前回、渋幕①の女子受験者併願校動向から、今後の女子最優秀層における共学校人気を占う上では、サピックスが単独冠コースとして、SS渋渋を設置するか否かが重要だと述べました。
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今日は、SS渋渋単独冠コースの実現可能性などについて考えてみたいと思います。ちなみに私の認識では、昨年までに渋渋の単独冠コースはサピックスでは設置されていないという前提でいます。
私ももはや中学受験生の親でもなく(しかも男子親)、サピックスの中の人でもないのにヒマ人ですね。笑
まあ趣味みたいなものですし、現在中学受験に全く関係ない立場なので、かえって客観的に見られるところもあると思います。よろしければお付き合いください。
1 SS渋渋の需要
渋渋の偏差値急上昇
前回見たとおり、女子最優秀層集団と思われる渋幕①の女子受験者の中では、2月2日、3日の共学校人気はこの数年間でかなり上昇しています。
2月1日の桜蔭・JGは堅調ですが、偏差値が桜蔭と並んだ今年以降、渋渋①を選択したいと思う高偏差値層の女子受験生は増加すると思います。1日の偏差値が桜蔭と並ぶというのは、それだけのインパクトのある出来事だと思うのです。
今年の6年前期SOの合判資料を見てみたいところですが、残念ながら入手できませんので、今年の受験生の動向は私はわかりません。23年組の方は合判資料で渋渋①を志望する受験生の偏差値層を確認してみてください。昨年より上位層が増加しているのではないでしょうか?
仮にそうだとすれば、サピックスとして渋渋を第一志望とする女子最優秀層を無視するわけにはいかないでしょうし、受験生からもSS渋渋(単独)を望む声はかなり出てくるのではないでしょうか。
サピックス側のこれまでの対応の背景
ここからは完全な推測です。
渋渋を志望する層からは、サンデーサピックス(SS)に渋渋単独冠コースを設置せよという声は数年前からあったのだろうと思います。ただ、今までは2月1日の最高偏差値は桜蔭・二番手がJGという構図が長年続いており、渋渋①は急上昇していたものの、昨年4月時点ではJGの1つ下の60でした。
また2日の渋渋②の偏差値も昨年の春時点では63であり、桜蔭より1ポイント上ではありますが、まだ併願校として許容できる範囲とも言えます。
そうすると、サピックスとしては、最優秀層の女子に対して「2月1日は実力的に渋渋①はもったいない。やはり桜蔭かJGにチャレンジし、渋渋を受験したければ2日と5日で受験したらどうか?」という併願パターンを勧め易かったと思うのです。大部分の渋渋志望者がそのような選択をするのであれば、「桜蔭・渋渋」とか「JG・渋渋」というコースを作って対策すればよく、渋渋単独冠コースは設置する必要がない、という運用に合理性があることになります。
また、桜蔭・JGについては対策プリントも充実し、相当なノウハウが蓄積されているでしょうから、サピックスとしても桜蔭・JGを志望してくれる方が指導しやすいということもあるでしょう。
さらに、少なくとも現在までは、桜蔭・JGの合格実績は、やはり進学塾の実績の指標として最重要という認識です。渋渋②でも合格できそうな受験生が、1日に渋渋①を大挙して受験してしまうと、桜蔭・JGの合格者数が減ってしまうことになります。
これまでの偏差値の前提が崩れた先は?
