【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
***
え「御影のこと、ここ(西宮神社)では御神影(おみえ)って言うやろ?
江戸時代に越後で僕の御神影を頒布してくれていた人らの話やけど、
帯刀の装束姿で、守札に加えて元結(髪を束ねる紐)やお箸、手拭いとか、
日々の暮らしに役立つ土産まで持って、家々を訪ねてくれてんで」
菊「…………はい」
え「御神影だけでも喜んでもらえるのにさ。
僕の神威が下がらんように、きっちりした姿で、
荷物なんのに土産物もいっぱい運んで、歩き回ってくれててん」
菊「……………」
え「そこに妥協がないやろ?
僕を信じての最高の演出や段取りをしながら、配ってくれててんな。
そら僕の御神影の価値も上がるやろ」
菊「…………」
え「価値が上がるっていうのは、信仰に直結するやん。
……より信じてくれる。僕のこと。
そしたら、それは目に見えなくても "効く" ねん」
菊「はい。そう思います」
え「神は見えへん。だから "伝える人間" は頼りやねんな。
ただその人間に左右される。それは絶対にそうなる。
だから "伝える人間" は自分を律する努力は必要やねん。分かるやろ?」
菊「はい」
何か新しくなろうとしている自分。
それを感じる中、玉串奉納を促された。
拝殿の真ん中。玉串が渡される。
何度かしているのに緊張していた。
菊「……………」
え「道は進むためにある。前に道は用意する。
そこから進むのは、自分次第や」
家に戻ろうと振り返った拝殿。
第一殿の千木が見えていた。
菊「………えびす大神さまの森……
だんだんまた山みたいになってきてる」
昨年の台風で枝が落ち、スカスカになった大きなクスノキ。
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*2016年春の連載『ヒルコノミコト』はコチラです。
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