42.195kmを自分の足で走りきる。かつてはそんなことをできるのは、特別な人だと思いこんでいました。でもそれを、なんにも特別じゃない、ただの中年男である自分がやり遂げてしまいました。しかも苦痛に耐えて走りきるのではなく、終始笑いながら、本当に楽しく走りきってしまいました。そしてそこには、私がこれまでに感じたこともないような大きな喜びと達成感が待っていました。
「本当に楽しい42.195kmでした」
レベルこそ違え、シドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子さんの言葉が、今は私にも実感できます。この楽しさを知ってしまったからには、自分はもう走ることから一生離れることはできないな。そんな確信を抱きました。
出場するだけでも憧れだった北海道マラソンを完走し、私はさらなる挑戦をしたいと思いました。それはウルトラマラソン挑戦です。サロマ湖100kmウルトラマラソン。しかし100kmという距離にはさすがに二の足を踏みました。
翌2004年のサロマは、エントリーを見合わせました。もっとフルマラソンをしっかり走れる力を身につけてから挑戦しようと思ったのです。また2003年10月に受けた人間ドックで胆石が発覚し、2004年3月に胆のうを摘出されたことも、サロマエントリーを見送った理由の一つでした。
でも術後の経過も良好で、北海道マラソンも2年連続の完走を果たしました。こうなると、次の目標はいよいよサロマです。ランナー仲間との忘年会のとき、この年のサロマに初挑戦をして完走をした仲間たちがサロマの思い出話に花を咲かせている姿を見ると、自分もなんとしてもその中に加わりたいと思うようになりました。
しかしいざ100km挑戦となるとなかなか踏ん切りがつきません。2005年になってエントリーが始まりましたが、なかなかエントリーできずにいました。毎日のように「今日こそは!」と思うのですが、いざパソコンに向かうと、「完走できるという自信がついてからエントリーした方がいいのではないか・・・」と手が止まってしまいます。
ところがたまたまエントリー期間中に誕生日を迎えました。
「よし、参加料は自分への誕生日プレゼントだ!」
家族に誕生日を祝ってもらい気持ちよく酔っていた私は、勢いでインターネットからエントリーをしてしまいました。考えても考えてもエントリーできなかったサロマに、最後はとうとう勢いでエントリーしてしまったのです。
バックナンバー
1.無言の抗議
2.思い上がり
3.初フルでの挫折
4.ホームページ開設
5.北海道マラソン、奇跡の完走