【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、前よりも強く接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
その清高稲荷大明神に依頼されたお祭りが終わると同時に、
次のミッションが始まっていた。
それは「事代主(コトシロヌシ)という神を解読すること。
事代主神とは、もう一柱の「えびす神」だった。
***
続きです。これまでのお話。
西宮神社のえびす大神にヒントを得た後、
私が訪れたのは産土神社である打出天神社。
……実はちょっと久しぶりで……
その……バタバタしていて…………💧
とか言い訳がましく思いながら、私は境内をぐるりと歩いた。
そしていつもの稲荷社に。
菊「ぎょっ。日差しの角度がなんか……低い……」
?「すっかり季節が変わりましたからね」
稲「事代主さまは、本殿です」
菊「本殿なんですか?!……だから見つからなかったんですね……」
稲「もともとは別の場所に祀られていらっしゃったのを、
こちらに移られた神です。
今は本殿に祀られていらっしゃいます。ところで……」
菊「……はい?」
稲「あなたの近くの須佐之男神社にも、事代主さまはいらっしゃいますよね?」
菊「あ、はい。この前、初めて気が付きました」
稲「長田神社に行ったすぐ後に、ですよね」
菊「……そういえば」
稲「ちなみに、ここ "打出天神社" と "須佐之男神社" の共通点に気がつきますか?」
菊「?! 共通点?? ですか……?」
共通点。共通点。……なんだろ。
稲「ではそれは宿題ですね。事代主さまのことを調べているようなので。
あと……"古来から続く祭" には意味があります。
一度調べてみては?」
事代主神を祀る、近所の "打出天神社" と "須佐之男神社" の共通点。
菊「 "打出天神社" と "須佐之男神社" の共通点……」
子狐1「どっちも近所の神社なんだよね」
菊「うん。どっちも2号線沿いで……。
あ!」
子狐2「なになに??」
菊「……2号線。これかも!」
江戸時代は2号線までが海岸だったって、以前学んだことがある。
菊「長田神社は?!」
六甲山の地図を開いて確認すると、長田神社も2号線が割と近い。
長田神社のすぐ横に水場……海ではなく川のようだけど。
菊「なんかとにかく、水場が近いんじゃないのかな。
事代主神さまの祀られてはった場所」
"打出天神社" と "須佐之男神社" の事代主神も、
もともとは別の場所だとしても、
この辺りの海岸線のどこかで昔から祀られてはったんじゃないのかな。
それが土地の開発なんかで、その場から移され、
"打出天神社" と "須佐之男神社" に今は祀られていらっしゃる。
菊「他の事代主神さまの神社はどうなんだろ……」
ウィキペディアに紹介されていた事代主神が主祭神の神社を調べてみると、
海のそばや、割と大きな川の近くに鎮座されてる。
菊「たまたまかもしれないけど……でも……」
私は長田神社で
事代主神が渡してくださった言葉を思い出した。
菊「"境界" って、水場と陸地の境界のことなんでは……」
菊「事代主神さまは、やっぱり海から人を守ってくださってる気がする」
ずっとずっと昔から……。