天・風・愛・舞・和・庵という6文字の漢字のイメージに沿った6つの部分から構成される作品、できれば二胡とオーケストラの為の協奏曲を作曲したいと考えていたのです。その想いは、指揮者=大野和士氏と東京フィルハーモニー交響楽団との協働プロジェクト<アジア環太平洋作曲家シリーズ>の中で、実現することになりました。同シリーズ第1回の演奏会で、初演されたのです。###胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>###        (1998)東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品演奏時間:約20分楽器編成:2222/422/3perc.hp/strings初演:1998年11月 文化村オーチャードホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団   指揮=沼尻竜典モンゴルの草原で青空を見上げるような澄み切った雰囲気の「天」で始まり、やがて(二胡の演奏による)馬の鳴き声が聞こえ「風」がふき、連綿と二胡独奏のミニ・カデンツァの断続が「愛」を語ります。一転してリズミカルな「舞」の音楽が二胡と同じ抱絃楽器の仲間である津軽三味線のエッセンスを盛り込みながら興奮をかき立てていき、遂には全てを包み込むようなクライマックスとなる「和」に到達します。その頂点が崩れ落ちるように収束した後、「庵」によって、静寂の中を揺蕩うようなエンディングとなる、そのような6部分から構成される協奏曲が結実しました。その初演は、素晴らしく美しい演奏でした。許可さんの時に大胆で時に繊細な独奏と、色彩感豊かな東京フィルのサウンドが相俟って、CD化されていない事がもったいない位の名演になりました。2管フル編成で20分の演奏時間という大作になった為もあって、なかなか再演の機会に恵まれないのですが、私自身ももう一度聴いてみたい作品です。尚、タイトルの「胡琴協奏曲」の「胡琴」という言葉は、胡弓属楽器の正式な呼称ということです。許可さんから伺いました。通常の二胡(大小もあるようです)、板胡(蛇皮の変わりに板を張った北方の楽器)京胡(京劇の伴奏につかうタイプの胡弓)等の総称ということです。この作品では、演奏者が自由にこれらの楽器を持ち替えて演奏してよいという設定にしてあります。ヴァイオリン協奏曲としても演奏可能です。<天風愛舞和庵>シリーズの紹介はこれで最後です。さて、明日からの話題は何にしましょう!写真は、久しぶりに香港の夜景にしました。

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  • 29 Jun
    • 2013年10月に久しぶりに再演された<天風愛舞和庵>Ⅱ〜胡弓とピアノの為に〜

      2013年10月6日に、この作品が久しぶりに再演されました。洗足学園音楽大学の新校舎=シルバーマウンテンのお披露目コンサートシリーズの一環として私がプロデュースして開催した公演で、許可氏(二胡)と山田武彦氏(ピアノ)という二人の希代の名手による演奏で再演されました。学園創立90周年プレコンサート         SILVER MOUNTAIN OPENING CONCERT<二胡との出会い@シルバーマウンテン~許可氏を迎えて~>10月6日(日)18:30開演・2Fスタジオ/チケット=2000円主催:洗足学園音楽大学 大学院後援:日本現代音楽協会出演:許可(二胡) 山本祐ノ介(Vc.) 山田武彦(Pf.)   松尾祐孝(ナビゲート/プロデュース/作曲)【プログラム】 劉天華/除夜小唱(良宵)  二胡=許可 ピアノ=松尾祐孝 許可/風韻         二胡=許可 ピアノ=山田武彦 王建民/天山風情      二胡=許可 ピアノ=山田武彦 松尾祐孝/天風愛舞和庵 Ⅱ ~Ten・Five・One~(1993)                二胡=許可 ピアノ=山田武彦 許可/思念         二胡=許可 ピアノ=山田武彦          ♪♪♪ 休憩 ♪♪♪ イギリス民謡/イギリスの子守歌 “ルル・バ”      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 J.S.バッハ/G線上のアリア      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 王燕樵/アトーシ組曲より 1.アトーシの朝 2.結婚舞曲     二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 許可/郷間喜悦(板胡)   二胡=許可 ピアノ=山田武彦#############################では、曲の紹介をしましょう。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1993)許可氏委嘱作品 演奏時間:約9分初演:1993年12月 東京文化会館 小ホール 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   ピアノ=小山京子許可氏のリサイタルの通常のプログラムは、前半がクラシック小品や世界の名曲を二胡で演奏するコーナー、後半がお国物で中国の民族性をアピール、というパターンが多いのですが、北京での学生時代に多くの作曲家と切磋琢磨した氏としては、現代作品の演奏への意欲も強く持っていました。しかし、集客の問題等から、なかなか現代作品を主体とした大胆なプログラムによるリサイタルを主催できずにいたのです。ようやく、1993年暮れに、私がアドヴァイザーになって、現代作品をずらりと並べたリサイタルを開催できたのです。そのリサイタルのために書いた作品が、この曲です。下の写真は、クラシック小品や世界の名曲を収録した許可氏のCDです。ヴァイオリンに負けない表現力をたっぷりと堪能してください。[メロディー/許可] BMG Hong Kong / 8.242157その類稀な音楽性とメカニックの融合した演奏によって、許可氏の人気は正に鰻登りになっていきました。東京を拠点にしつつBMG香港からCDをリリースするという活動が軌道にのっていましたが、やがて更なる世界進出に向かっていきました。アメリカを拠点を移したのです。最初はニューオリンズ、そして遂にはニューヨークを拠点として、ヨーヨー・マ(中国出身のチェリスト)の率いるシルクロード・アンサンブルに参画する等、世界の二胡奏者として輝かしい活躍を展開されているのです。その許可氏の為に、待望のオーケストラとの協奏曲を書くチャンスが、遂に1998年に訪れたのでした。明日の記事で紹介しましょう。

