【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
***
菊「お。長田神社さまのポスター発見!」
高速長田駅の改札を出た場所に貼ってあったポスター。
子狐1「連日お祭りだね!」
子狐2「萬福茶屋が気になるね♡」
毎年GWはこんな感じなのか。
それとも御代が変わるので、特別なのか。
菊「5月1日は日本中できっとお祭りだなー♪
そういえば、西宮神社は毎年5月1日から10日まで神楽祭があるよ!
今年はすっごい神楽祭になるよね……✨」
たまたまとは言え、
御代代わりのその日から10日間の太々神楽なお祭り。
菊「……えべっさま、さすがのタイミング♡
商売繁昌の神さま強し!!✨」
そんな風にリスペクト(笑)しながら、長田神社さま境内に到着。
そら
よい
確か
みよ
そう
きょ
めい
しばらく
ゆり ゆき
菊「……………」
事代主神の言葉が渡され出した。
照らす
光
暖かく
渡される言葉をメモしながら、ふと足元の柵に目がいった。
菊「………」
事代主神(以下:事)「人が来るという事は、
消耗するという事」
菊「……事代主神さま」
風通る拝殿に、春色の少し冷たい風が吹き抜ける。
事「人が来ると、
それを迎えるものは
消耗する。
だから疲れるはず」
菊「……(私、疲れた顔してるのかな……💧)」
事代主神はふと笑って、言葉を続けた。
事「ここは拝殿の中心。
だから最も人の気を受ける。
少し端を見てごらん」
私は右側にトコトコ移動して、柵の同じ部分を確認した。
菊「確かに、消耗具合がまったく違います……」
事「人が来るという事は、
消耗するという事。
木でさえ、そのように姿を変化させていく。
人も同じと考えればいい。
来る者を迎える時、見えなくともどこか消耗する。
だから疲れるはず」
菊「逆に元気になる場合もたくさんあると思うのですが……」
事「元気になるのと、疲れるのは別だ。
いい疲れ方というのをしているが、どこか消耗はしている」
菊「なんとなく分かります……」
事「人……だけではない。
万物は影響し合う中でそれぞれの気を受け、どこか消耗する。
"気枯れ” という状態だ」
菊「はい」
事「存在していると気が枯れるのも当たり前。
自然の摂理であり、悪い事ではない。
ただ、それを溜めるのは良くない」
菊「…………」
事「充足を、守る意識を強く。
疲れが取れぬようなら、今を改めて行く必要性」
菊「…………」
事「そうか。確かに止まらずに
発光し続けるような時期も大切かもしれない。
でも」
菊「でも……?」
事「存在する勇気を持て。
もっと。
この者がいるから大丈夫。
その存在となれ」
このとき私は、23年前のシーンを思い出した。
阪神大震災で全壊はしたものの、仕事復帰していた私に、
リクルートのK部長という方がこんな風に話してくれた。
「前田がいるから大丈夫」
前田というのは旧姓。
それは、震災後に初めて話した時に渡された言葉で。
大丈夫だったのか?と電話で見舞いを頂いた際に、
家はダメでしたが家族も親戚も無事です、と答えた後にそう言われたのでした。
「前田がいるから大丈夫」
存在を全肯定するその一言は、当時の自分にはとても響いた。
菊「事代主神さまの言葉はいつも、あの時を過ぎて生き続けている私の
大切な何かを思い出させてくださいます」
事「誰もがそうだ。
あの者がいるから、大丈夫。
その存在となれるはず。
それを見つけるために、
時間を重ねていく」
私にとっては、事代主神さまがいるから日々は大丈夫……と
そんな風に思いながら、
ずっと忘れていた『前田がいるから大丈夫』という宝物をまた見せてくださった
事代主神の問いかけに、心から感謝した。
少し感傷に浸りながら、月読神のところに向かう。
夜の闇を照らし
夜の平安を守る神
その月読神からも、言葉が静かに渡された。
それは太陽のせい。
月自身が隠れているわけではない。
太陽の角度。
人もまた同じ。
何かのせいで隠れる事があるとしても、
己は何も変わらず存在する。
その存在は月が闇を照らすが如く、必要な場所に光を届けている。
月読神が渡してくださった言葉もまた、
全ての存在を全肯定するような言葉でした。
菊「気が枯れないように、ちゃんと休みつつ。
そして光が当たっていないと凹むようなときも、
たまたま太陽がそこにないんだからと言い訳し、
日々を更新していこう✨」
子狐1「言い訳……💧」
子狐2「言い訳……(笑)」
にしても、神社という空間は本当に浄化してくださる。
なんとなく疲れていた気分も、爽やかな風が持って行ってくれた気がして
私は長田神社を後にした。
《続く》
星語りリトリート in 星田妙見宮
集合場所*JR星田駅
募集人数*
参加費*6,000円(交通費・飲食費は各自負担)
現在、本殿にて清め祓いして頂いたカードを社務所にて頂けます。