【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
美保神社では毎月7日に、限定のお守りと御朱印が授与される。
普段は30個のお守りだが、
この日は特別で100個が準備されていた。
授与所で頂き、二日目の参拝に。
ずらりと椅子が並べられ、各地から集まった代表参列者が席につきだしている。
目に入ったのは、羽織の背の社紋。
画像のように拝殿を囲む幕とは反転の配色になっている。
菊「……陰陽のバランスかあ」
昨晩の宵宮での時間が夢のようで。
菊「……お祭りってやっぱり何もかもが特別……」
『青柴垣神事』の開始はまだ先なので、海の方に一旦降りた。
『青柴垣神事』をつくるものには、それぞれ名前が付いている。
その中で「?」と思ったものの一つに、
當屋さん(神がかり役)が手にされている金色の扇があった。
何かの折に、當屋さんはその扇を装束の後ろ襟の中に挿す。
扇は開いたままの固定なので、後頭部に後光が差しているように見える。
だから私は、その金色の扇は太陽だと思っていた。
でも名前が違った。
『蝶形(長啓)の扇』と呼ばれていた。
菊「……蝶? 蝶ってこんなかな??」
てっぺんの真ん中が裂けていたら蝶っぽいけど……。
この『蝶形の扇』は、最後には参列者に渡るらしい。
もちろんそのまま最高の縁起物。
『蝶形の扇』は一つだけど、海上での神がかり後には
『白地に日の丸』の扇子を、参列者が頂けるらしく……
(神がかり前に取りに行く人もいるらしいけど)
それはたくさんの数があり、
目を瞑ったままの當屋さんの手にしているのを拝んでから頂くそうです。
手からなくなると、お供の方がまた持たす。
それを参列者が頂く。持たす。頂く……の繰り返しらしい。
ちなみにこの月像・日像の周りに、突き出るようについている飾りも頂けるらしい。
子狐2「お絵描きの時のピカピカ光ってる感じを出す部分ね♪」
菊「結構、いろいろ頂けるんだねー」
お祭りの中心部? だけでなく、この美保神社エリア全てが「お祭り」の中で。
あっちこっちウロウロしながら、その空気感を味わった。
そしてとうとう、海上での當屋さんの神がかりに向けての行列が。
菊「あ」
私はiPhoneを急いで構え、撮影した。
クリーム色の布を被っていて、その姿は見えない。
それがこの不思議な姿の「小忌人(おんど)」
本来は當屋さんの妻がこの役にあたる。
菊「……サナギにしか見えない。不思議な役どころだわ」
『青柴垣神事』のクライマックス、神がかりに必要な者たちが乗船し、
二艘の船は海上を進む。
すぐ近くには神楽を奏上する者の乗る船も。
この神がかりのBGMとなる神楽が……
菊「……なんかめっちゃ調子いい感じで明るい💧
この神事のイメージと違うのがまたすごいな。
こんな曲聞かされたら、逆にトランス状態になるわ……」
そのうちにサルタヒコとアメノウズメが登場。
サルタヒコは二の鳥居で待機して、アメノウズメは當屋さんに拝礼に。
戻ってきたアメノウズメとサルタヒコは本殿に向かう。
その二柱とすれ違って海に向かう、不思議な者たち……。
菊「またサナギ風味な方々が」
謎めいている風景。
でも「お祭り」って、そういうものなんだろうな……
そう思いながら、帰りの出発時間が近づいてきたので
私も本殿にいることにした。
子狐1「クライマックスからのシーンは見ないの?」
菊「うん。事代主神さまの近くに最後はいたいなって」
外の鳥居のところでは、當屋さんから扇子を頂戴している頃かなあ。
静かに祭りの「中心」が戻るのを待つ拝殿。
菊「……………」
蝶。
蝶ってなんか……あるんだろうな。
あの不思議な感じで着物?を被っている小忌人さんは
ふと。
事代主神が…… 教えてくれた気がした。
菊「………さ。なぎ。…… "凪" ……?」
「凪」という字は海に関係する言葉。
菊「"凪" ってどんな意味だったかな」