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  • 28 Jun
    • 台湾でも演奏された作品=胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>

      二胡(胡弓)作品<天風愛舞和庵>シリーズの紹介を始めましょう。1992年の4月に、深新會の主催で打楽器アンサンブル作品展を開催することになりました。丁度、許可氏のための作品を書きたいと考えていた私は、二胡(胡弓)と打楽器アンサンブルの為の作品を出品することにしました。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1992)<深新會第20回作品展>第1夜 出品作品演奏時間:約14分初演:1992年6月 abc会館ホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   打楽器=ポーロゥニア・パーカッションアンサンブル   指揮=松尾祐孝台湾初演:1992年12月 台北 中正民族楽団演奏会     胡弓=薫正明      打楽器=中正民族楽団     指揮=松尾祐孝      この作品では、現代音楽作品という観念を捨てて、胡弓(二胡)の本来の持ち味を活かすことを最優先して作曲を進めたので、私の作品の中ではリラックスして聴くことができる曲になりました。また、初演早々に当時緊密にコンタクトをとっていた台湾の現代音楽界との連系によって、台湾初演も実現しました。台湾では、最初は指揮無しで演奏する予定だったのですが、結局指揮が必要ということになり、急遽私が指揮台に立つことになりました。その出演料の替わりに胡弓独奏者の薫正明氏からいただいたステージコスチュームが、下の写真です。その台湾初演のステージと、翌年からナヴィゲーターを担当したNHK教育テレビ番組「ゆかいなコンサート」でゲストに許可氏(二胡奏者/一昨日の記事参照)をお迎えした回の収録で、実際に着用しました。

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  • 27 Jun
    • <天風愛舞和庵>!?〜変わったタイトルの秘密

      昨日の記事でお約束した通り、<天風愛舞和庵>というタイトルの読み方や由来をご紹介しましょう。1990年代前半当時の知人に、海をこよなく愛する男=T氏がいました。私が良く立ち寄った喫茶店で面識を得るようになったのですが、氏が所有されていたクルーザーに乗せていただきトローリングを体験させていただいたり、奥様が切り盛りされていた”まるで高級ホテルのバーのような雰囲気の” 焼き鳥店にお邪魔をしたり、いろいろとお世話になりました。そのクルーザーの船名とお店の屋号が<天風愛舞和庵>だったのです。変わったネーミングなのでその由来をお尋ねしたところ、T氏のお名前に因んだラッキーナンバーから編み出した当て字との由。10 / 5 / 1 → テン / ファイブ / ワン → 天 / 風愛舞 / 和庵 →天風愛舞和庵 という訳だったのです。ですから、読み方は、「テン・ファイブ・ワン」です。ある夜、許可氏を連れてその焼き鳥店にお邪魔をして、カウンターで一献傾けながらコースターや割りばしの包み紙の印字を眺めていると、その典雅な字面に引き込まれるような想いになり、「自分が許可さんの二胡の為に曲を書くとしたら、そのタイトルにピッタリのイメージだな」と考えるようになったのです。丁度ご主人のT氏も居られたので、その場で、私の作品のタイトルに<天風愛舞和庵>を使用することの了承を得るに至ったのです。まずタイトルありき・・・そこから私の二胡作品へのアプローチが始ったのでした。残念ながら、T氏は既に鬼籍に入られてしまい、クルーザーもお店ももうありませんが、宝物のような想い出と共に作品が残っているのです。Tさん、ありがとうございました。写真は、許可氏演奏の中国人作曲家=何占豪作品のアルバムです。[莫愁女幻想曲] 中国太平洋彩音公司録製出版 / ALCD-7708

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  • 26 Jun
    • 二胡を学べるキャンパスが誕生!〜<天風愛舞和案>シリーズ誕生秘話

      皆さんは、"許可さん" をご存知でしょうか。日本語の許可証の許可ではありません。中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。2013年の10月6日(日)に久しぶりに許可さんと一緒にコンサートを開催しました。更にその後、許可さんは洗足学園音楽大学の客員教授に就任されて、2016年度から作曲コースの特別専攻という形で、二胡を専攻する学生の入学を受け入れることができることになりました。 更に2018年度からは、新設されるワールドミュージックコースの選考楽器の一つとしてノミネートされます。二胡を学べるキャンパスの誕生です。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -許可氏は、このブログ記事の<新世紀への讃歌>テーマの各曲の紹介の中でも何度か触れた、中国の作曲家達と同世代の音楽家です。文化対革命期の直後に再開された北京中央音楽院で、彼らと共に研鑽を積んだ音楽家です。西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な奏法のほぼ全てを可能にするなど、楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から国際的な独奏楽器に、一気に高めている、パイオニアです。卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や中国芸術家代表団(訪米楽旅)コンサートマスターを歴任した後、活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、まず最初の拠点を日本の東京に定めました。もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら徐々に日本での知名度を上げていったのです。その頃(1990年代前半)、中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が日本で急速に注目されるようになって、度々来日していました。氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で懇意になって以来、折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、「貴方に紹介したい人物が居るので、今からここに呼びましょう」と言って、中国語で電話をかけはじめました。それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、人懐こい笑顔を湛えて現れました。それが、許可氏だったのです。すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。そして実際に、その後の数年の間に、私は二胡の為の作品を書いていったのです。そのタイトルは<天風愛舞和庵>となりました。なんと読むか・・・それは明日の記事でご披露しましょう。写真は、私の大のお気に入りの許可氏のCDの一つです。中国の伝統楽曲の極上のエッセンス満載です。[弦中韻~胡弓の調べ~許可] BMG Hong Kong / 8.242144

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  • 09 Mar
    • 許可さんの名演〜胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>