しかし、今年渋渋①の偏差値が桜蔭に並び、渋渋②③の偏差値が女子最高となる64となったことで、これまでの前提が崩れる可能性が出てきました。
偏差値的に余裕があっても、やはり試験は水物です。渋渋が第一志望の女子の場合、サピックスとしても2日の渋渋②、5日の渋渋③はリスクが高く、1日は桜蔭・JGではなく渋渋①を選択することを勧めざるを得ないと思われます。
そうすると、今後1日桜蔭・JG、2日渋渋②の併願パターンを勧められるのは、
①桜蔭・JGの志望度が渋渋より明らかに上
②桜蔭・JGと渋渋の志望度は同等だが、偏差値64以上など渋渋②でも80%の合格可能性が出ている
という場合に限られるようになると思います。
他方で、渋渋を第一志望として渋渋①受験を選択した場合、当然2日も渋渋②を受験することになりますから(渋渋①の女子併願パターンでもそのような傾向は明らかでした)、渋渋単独冠コースの需要は急速に高まります。
つまり、「SS桜蔭・渋渋」「SSJG・渋渋」コースだけではフォローできない層が増え、「SS渋渋」単独冠コースの設置が急務となります。
2 サピックスとしてどうするべきか?
現在サピックスとして、第一志望を渋渋とする女子受験生がどの程度増加しているかを慎重に分析しているのではないかと思います。これが一過性のものではなく、このまま渋渋を第一志望とする層が増加するとしたら、「SS渋渋」がないと女子最優秀層のサピックス離れが発生するリスクが高まります。
この点は男子において「SS筑駒」がないこととは事情が異なります。男子の場合、筑駒が2月3日、開成が2月1日なので、筑駒志望層の多くは開成を併願します。従って、SS開成があり、そこで筑駒対策も実施してくれるのであれば、男子最優秀層はSS筑駒の単独冠コースがなくとも、SS開成に在籍する意義があり、サピックス離れを起こす流れにはなりにくいのです。
他方、女子における渋渋と桜蔭・JGの関係は異なります。渋渋を第一志望とし、渋渋①の受験を決断すると、桜蔭・JGは受験できません。つまり、渋渋を熱望する受験生については、SS桜蔭・SSJGを受講するメリットはなくなるのです。従って、女子最優秀層にとって「SS渋渋」単独冠コースの必要性は非常に高く、男子最優秀層にとって「SS筑駒」単独冠コースの有無がそれほど重要でないのと異なります。
また、男子でも渋渋を第一志望とする受験生も確実に増加していると思いますので、その需要も取り込めます。SSはこれまで男子校、女子校を冠校とするコースが一般的でしたので、一部の小規模校以外では男女別のコースとなるのが通常ですが、SS渋渋がもし設置されれば男女共学のコースとなるのでしょうね。
なお、私は現時点でサピックスに渋渋対策プリントがあるのかは把握していないのですが、単独冠講座を創設する以上は十分な学校別プリントとマニュアル作りは急務でしょう。これがSS渋渋を早期に設置するに際してボトルネックになっている可能性はあります。もっとも、これまでの学校別渋渋SOの蓄積はあるでしょうから、サピックスが本気を出せばプリントはすぐ作れるように思います。
今年の秋からスタートできるでしょうか?要注目ですね。
3 SS渋渋設置の影響
さて、SS渋渋が設置され、それが多くの校舎に広がるとすれば、2月1日に桜蔭・JGではなく、渋渋①を選択するサピックス生も増加するでしょう。
そこからは桜蔭・JGと渋渋とのガチの対決がスタートしそうです。女子最優秀層が1日にどちらを選択するか、向こう数年間は目が離せません。偏差値動向も気になります。
もっとも私の考えでは、桜蔭・JGが渋渋との争いに敗れて凋落するという未来には至らないと思っています。桜蔭・JGの女子校としての伝統、教育観、校風などがすぐに色あせるようなことはないと思うのです。それが桜蔭・JGが長年女子御三家として築き上げてきたブランドとしての信頼なのだと思います。
他方、渋渋はまだ新しい学校です。「都内共学進学校の雄」としてのブランドをこれから築き上げ、桜蔭・JGとはまた異なる柱になるよう私は期待しています。
↓渋渋の過去問は6月下旬発売予定のようですね。
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中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
中学受験総括⑫-6年9月から12月(必須の模試と他塾模試の必要性)
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