【夕顔272-2】敬語の複合問題☆偏差値58☆
今回は重要古語ばかり出てきてますが、
センター試験必須の敬語問題を押さえましょう!
明日更新の重要古語にて、リンク先を提示いたしますねっ!
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末をさせ、光源氏は茫然自失のまま二条院へ戻ります。宮中からの使者などが見舞いにやって来るなか、光源氏は頭中将を簾越しに呼び、参内できない理由を伝えます。
【今回の源氏物語】
蔵人弁を召し寄せて、まめやかにかかるよしを奏せさせたまふ。大殿などにも、かかることありて、え参らぬ御消息など聞こえたまふ。
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☆ 古文オリジナル問題~偏差値レベル58 ☆
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蔵人弁を召し寄せて、まめやかにかかるよしを奏せさせたまふ。大殿などにも、かかることありて、え参らぬ御消息など聞こえたまふ。
問)傍線部の説明として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.「奏す」は、謙譲語のサ変動詞で、帝への敬意を表す。
2.「させ」は尊敬の助動詞で、光源氏への敬意を表す。
3.「たまふ」は尊敬の補助動詞で、二重尊敬となっている。
4.傍線部の主語は、蔵人弁である。
5.傍線部全体の敬意方向は、作者から帝への敬意である。
今回のオリジナル問題のポイントは、
「させ」の識別です。
助動詞「す」「さす」は、
使役・尊敬の2つの意味があります。
「す」「さす」が単独で用いられている場合は、
有無を言わせず、必ず使役になるのですが、
「―せ・たまふ」「―させ・たまふ」というふうに
尊敬の補助動詞とともに用いられている場合は、
使役なのか、尊敬なのかを文脈判断する必要が生じます。
傍線部を含む一文の主語は、光源氏です。
光源氏が、蔵人弁をお呼び寄せになって、
傍線部「奏せさせたまふ」と続きます。
【奏す(そうす)】
【他動詞:サ行変格活用】
①(天皇・上皇・法皇に)申し上げる(「言ふ」の謙譲)
②音楽を演奏する
※Weblio古語辞典より
この他動詞があることで、
「奏す」の敬意対象(動作の受け手)が、帝であることが分かります。
1.「奏す」は、謙譲語のサ変動詞で、帝への敬意を表す。
ここをきちんと理解できてたら、
あとの選択肢を見なくても、答えが分かりますね^^;
ちなみに、
蔵人弁を呼んできて、
帝への奏上を伝えてもらうんだから、
「させ」は、尊敬ではなく、使役になります。
2.「させ」は尊敬(×)の助動詞で、光源氏への敬意(×)を表す。
3.「たまふ」は尊敬の補助動詞(○)で、二重尊敬(×)となっている。
4.傍線部の主語は、蔵人弁(×)である。※主語は光源氏
5.傍線部全体の敬意方向(△)は、作者から帝への敬意である。
選択肢5ですが、
敬意方向は、全体で決まるのではなく、
「奏せ」という謙譲語、「たまふ」という尊敬語、
それぞれに対しての敬意方向があります。
それを、二方面敬語というんですよ!
(o^-')b
【正解】…1