      3月5日の記事の通り、T氏から<天風愛舞和庵>のタイトルをいただいて以来、密に心に秘めていた構想がありました。天・風・愛・舞・和・庵という6文字の漢字のイメージに沿った6つの部分から構成される作品、できれば二胡とオーケストラの為の協奏曲を作曲したいと考えていたのです。その想いは、指揮者=大野和士氏と東京フィルハーモニー交響楽団との協働プロジェクト<アジア環太平洋作曲家シリーズ>の中で、実現することになりました。同シリーズ第1回の演奏会で、初演されたのです。###胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>###        (1998)東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品演奏時間:約20分楽器編成:2222/422/3perc.hp/strings初演:1998年11月 文化村オーチャードホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団   指揮=沼尻竜典モンゴルの草原で青空を見上げるような澄み切った雰囲気の「天」で始まり、やがて(二胡の演奏による)馬の鳴き声が聞こえ「風」がふき、連綿と二胡独奏のミニ・カデンツァの断続が「愛」を語ります。一転してリズミカルな「舞」の音楽が二胡と同じ抱絃楽器の仲間である津軽三味線のエッセンスを盛り込みながら興奮をかき立てていき、遂には全てを包み込むようなクライマックスとなる「和」に到達します。その頂点が崩れ落ちるように収束した後、「庵」によって、静寂の中を揺蕩うようなエンディングとなる、そのような6部分から構成される協奏曲が結実しました。その初演は、素晴らしく美しい演奏でした。許可さんの時に大胆で時に繊細な独奏と、色彩感豊かな東京フィルのサウンドが相俟って、CD化されていない事がもったいない位の名演になりました。2管フル編成で20分の演奏時間という大作になった為もあって、なかなか再演の機会に恵まれないのですが、私自身ももう一度聴いてみたい作品です。尚、タイトルの「胡琴協奏曲」の「胡琴」という言葉は、胡弓属楽器の正式な呼称ということです。許可さんから伺いました。通常の二胡(大小もあるようです)、板胡(蛇皮の変わりに板を張った北方の楽器)京胡(京劇の伴奏につかうタイプの胡弓)等の総称ということです。この作品では、演奏者が自由にこれらの楽器を持ち替えて演奏してよいという設定にしてあります。ヴァイオリン協奏曲としても演奏可能です。<天風愛舞和庵>シリーズの紹介はこれで最後です。さて、明日からの話題は何にしましょう!写真は、久しぶりに香港の夜景にしました。

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  • 08 Mar
    • 2013年10月に久しぶりに再演された<天風愛舞和庵>Ⅱ〜胡弓とピアノの為に〜

      2013年10月6日に、この作品が久しぶりに再演されました。洗足学園音楽大学の新校舎=シルバーマウンテンのお披露目コンサートシリーズの一環として私がプロデュースして開催した公演で、許可氏(二胡)と山田武彦氏(ピアノ)という二人の希代の名手による演奏で再演されました。学園創立90周年プレコンサート         SILVER MOUNTAIN OPENING CONCERT<二胡との出会い@シルバーマウンテン~許可氏を迎えて~>10月6日(日)18:30開演・2Fスタジオ/チケット=2000円主催:洗足学園音楽大学 大学院後援:日本現代音楽協会出演:許可(二胡) 山本祐ノ介(Vc.) 山田武彦(Pf.)   松尾祐孝(ナビゲート/プロデュース/作曲)【プログラム】 劉天華/除夜小唱(良宵)  二胡=許可 ピアノ=松尾祐孝 許可/風韻         二胡=許可 ピアノ=山田武彦 王建民/天山風情      二胡=許可 ピアノ=山田武彦 松尾祐孝/天風愛舞和庵 Ⅱ ~Ten・Five・One~(1993)                二胡=許可 ピアノ=山田武彦 許可/思念         二胡=許可 ピアノ=山田武彦          ♪♪♪ 休憩 ♪♪♪ イギリス民謡/イギリスの子守歌 “ルル・バ”      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 J.S.バッハ/G線上のアリア      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 王燕樵/アトーシ組曲より 1.アトーシの朝 2.結婚舞曲     二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 許可/郷間喜悦(板胡)   二胡=許可 ピアノ=山田武彦#############################では、曲の紹介をしましょう。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1993)許可氏委嘱作品 演奏時間:約9分初演:1993年12月 東京文化会館 小ホール 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   ピアノ=小山京子許可氏のリサイタルの通常のプログラムは、前半がクラシック小品や世界の名曲を二胡で演奏するコーナー、後半がお国物で中国の民族性をアピール、というパターンが多いのですが、北京での学生時代に多くの作曲家と切磋琢磨した氏としては、現代作品の演奏への意欲も強く持っていました。しかし、集客の問題等から、なかなか現代作品を主体とした大胆なプログラムによるリサイタルを主催できずにいたのです。ようやく、1993年暮れに、私がアドヴァイザーになって、現代作品をずらりと並べたリサイタルを開催できたのです。そのリサイタルのために書いた作品が、この曲です。下の写真は、クラシック小品や世界の名曲を収録した許可氏のCDです。ヴァイオリンに負けない表現力をたっぷりと堪能してください。[メロディー/許可] BMG Hong Kong / 8.242157その類稀な音楽性とメカニックの融合した演奏によって、許可氏の人気は正に鰻登りになっていきました。東京を拠点にしつつBMG香港からCDをリリースするという活動が軌道にのっていましたが、やがて更なる世界進出に向かっていきました。アメリカを拠点を移したのです。最初はニューオリンズ、そして遂にはニューヨークを拠点として、ヨーヨー・マ(中国出身のチェリスト)の率いるシルクロード・アンサンブルに参画する等、世界の二胡奏者として輝かしい活躍を展開されているのです。その許可氏の為に、待望のオーケストラとの協奏曲を書くチャンスが、遂に1998年に訪れたのでした。明日の記事で紹介しましょう。