すぐに検索をした。
凪(なぎ)は、風速0の状態をいう。
菊「……風速ゼロ。じゃあ "さ" は??」
"さ"からすぐに出たのは「狭」という漢字。
狭=せまいこと
菊「あれ。これだけ?……なんか他にこの漢字で特別な意味を読んだ記憶が」
思い出した。
狭井神社。三輪山の登山口となる場所にある神社。
この狭井神社を調べている時に見つけたこの言葉。
社名の「狭井」とは、神聖な「井戸・和泉・水源」を意味しており……
(→『人文研究見聞録』より引用)
狭井神社では、本殿のすぐそばにご神水が湧いていて頂ける。
「神聖な井戸」で「狭井」
ということは、
サナギ = 狭 凪
とするならば……
菊「風速ゼロの状態の……神聖な海……」
その時、あの不思議な「小忌人」が
「当為者(たっしゃ)」と呼ばれる役に背負われるような形で拝殿に。
「背負われるような」と書いたけど、直に背負われているわけではない。
「当為者」の腰あたりの丸太?上に「小忌人」は立ち、
そのまま船から拝殿まで運ばれる。
(上の画像に白い丸太?が見えている)
菊「………………」
なんだろ。繋がりかけてきた。
ふと思い出した。宵宮の時に事代主神が渡してくれた言葉……
神は生である
海は命の源
海にある柱ではなく
木でありたい
蛹から出た蝶
柱についた蛹でも蝶になることはできるが
その後に生きていくためには植物が必要
育ち、変化し、花が咲き、実りのある世界
豊かなる海
菊「サナギの中の状態って、風速ゼロの静かな海の中の状態と同じなんじゃ……」
丸太の上に立って運ばれる「小忌人」が、
木に止まったサナギにしか感じられなくて。
菊「…………」
私は蝶が好きで、これまでに何十頭も羽化させてきた。
サナギの中で、幼虫はどろどろになり、
翅の生えた蝶に生まれ変わるようになると言われているけれど
実際には全てがリセットされるわけではない。
幼虫の時に顔のそばにある6本の脚は、
成虫になった時の6本の脚になる。
実際には、幼虫の体の中にすでに飛翔パーツも用意されている。
だから全部が全部、サナギの中で溶けて作り変えられる訳ではない。
以前、幼虫の時に頭部に近い場所に変色のあった個体がいた。
死ぬかなと思ったけど、そのコは生きてサナギになった。
だけど、正式な形にはある
角のような突起部分がそのサナギには無かった。
結局そのコは、サナギの殻を脱ぐことができず、死んでしまった。
菊「知ってる。サナギの中で全部が生まれかわるんじゃない。
幼虫の頃に負った傷は、そのまま持ち越される。
だから……
だからサナギには正常な体の状態でならないとだめだし、
そのまま内部は静かに、羽化を迎えられるようにしてあげないと、
飛ぶ姿にはなれない」
風速ゼロの神聖なる静かな海の中。
そこは『サナギ』とシンクロする場所なのだろうか。
菊「サナギだとすると……」
羽化する蝶は、一体「何モノ」なのか……?
自分の奥の奥で、小さく、でも強く響いた何か。
その小さな何かを胸に仕舞い、
事代主神に深く一礼して、神威の中に包まれたままの美保神社を後にした。
《続く》
ぜひご覧ください。
☆『平成の大造営』ご協賛を受け付けられています。
授与所だけでなく、郵便振替での応援も受付されています。
どうぞよろしくお願い致します。
***
『ホシヨミノミコト』Mikoto君と菊ちゃんの参拝企画♪
【菊とMikoto】
星語りリトリート in 星田妙見宮
日時*2019年4月26日(金)10:00〜(解散予定14:00〜15:00)
集合場所*JR星田駅
募集人数*10名→ 残4名
参加費*6,000円(交通費・飲食費は各自負担)
****
現在、本殿にて清め祓いして頂いたカードを社務所にて頂けます。
***
現在、本殿にて清め祓いして頂いたカードを、社務所の開いている日に頂けます。
★清高稲荷大明神blogはコチラです♪→【高野山】〜清高稲荷大明神〜
***