【帚木254-2】頭中将「消息もせで」の心情☆
こんばんはあいです。
イラスト解釈では、古文目線を養うための古典常識を中心にお話ししています。
お役に立てたら幸いですっ♪
(*^m^*)
↓今回の源氏物語↓
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「…さる憂きことやあらむとも知らず、心には忘れずながら、消息などもせで久しくはべりしに、…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭の女性体験談を受け、頭中将も、自分の体験談を話ります。ひそかに関係を持っていた女はとても控えめで、頭中将は徐々に惹かれていったため、頭中将の妻が嫉妬して、脅迫状を送ったそうです。
今日は、「消息」しない頭中将のこと☆
では今日もいってみよ~~っ♪
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「…さる憂きことやあらむとも知らず、心には忘れずながら、①消息などもせで久しくはべりしに、…」
問)傍線部①の理由として最も適当なものを選べ。
1.おっとりとした愛人の優しさに愛情が移り、本妻には見向きもしなくなったから。
2.愛人に対する本妻の嫌がらせに気づかず、そばにいなくてもよいと思ったから。
3.愛人に対する本妻の嫌がらせにより、手紙を送るすべが絶たれてしまったから。
4.愛人のことを忘れずにいたため、本妻への訪問がおろそかになってしまったから。
5.愛人の優しさに気を許しており、こまめに連絡をとることを怠ってしまったから。
古文の心情・理由説明問題では、
「已然形+ば」など、根拠が明確なものが出題されやすいです。
ヾ(@^▽^@)ノ
しかしながら…
上の設問のように、
根拠がはっきり書かれておらず、
古典常識を勘案して解答を導き出す問題も、
選択問題の場合では、少なからず出題されると思います。
(;´Д`)ノ
要するに、古文のセンスが問われているんですね!
ここでは、「消息」の意味と、その役割をもとに、
解読していきますねー!!
(o^-')b
「消」は【死】、「息」は【生】の意で、
本来は、その人の安否をたずねるという意味。
現代、用いている意味に通じますね♪
しかし、古文では、
もっと幅広く、安否をたずねる手段の意として、用いられていたんです!
「消息(せうそこ) 」
①手紙、伝言
②訪問すること、取り次ぎ
(※『全訳古語例解辞典』小学館 より)
つまり、
手紙や訪問することは、当時は安否をたずねる手段にほかならなかったんです!
現代社会では、電話もあればメールもある。
近しい関係であれば、何かあれば、必ず連絡が入ります。
新聞や公報で、出産や訃報の情報だって得られる、
そんな情報化社会です。
しかし、古典の世界は、どうでしょう。
もし、何かあれば、向こうから連絡が入らないことも多かったのではないでしょうか?
「ごきげんいかがですか?」
手紙や伝言、訪問などによって、安否をたずねることは、
当時の男女関係では、常識的なことだったにちがいありません!
しかしながら、
ここでの頭中将は、心には忘れずにいながらも、
「消息もせで(=連絡もしないで)」
本妻の愛人への嫌がらせにも気づかないでいました;
(;゚;∀;゚;)
では、なぜ「消息」もしなかったのか??
これは、ちょっと前にも出て来た、
「たまさか 」にも通ずる古典常識☆
「消息もせで」の理由も、まさにこれだったんですね!
(ノ´▽`)ノ
正解は…5
次回の講釈おたのしみに☆
(o^-')b
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あいでした