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  • 07 Mar
    • 台湾でも演奏された作品=胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>

      私が作曲した二胡(胡弓)作品、<天風愛舞和庵>シリーズの紹介を始めましょう。1992年の4月に、深新會の主催で打楽器アンサンブル作品展を開催することになりました。丁度、許可氏のための作品を書きたいと考えていた私は、二胡(胡弓)と打楽器アンサンブルの為の作品を出品することにしました。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1992)<深新會第20回作品展>第1夜 出品作品演奏時間:約14分初演:1992年6月 abc会館ホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   打楽器=ポーロゥニア・パーカッションアンサンブル   指揮=松尾祐孝台湾初演:1992年12月 台北 中正民族楽団演奏会     胡弓=薫正明      打楽器=中正民族楽団     指揮=松尾祐孝      この作品では、現代音楽作品という観念を捨てて、胡弓(二胡)の本来の持ち味を活かすことを最優先して作曲を進めたので、私の作品の中ではリラックスして聴くことができる曲になりました。また、初演早々に当時緊密にコンタクトをとっていた台湾の現代音楽界との連系によって、台湾初演も実現しました。台湾では、最初は指揮無しで演奏する予定だったのですが、結局指揮が必要ということになり、急遽私が指揮台に立つことになりました。その出演料の替わりに胡弓独奏者の薫正明氏からいただいたステージコスチュームが、下の写真です。その台湾初演のステージと、翌年からナヴィゲーターを担当したNHK教育テレビ番組「ゆかいなコンサート」でゲストに許可氏(二胡奏者/一昨日の記事参照)をお迎えした回の収録で、実際に着用しました。

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  • 05 Mar
    • <天風愛舞和庵>!?〜変わったタイトルの秘密

      昨日の記事でお約束した通り、<天風愛舞和庵>というタイトルの読み方や由来をご紹介しましょう。1990年代前半当時の知人に、海をこよなく愛する男=T氏がいました。私が良く立ち寄った喫茶店で面識を得るようになったのですが、氏が所有されていたクルーザーに乗せていただきトローリングを体験させていただいたり、奥様が切り盛りされていた”まるで高級ホテルのバーのような雰囲気の” 焼き鳥店にお邪魔をしたり、いろいろとお世話になりました。そのクルーザーの船名とお店の屋号が<天風愛舞和庵>だったのです。変わったネーミングなのでその由来をお尋ねしたところ、T氏のお名前に因んだラッキーナンバーから編み出した当て字との由。10 / 5 / 1 → テン / ファイブ / ワン → 天 / 風愛舞 / 和庵 →天風愛舞和庵 という訳だったのです。ですから、読み方は、「テン・ファイブ・ワン」です。ある夜、許可氏を連れてその焼き鳥店にお邪魔をして、カウンターで一献傾けながらコースターや割りばしの包み紙の印字を眺めていると、その典雅な字面に引き込まれるような想いになり、「自分が許可さんの二胡の為に曲を書くとしたら、そのタイトルにピッタリのイメージだな」と考えるようになったのです。丁度ご主人のT氏も居られたので、その場で、私の作品のタイトルに<天風愛舞和庵>を使用することの了承を得るに至ったのです。まずタイトルありき・・・そこから私の二胡作品へのアプローチが始ったのでした。残念ながら、T氏は既に鬼籍に入られてしまい、クルーザーもお店ももうありませんが、宝物のような想い出と共に作品が残っているのです。Tさん、ありがとうございました。写真は許可氏演奏の中国人作曲家=何占豪作品のアルバムです。[莫愁女幻想曲] 中国太平洋彩音公司録製出版 / ALCD-7708

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  • 04 Mar
    • 二胡を学べるキャンパスが誕生!〜<天風愛舞和庵>シリーズ誕生秘話

      皆さんは、"許可さん" をご存知でしょうか。日本語の許可証の許可ではありません。中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。2013年の10月6日(日)に久しぶりに許可さんと一緒にコンサートを開催しました。更にその後、許可さんは洗足学園音楽大学の客員教授に就任されて、いよいよ作曲コースの特別専攻という形で、二胡を専攻する学生の入学を受け入れることができることになりました。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -許可氏は、このブログ記事の<新世紀への讃歌>テーマの各曲の紹介の中でも何度か触れた、中国の作曲家達と同世代の音楽家です。文化対革命期の直後に再開された北京中央音楽院で、彼らと共に研鑽を積んだ音楽家です。西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な奏法のほぼ全てを可能にするなど、楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から国際的な独奏楽器に一気に高めている、自他共に認めるパイオニアです。卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や中国芸術家代表団訪米楽旅コンサートマスターを歴任した後、活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、まず最初の拠点を日本の東京に定めました。もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら徐々に日本での知名度を上げていったのです。その頃(1990年代前半)、中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が日本で急速に注目されるようになって、度々来日していました。氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で懇意になって以来、折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、「貴方に紹介したい人物が居るので、今からここに呼びましょう。」と言って、中国語で電話をかけはじめました。それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、人懐こい笑顔を湛えて現れました。それが、許可氏だったのです。すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。そして実際に、その後の数年の間に、私は二胡の為の作品を書いていったのです。そのタイトルは<天風愛舞和庵>となりました。なんと読むか・・・それは明日の記事でご披露しましょう。写真は、私の大のお気に入りの許可氏のCDの一つです。中国の伝統楽曲の極上のエッセンス満載です。[弦中韻~胡弓の調べ~許可] BMG Hong Kong / 8.242144

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  • 22 Dec
    • 許可さんの名演〜胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>

