今日の一曲!【テーマ:2019年のアニソンを振り返る】のまとめ+補遺 | A Flood of Music

今日の一曲!【テーマ:2019年のアニソンを振り返る】のまとめ+補遺

 年始一発目の更新が松の内を過ぎてから(本来的には15日までとはいえ)になってしまい恐縮ですが、今年も当ブログをよろしくお願い致します。



☆ はじめに【2020.11.30に追記】

 本記事は2020年1月10日から11月29日まで「2019年のアニソン振り返り企画について【随時更新】」というタイトルでしたが、企画が終了した11月30日に「今日の一曲!【テーマ:2019年のアニソンを振り返る】のまとめ」にタイトルを改めました(投稿日時は据え置き、更に12.10に「+補遺」を追記)。

 本来であればこれに伴い記事全体の構成や文章を練り直すべきだと承知はしつつも、1月10日に趣旨説明だけを行いそこから約1年をかけて徐々に内容を充実させていった通時性を重視したいので、当初の文章をそのまま活かす形にしたいと思います。従って、変更後のタイトルからすると以降の説明文にはやや奇妙な感覚を抱くかもしれませんが、その理由は上記に求められるとお含み置きください。



☆ 2019年のアニソン振り返り企画について【随時更新】

 表題の件ですが、本記事では「2019年分のアニソン振り返り企画はどうしたんだ?」とお思いになっている方への説明を行います。どれほどの需要があるかはさておき、当ブログでは毎年の年末年始にかけて、当該年のアニソンを網羅的にレビューする記事の更新が恒例でした。

■ 一記事にまとめた「2016年の振り返り記事」
■ 五記事に跨る連載となった「2017年の振り返り記事」
■ 複数の「今日の一曲!」を利用した「2018年の振り返り記事」

 …と、毎年スタイルを変えながらお送りしています。前年のスタイルに不満があったからこその刷新の連続ではありますが、2019年分に関しては2018年分と同じく「今日の一曲!」を利用した更新にするつもりでした。しかし、2018年分は都合19本もの「今日の一曲!」(その実態は複数作品の楽曲に言及する内容)を約2ヶ月半に亘って更新するというヘビーさで、これだけ長期間同じ企画に向き合わなければならないのは正直苦痛だったと言えます。


 そこで、2019年分では「今日の一曲!」を文字通りに扱うこととし、メインに取り立てた楽曲のみ;延いては当該作品の関連楽曲のみをレビュー対象とさせてください。参考までに補足しますと、2018年分でも【アニソン+編】に相当する第一弾~第六弾(と第十四弾)は、今回行おうとしているスタイルに近いものです。第七弾~第十九弾の【クール別編】も、今年からは「一作品に対して一記事」を原則にすると述べれば、言わんとしていることが伝わるだろうと期待します。

 加えて、2019年からは本企画に時期的な区切りや終点を設けないことにしました。従って、途中で全くアニソン絡みではない更新も行いますし、2019年のものではないアニソンを紹介する記事の更新を行う可能性もあります。要するに、今後普段通りに更新する「今日の一曲!」のレビュー対象楽曲が「2019年のアニソン」に該当するものであれば、それを本企画の一環として随時纏めていくということです。

 本記事はそのために用意したもので、2019年のアニソンをレビューしたエントリーへのリンク集として、ポータルサイト的な位置付けにしたいと思っています。表題の【随時更新】はこのことを意味しており、「時期的な区切りや終点を設けない」とはいえ、レビューしたい楽曲が尽きた時点で【随時更新】は取り払い、記事タイトルを「今日の一曲!【テーマ:2019年のアニソンを振り返る】のまとめ」に改め、それをもって本企画の終了宣言とするつもりでいます。その際には本記事の投稿日時を現在時刻に直して、再びトップに据えることをご容赦ください。それがいつになるかは皆目見当がつきませんが、来年には2020年分を振り返らなければいけなくなるため、どんなに遅くとも今年いっぱいが期限です。



