【夕顔272-3】古文常識「蔵人弁」
官位の名称は、なぜ覚える必要があるのでしょうか?
それに気づけば、「注釈にほとんど載ってるから」と
スルーしたりはしなくなるはずですよ!
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【古文常識】を覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
蔵人弁を召し寄せて、まめやかにかかるよしを奏せさせたまふ。大殿などにも、かかることありて、え参らぬ御消息など聞こえたまふ。
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今回出てきた古文単語
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■【蔵人弁(くらうどのべん)】…蔵人で太政官の弁官を兼ねた者
■【を】…対象の格助詞
■【召し寄せ】…サ行下二段動詞「召し寄す」連用形
※【召し寄す】…「呼び寄す」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【まめやかに】…ナリ活用形容動詞「まめやかなり」連用形
※【まめやかなり】…まじめだ
■【かかる】…このような
■【よし】…事情
■【を】…対象の格助詞
■【奏せ】…サ変動詞「す」未然形
※【奏す】…「言ふ」の謙譲(作者⇒帝)
■【させ】…使役の助動詞「さす」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【大殿(おほとの)】…左大臣
■【など】…婉曲の副助詞
■【に】…対象の格助詞
■【も】…列挙の係助詞
■【かかる】…このような
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【え~ず】…~出来ない
■【参ら】…ラ行四段動詞「参る」未然形
※【参(まゐ)る】…「行く」の謙譲(作者⇒帝)
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【御―】…尊敬の接頭語
■【消息(せうそこ)】…手紙
■【など】…例示の副助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…(手紙を)「送る」の謙譲(作者⇒左大臣)
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 今回は「させ」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「蔵人弁」 ☆
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蔵人弁を召し寄せて、まめやかにかかるよしを奏せさせたまふ。大殿などにも、かかることありて、え参らぬ御消息など聞こえたまふ。
問)傍線部の意味として最も適当なものを一つ選べ。
1.朝廷の最高官職である蔵人弁を呼ばせていただいて
2.帝に近侍して取り次ぎをする蔵人弁をお召しになって
3.二条院の女房である蔵人弁を近くにお召しになって
4.蔵人弁という昼食をお召し上がりになって
5.蔵人弁というお着物をお召しになって
覚えるべき古文常識の中には、
よく官位名称が載ってますよね。
今回出て来た「蔵人弁」も、その1つです。
ヽ(*'0'*)ツ
【蔵人弁(くろうどのべん)】
【名詞】
…蔵人で太政官の弁官を兼ねた者
※Weblio古語辞典より
「蔵人(くろうど)」というのは、蔵人所の役人のことです。
天皇のそばに仕える「令外(りやうげ)の官」の1つで、
はじめ、皇室の文書や蔵を管理したり、
伝奏や宮中の諸事をつかさどったりしていました。
後には、天皇のおそば近くに仕え、
衣服・食事などの日常生活に奉仕するようにもなりました。
今回は、その「蔵人」と、
「弁官(役所の事務連絡係)」とを兼務してる官職名ですね。
ヽ(*'0'*)ツ
官位は、四位、五位、六位などであったようです。
まあ、詳しい話はともかくとして、
「蔵人弁」が官職名だと分かっていれば、
選択肢4・5が消えますよね!
( ゚∀゚; )
1.朝廷の最高官職である蔵人弁を呼ばせていただいて
2.帝に近侍して取り次ぎをする蔵人弁をお召しになって
3.二条院の女房である蔵人弁を近くにお召しになって
4.蔵人弁という昼食をお召し上がりになって
5.蔵人弁というお着物をお召しになって
ちなみに、このような名で呼ばれる女房もいるかもしれませんが、
この後の、「帝への奏上を申し伝える」という役務から
選択肢3も消えるはず!
(o´・ω・`o)ノ
「蔵人弁」くらいは、
注釈でなく、このような問題として出題されることも
国公二次などでは、あると思います。
現代文の小説などでもよく言われますが、
「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」
という状況をしっかり確認していかないと
文脈をうまくつかめません;;
特に古文では、
文脈判断を要する割合が非常に大きいので、
なるべく正確に、状況を把握していく姿勢が重要です。
(σ・∀・)σ
この官職名の把握は、
「誰が」という部分を正確に押さえるため不可欠です。
1.朝廷の最高官職である蔵人弁を呼ばせていただいて
2.帝に近侍して取り次ぎをする蔵人弁をお召しになって
もちろん、今回の場合は、
「召す」という敬語の種類でも判別はつきますが、
偏差値62を越す入試問題になると
そうはいきませんよ!
ちなみに、この蔵人弁は、
後々に出てきますが、
頭中将の弟みたいですよ!
【解答】…2
蔵人弁を召し寄せて、まめやかにかかるよしを奏せさせたまふ。大殿などにも、かかることありて、え参らぬ御消息など聞こえたまふ。
● 過去記事リンク
■斯かる
■大殿
■も
■きこゆ
■たまふ
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