      12月19日の記事の通り、T氏から<天風愛舞和庵>のタイトルをいただいて以来、密に心に秘めていた構想がありました。天・風・愛・舞・和・庵という6文字の漢字のイメージに沿った6つの部分から構成される作品、できれば二胡とオーケストラの為の協奏曲を作曲したいと考えていたのです。その想いは、指揮者=大野和士氏と東京フィルハーモニー交響楽団との協働プロジェクト<アジア環太平洋作曲家シリーズ>の中で、実現することになりました。同シリーズ第1回の演奏会で、初演されたのです。###胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>###        (1998)東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品演奏時間:約20分楽器編成:2222/422/3perc.hp/strings初演:1998年11月 文化村オーチャードホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団   指揮=沼尻竜典モンゴルの草原で青空を見上げるような澄み切った雰囲気の「天」で始まり、やがて(二胡の演奏による)馬の鳴き声が聞こえ「風」がふき、連綿と二胡独奏のミニ・カデンツァの断続が「愛」を語ります。一転してリズミカルな「舞」の音楽が二胡と同じ抱絃楽器の仲間である津軽三味線のエッセンスを盛り込みながら興奮をかき立てていき、遂には全てを包み込むようなクライマックスとなる「和」に到達します。その頂点が崩れ落ちるように収束した後、「庵」によって、静寂の中を揺蕩うようなエンディングとなる、そのような6部分から構成される協奏曲が結実しました。その初演は、素晴らしく美しい演奏でした。許可さんの時に大胆で時に繊細な独奏と、色彩感豊かな東京フィルのサウンドが相俟って、CD化されていない事がもったいない位の名演になりました。2管フル編成で20分の演奏時間という大作になった為もあって、なかなか再演の機会に恵まれないのですが、私自身ももう一度聴いてみたい作品です。尚、タイトルの「胡琴協奏曲」の「胡琴」という言葉は、胡弓属楽器の正式な呼称ということです。許可さんから伺いました。通常の二胡(大小もあるようです)、板胡(蛇皮の変わりに板を張った北方の楽器)京胡(京劇の伴奏につかうタイプの胡弓)等の総称ということです。この作品では、演奏者が自由にこれらの楽器を持ち替えて演奏してよいという設定にしてあります。ヴァイオリン協奏曲としても演奏可能です。<天風愛舞和庵>シリーズの紹介はこれで最後です。さて、明日からの話題は何にしましょう!写真は、久しぶりに香港の夜景にしました。

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  • 21 Dec
    • 昨年10月に久しぶりに再演された<天風愛舞和庵>Ⅱ〜胡弓とピアノの為に〜

      昨年10月6日に、この作品が久しぶりに再演されました。洗足学園音楽大学の新校舎=シルバーマウンテンのお披露目コンサートシリーズの一環として私がプロデュースして開催した公演で、許可氏(二胡)と山田武彦氏(ピアノ)という二人の希代の名手による演奏で再演されました。学園創立90周年プレコンサート         SILVER MOUNTAIN OPENING CONCERT<二胡との出会い@シルバーマウンテン~許可氏を迎えて~>10月6日(日)18:30開演・2Fスタジオ/チケット=2000円主催:洗足学園音楽大学 大学院後援:日本現代音楽協会出演:許可(二胡) 山本祐ノ介(Vc.) 山田武彦(Pf.)   松尾祐孝(ナビゲート/プロデュース/作曲)【プログラム】 劉天華/除夜小唱(良宵)  二胡=許可 ピアノ=松尾祐孝 許可/風韻         二胡=許可 ピアノ=山田武彦 王建民/天山風情      二胡=許可 ピアノ=山田武彦 松尾祐孝/天風愛舞和庵 Ⅱ ~Ten・Five・One~(1993)                二胡=許可 ピアノ=山田武彦 許可/思念         二胡=許可 ピアノ=山田武彦          ♪♪♪ 休憩 ♪♪♪ イギリス民謡/イギリスの子守歌 “ルル・バ”      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 J.S.バッハ/G線上のアリア      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 王燕樵/アトーシ組曲より 1.アトーシの朝 2.結婚舞曲     二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 許可/郷間喜悦(板胡)   二胡=許可 ピアノ=山田武彦#############################では、曲の紹介をしましょう。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1993)許可氏委嘱作品 演奏時間:約9分初演:1993年12月 東京文化会館 小ホール 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   ピアノ=小山京子許可氏のリサイタルの通常のプログラムは、前半がクラシック小品や世界の名曲を二胡で演奏するコーナー、後半がお国物で中国の民族性をアピール、というパターンが多いのですが、北京での学生時代に多くの作曲家と切磋琢磨した氏としては、現代作品の演奏への意欲も強く持っていました。しかし、集客の問題等から、なかなか現代作品を主体とした大胆なプログラムによるリサイタルを主催できずにいたのです。ようやく、1993年暮れに、私がアドヴァイザーになって、現代作品をずらりと並べたリサイタルを開催できたのです。そのリサイタルのために書いた作品が、この曲です。下の写真は、クラシック小品や世界の名曲を収録した許可氏のCDです。ヴァイオリンに負けない表現力をたっぷりと堪能してください。[メロディー/許可] BMG Hong Kong / 8.242157その類稀な音楽性とメカニックの融合した演奏によって、許可氏の人気は正に鰻登りになっていきました。東京を拠点にしつつBMG香港からCDをリリースするという活動が軌道にのっていましたが、やがて更なる世界進出に向かっていきました。アメリカを拠点を移したのです。最初はニューオリンズ、そして遂にはニューヨークを拠点として、ヨーヨー・マ(中国出身のチェリスト)の率いるシルクロード・アンサンブルに参画する等、世界の二胡奏者として輝かしい活躍を展開されているのです。その許可氏の為に、待望のオーケストラとの協奏曲を書くチャンスが、遂に1998年に訪れたのでした。明日の記事で紹介しましょう。

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  • 20 Dec
    • 台湾でも演奏された作品=胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>

      二胡(胡弓)作品<天風愛舞和庵>シリーズの紹介を始めましょう。1992年の4月に、深新會(<飛来>シリーズの記事参照)の主催で打楽器アンサンブル作品展を開催することになりました。丁度、許可氏のための作品を書きたいと考えていた私は、二胡(胡弓)と打楽器アンサンブルの為の作品を出品することにしました。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1992)<深新會第20回作品展>第1夜 出品作品演奏時間:約14分初演:1992年6月 abc会館ホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   打楽器=ポーロゥニア・パーカッションアンサンブル   指揮=松尾祐孝台湾初演:1992年12月 台北 中正民族楽団演奏会     胡弓=薫正明      打楽器=中正民族楽団     指揮=松尾祐孝      この作品では、現代音楽作品という観念を捨てて、胡弓(二胡)の本来の持ち味を活かすことを最優先して作曲を進めたので、私の作品の中ではリラックスして聴くことができる曲になりました。また、初演早々に当時緊密にコンタクトをとっていた台湾の現代音楽界との連系によって、台湾初演も実現しました。台湾では、最初は指揮無しで演奏する予定だったのですが、結局指揮が必要ということになり、急遽私が指揮台に立つことになりました。その出演料の替わりに胡弓独奏者の薫正明氏からいただいたステージコスチュームが、下の写真です。その台湾初演のステージと、翌年からナヴィゲーターを担当したNHK教育テレビ番組「ゆかいなコンサート」でゲストに許可氏(二胡奏者/一昨日の記事参照)をお迎えした回の収録で、実際に着用しました。

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  • 19 Dec
    • <天風愛舞和庵>!?〜変わったタイトルの秘密

      昨日の記事でお約束した通り、<天風愛舞和庵>というタイトルの読み方や由来をご紹介しましょう。1990年代前半当時の知人に、海をこよなく愛する男=T氏がいました。私が良く立ち寄った喫茶店で面識を得るようになったのですが、氏が所有されていたクルーザーに乗せていただきトローリングを体験させていただいたり、奥様が切り盛りされていた”まるで高級ホテルのバーのような雰囲気の” 焼き鳥店にお邪魔をしたり、いろいろとお世話になりました。そのクルーザーの船名とお店の屋号が<天風愛舞和庵>だったのです。変わったネーミングなのでその由来をお尋ねしたところ、T氏のお名前に因んだラッキーナンバーから編み出した当て字との由。10 / 5 / 1 → テン / ファイブ / ワン → 天 / 風愛舞 / 和庵 →天風愛舞和庵 という訳だったのです。ですから、読み方は、「テン・ファイブ・ワン」です。ある夜、許可氏を連れてその焼き鳥店にお邪魔をして、カウンターで一献傾けながらコースターや割りばしの包み紙の印字を眺めていると、その典雅な字面に引き込まれるような想いになり、「自分が許可さんの二胡の為に曲を書くとしたら、そのタイトルにピッタリのイメージだな」と考えるようになったのです。丁度ご主人のT氏も居られたので、その場で、私の作品のタイトルに<天風愛舞和庵>を使用することの了承を得るに至ったのです。まずタイトルありき・・・そこから私の二胡作品へのアプローチが始ったのでした。残念ながら、T氏は既に鬼籍に入られてしまい、クルーザーもお店ももうありませんが、宝物のような想い出と共に作品が残っているのです。Tさん、ありがとうございました。写真は、許可氏演奏の中国人作曲家=何占豪作品のアルバムです。[莫愁女幻想曲] 中国太平洋彩音公司録製出版 / ALCD-7708

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  • 18 Dec
    • 二胡を学べるキャンパスが誕生!〜<天風愛舞和案>シリーズ誕生秘話

      皆さんは、"許可さん" をご存知でしょうか。日本語の許可証の許可ではありません。中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。昨年の10月6日(日)に久しぶりに許可さんと一緒にコンサートを開催しました。更にその後、許可さんは洗足学園音楽大学の客員教授に就任されて、いよいよ作曲コースの特別専攻という形で、二胡を専攻する学生の入学を受け入れることができることになりました。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -許可氏は、このブログ記事の<新世紀への讃歌>テーマの各曲の紹介の中でも何度か触れた、中国の作曲家達と同世代の音楽家です。文化対革命期の直後に再開された北京中央音楽院で、彼らと共に研鑽を積んだ音楽家です。西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な奏法のほぼ全てを可能にするなど、楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から国際的な独奏楽器に、一気に高めている、パイオニアです。卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や中国芸術家代表団(訪米楽旅)コンサートマスターを歴任した後、活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、まず最初の拠点を日本の東京に定めました。もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら徐々に日本での知名度を上げていったのです。その頃(1990年代前半)、中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が日本で急速に注目されるようになって、度々来日していました。氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で懇意になって以来、折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、「貴方に紹介したい人物が居るので、今からここに呼びましょう」と言って、中国語で電話をかけはじめました。それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、人懐こい笑顔を湛えて現れました。それが、許可氏だったのです。すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。そして実際に、その後の数年の間に、私は二胡の為の作品を書いていったのです。そのタイトルは<天風愛舞和庵>となりました。なんと読むか・・・それは明日の記事でご披露しましょう。写真は、私の大のお気に入りの許可氏のCDの一つです。中国の伝統楽曲の極上のエッセンス満載です。[弦中韻~胡弓の調べ~許可] BMG Hong Kong / 8.242144

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  • 24 Sep
    • 許可さんの名演〜胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>

      9月20日の記事の通り、T氏から<天風愛舞和庵>のタイトルをいただいて依頼、密に心に秘めていた構想がありました。天・風・愛・舞・和・庵という6文字の漢字のイメージに沿った6つの部分から構成される作品、できれば二胡とオーケストラの為の協奏曲を作曲したいと考えていたのです。その想いは、指揮者=大野和士氏と東京フィルハーモニー交響楽団との協働プロジェクト<アジア環太平洋作曲家シリーズ>の中で、実現することになりました。同シリーズ第1回の演奏会で、初演されたのです。###胡琴協奏曲<天風愛舞和庵>###        (1998)東京フィルハーモニー交響楽団委嘱作品演奏時間:約20分楽器編成:2222/422/3perc.hp/strings初演:1998年11月 文化村オーチャードホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団   指揮=沼尻竜典モンゴルの草原で青空を見上げるような雰囲気の「天」で始まり、やがて(二胡の演奏による)馬の鳴き声が聞こえてきて「風」がふき、連綿と二胡独奏のミニ・カデンツァの断続が「愛」を語ります。一転してリズミカルな「舞」の音楽が二胡と同じ抱絃楽器の仲間である津軽三味線のエッセンスを盛り込みながら興奮をかき立てていき、遂には全てを包み込むようなクライマックス「和」に到達します。その頂点が崩れ落ちるように収束した後、「庵」によって、静寂の中をたゆたうようなエンディングとなる、そのような6部分から構成される協奏曲が結実しました。その初演は、素晴らしく美しい演奏でした。許可さんの時に大胆で時に繊細な独奏と、色彩感豊かな東京フィルのサウンドが相俟って、CD化されていない事がもったいない位の名演になりました。2管フル編成で20分の演奏時間という大作になった為もあって、なかなか再演の機会に恵まれないのですが、私自身ももう一度聴いてみたい作品です。尚、タイトルの「胡琴協奏曲」の「胡琴」という言葉は、胡弓属楽器の正式な呼称ということです。許可さんから伺いました。通常の二胡(大小もあるようです)、板胡(蛇皮の変わりに板を張った北方の楽器)京胡(京劇の伴奏につかうタイプの胡弓)等の総称ということです。この作品では、演奏者が自由にこれらの楽器を持ち替えて演奏してよいという設定にしてあります。ヴァイオリン協奏曲としても演奏可能です。<天風愛舞和庵>シリーズの紹介はこれで最後です。さて、明日からの話題は何にしましょう!写真は、久しぶりに香港の夜景にしました。

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  • 22 Sep
    • 10月6日に久しぶりに再演される!<天風愛舞和庵>Ⅱ〜胡弓とピアノの為に〜

      さて、この作品が10月6日に久しぶりに再演されます。許可氏(二胡)と山田武彦氏(ピアノ)という二人の希代の名手による演奏を、作曲者としても大いに楽しみにしているところです。学園創立90周年プレコンサート         SILVER MOUNTAIN OPENING CONCERT<二胡との出会い@シルバーマウンテン~許可氏を迎えて~>10月6日(日)18:30開演・2Fスタジオ/チケット=2000円主催:洗足学園音楽大学 大学院後援:日本現代音楽協会出演:許可(二胡) 山本祐ノ介(Vc.) 山田武彦(Pf.)   松尾祐孝(ナビゲート/プロデュース/作曲)【プログラム】 劉天華/除夜小唱(良宵)  二胡=許可 ピアノ=松尾祐孝 許可/風韻         二胡=許可 ピアノ=山田武彦 王建民/天山風情      二胡=許可 ピアノ=山田武彦 松尾祐孝/天風愛舞和庵 Ⅱ ~Ten・Five・One~(1993)                二胡=許可 ピアノ=山田武彦 許可/思念         二胡=許可 ピアノ=山田武彦          ♪♪♪ 休憩 ♪♪♪ イギリス民謡/イギリスの子守歌 “ルル・バ”      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 J.S.バッハ/G線上のアリア      二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 王燕樵/アトーシ組曲より 1.アトーシの朝 2.結婚舞曲     二胡=許可 チェロ=山本祐ノ介 ピアノ=山田武彦 許可/郷間喜悦(板胡)   二胡=許可 ピアノ=山田武彦※大学演奏部を通じてのご予約は各公演の2週間前の同曜日 午前10:00よりコンサートガイドにて販売予定(若干数)  www.senzoku-concert.jp※事前予約及び内容に関するお問い合わせは下記までコンタクト (松尾祐孝宛直接申し込み) m.matsuo.psm@bird.ocn.ne.jp FAX:03-3748-0330#############################では、曲の紹介をしましょう。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1993)許可氏委嘱作品 演奏時間:約9分初演:1993年12月 東京文化会館 小ホール 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   ピアノ=小山京子許可氏のリサイタルの通常のプログラムは、前半がクラシック小品や世界の名曲を二胡で演奏するコーナー、後半がお国物で中国の民族性をアピール、というパターンが多いのですが、北京での学生時代に多くの作曲家と切磋琢磨した氏としては、現代作品の演奏への意欲も強く持っていました。しかし、集客の問題等から、なかなか現代作品を主体とした大胆なプログラムによるリサイタルを主催できずにいたのです。ようやく、1993年暮れに、私がアドヴァイザーになって、現代作品をずらりと並べたリサイタルを開催できたのです。そのリサイタルのために書いた作品が、この曲です。下の写真は、クラシック小品や世界の名曲を収録した許可氏のCDです。ヴァイオリンに負けない表現力をたっぷりと堪能してください。[メロディー/許可] BMG Hong Kong / 8.242157その類稀な音楽性とメカニックの融合した演奏によって、許可氏の人気は正に鰻登りになっていきました。東京を拠点にしつつBMG香港からCDをリリースするという活動が軌道にのっていましたが、やがて更なる世界進出に向かっていきました。アメリカを拠点を移したのです。最初はニューオリンズ、そして遂にはニューヨークを拠点として、ヨーヨー・マ(中国出身のチェリスト)の率いるシルクロード・アンサンブルに参画する等、世界の二胡奏者として輝かしい活躍を展開されているのです。その許可氏の為に、待望のオーケストラとの協奏曲を書くチャンスが、遂に1998年に訪れたのでした。明日の記事で紹介しましょう。

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  • 21 Sep
    • 台湾でも演奏された作品=胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>

      二胡(胡弓)作品<天風愛舞和庵>シリーズの紹介を始めましょう。1992年の4月に、深新會(<飛来>シリーズの記事参照)の主催で打楽器アンサンブル作品展を開催することになりました。丁度、許可氏のための作品を書きたいと考えていた私は、二胡(胡弓)と打楽器アンサンブルの為の作品を出品することにしました。###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###        (1992)<深新會第20回作品展>第1夜 出品作品演奏時間:約14分初演:1992年6月 abc会館ホール(東京) 演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)   打楽器=ポーロゥニア・パーカッションアンサンブル   指揮=松尾祐孝台湾初演:1992年12月 台北 中正民族楽団演奏会     胡弓=薫正明      打楽器=中正民族楽団     指揮=松尾祐孝      この作品では、現代音楽作品という観念を捨てて、胡弓(二胡)の本来の持ち味を活かすことを最優先して作曲を進めたので、私の作品の中ではリラックスして聴くことができる曲になりました。また、初演早々に当時緊密にコンタクトをとっていた台湾の現代音楽界との連系によって、台湾初演も実現しました。台湾では、最初は指揮無しで演奏する予定だったのですが、結局指揮が必要ということになり、急遽私が指揮台に立つことになりました。その出演料の替わりに胡弓独奏者の薫正明氏からいただいたステージコスチュームが、下の写真です。その台湾初演のステージと、翌年からナヴィゲーターを担当したNHK教育テレビ番組「ゆかいなコンサート」でゲストに許可氏(二胡奏者/一昨日の記事参照)をお迎えした回の収録で、実際に着用しました。

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  • 20 Sep
    • <天風愛舞和庵>!?〜変わったタイトルの秘密

      昨日の記事でお約束した通り、<天風愛舞和庵>というタイトルの読み方や由来をご紹介しましょう。1990年代前半当時の知人に、海をこよなく愛する男=T氏がいました。私が良く立ち寄った喫茶店で面識を得るようになったのですが、氏が所有されていたクルーザーに乗せていただきトローリングを体験させていただいたり、奥様が切り盛りされていた”まるで高級ホテルのバーのような雰囲気の” 焼き鳥店にお邪魔をしたり、いろいろとお世話になりました。そのクルーザーの船名とお店の屋号が<天風愛舞和庵>だったのです。変わったネーミングなのでその由来をお尋ねしたところ、T氏のお名前に因んだラッキーナンバーから編み出した当て字との由。10 / 5 / 1 → テン / ファイブ / ワン → 天 / 風愛舞 / 和庵 →天風愛舞和庵 という訳だったのです。ですから、読み方は、「テン・ファイブ・ワン」です。ある夜、許可氏を連れてその焼き鳥店にお邪魔をして、カウンターで一献傾けながらコースターや割りばしの包み紙の印字を眺めていると、その典雅な字面に引き込まれるような想いになり、「自分が許可さんの二胡の為に曲を書くとしたら、そのタイトルにピッタリのイメージだな」と考えるようになったのです。丁度ご主人のT氏も居られたので、その場で、私の作品のタイトルに<天風愛舞和庵>を使用することの了承を得るに至ったのです。まずタイトルありき・・・そこから私の二胡作品へのアプローチが始ったのでした。残念ながら、T氏は既に鬼籍に入られてしまい、クルーザーもお店ももうありませんが、宝物のような想い出と共に作品が残っているのです。Tさん、ありがとうございました。写真は、許可氏演奏の中国人作曲家=何占豪作品のアルバムです。[莫愁女幻想曲] 中国太平洋彩音公司録製出版 / ALCD-7708

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  • 19 Sep
    • 許可さんとの出会い〜<天風愛舞和案>シリーズ誕生秘話

      皆さんは、"許可さん" をご存知でしょうか。日本語の許可証の許可ではありません。中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。10月6日(日)に久しぶりに許可さんと一緒にコンサートを開催することになったので、氏の事をあらためて皆さんに紹介しようと思います。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -許可氏は、このブログ記事の<新世紀への讃歌>テーマの各曲の紹介の中でも何度か触れた、中国の作曲家達と同世代の音楽家です。文化対革命期の直後に再開された北京中央音楽院で、彼らと共に研鑽を積んだ音楽家です。西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な奏法のほぼ全てを可能にするなど、楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から国際的な独奏楽器に、一気に高めている、パイオニアです。卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や中国芸術家代表団(訪米楽旅)コンサートマスターを歴任した後、活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、まず最初の拠点を日本の東京に定めました。もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら徐々に日本での知名度を上げていったのです。その頃(1990年代前半)、中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が日本で急速に注目されるようになって、度々来日していました。氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で懇意になって以来、折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、「貴方に紹介したい人物が居るので、今からここに呼びましょう」と言って、中国語で電話をかけはじめました。それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、人懐こい笑顔を湛えて現れました。それが、許可氏だったのです。すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。そして実際に、その後の数年の間に、私は二胡の為の作品を書いていったのです。そのタイトルは<天風愛舞和庵>となりました。なんと読むか・・・それは明日の記事でご披露しましょう。写真は、私の大のお気に入りの許可氏のCDの一つです。中国の伝統楽曲の極上のエッセンス満載です。[弦中韻~胡弓の調べ~許可] BMG Hong Kong / 8.242144

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プロフィール

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松尾祐孝(まつお・まさたか) 1959年 東京生まれ 1982年 東京藝術大学音楽学部作曲科...

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