☆ 今日の一曲!【テーマ:2019年のアニソンを振り返る】のまとめ

 説明は以上で、以降は先述した通り「2019年のアニソンをレビューしたエントリーへのリンク集」となります。現時点でも何本か本企画に該当する記事が存在するので、こんな感じでリストしていきますよということをまずご理解いただければ幸いです。更新日時が早い順に並べます。

■ 今日の一曲!Le☆S☆Ca「ひよこのうた」【2019年上半期・ナナシス振り返り】
 → アニソン+ > Tokyo 7th シスターズ

■ 今日の一曲!勇者パーティー「えんどろ~る!」
 → クール別 > 冬 > 可愛い系

■ 今日の一曲!エドガー・サリヴァン「今夜ステキになって」
 ※ 対象は同記事内「WONDERFUL WONDER」
 → クール別 > 春 > 格好良い系

■ 今日の一曲!星見純那、リュウ・メイファン、田中ゆゆ子、野々宮ララフィン「御してぎょしゃ座」
 → アニソン+ > 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

■ 39!SB69!!『SHOW BY ROCK!!』の音楽の魅力 ―アプリ終了によせて― Pt.1
■ 39!SB69!!『SHOW BY ROCK!!』の音楽の魅力 ―アプリ終了によせて― Pt.2
 → アニソン+ > SHOW BY ROCK!!

 矢印に続く記述は当ブログ上のカテゴライズで、2018年分のスタイルに倣うならどう分類されるかを示しています。【アニソン+】の場合は以下に作品名を、【クール別】の場合は以下に放送時期(冬/春/夏/秋/通年)とブログテーマ(可愛い系/格好良い系/切ない系)を、それぞれ表示しました。


 以降、記事が増え次第随時追記していきます。

■ 今日の一曲!CHiCO with HoneyWorks「乙女どもよ。」
 → クール別 > 夏 > 切ない系

■ 今日の一曲!女王蜂「火炎」
 → クール別 > 冬 > 格好良い系

■ 2019年下半期ナナシス振り返り+6周年おめでとう!記事
 → アニソン+ > Tokyo 7th シスターズ

■ 今日の一曲!安月名莉子「Glow at the Velocity of Light」
 → クール別 > 夏 > 切ない系

■ 今日の一曲!金森まりあ(茜屋日海夏)「シアワ星かわいい賛歌」―プリチャンS2の音楽・プチ特集―
 → クール別 > 通年 > 可愛い系

■ 今日の一曲!BURNOUT SYNDROMES「Ms. Thunderbolt」
 ※ 対象は同記事内「Good Morning World!」
 → クール別 > 夏 > 格好良い系

■ 今日の一曲!Study「Can now, Can now」
 → クール別 > 秋 > 可愛い系

■ 今日の一曲!nonoc「KODO」
 → クール別 > 冬 > 格好良い系

■ 今日の一曲!センチミリメンタル「キヅアト」
 → クール別 > 夏 > 格好良い系

■ 今日の一曲!わたてん☆5「気ままな天使たち」―福音『私に天使が舞い降りた!』の音楽世界―
 → クール別 > 冬 > 可愛い系

■ 今日の一曲!紗倉ひびき、街雄鳴造「お願いマッスル」―攻勢のTOKYO LOGIC―
 → クール別 > 夏 > 格好良い系

■ 今日の一曲!KiRaRe「Don't think,スマイル!!」「憧れFuture Sign」他
 → クール別 > 夏 > 切ない系

■ 今日の一曲!RGR「Share the light」「Break the Blue!!」他
 → クール別 > 冬/秋 > 格好良い系

■ 今日の一曲!早乙女9姉妹「UP-DATE × PLEASE!!!!!!!!!」
 → クール別 > 秋 > 切ない系

■ 今日の一曲!内田彩「Sign」―これってもしかして幸せな曲ですか?―
 → クール別 > 冬 > 切ない系

■ 今日の一曲!赤き誓い「スマイルスキル=スキスキル!」―「なろう系」論考を副えて―
 → クール別 > 秋 > 可愛い系

■ 今日の一曲!Pyxis「恋せよみんな、ハイ!」
 → クール別 > 春 > 可愛い系

■ 【2019年のアニソンを振り返る】の残弾(アニメ16本、音楽24曲)一挙放出!※ 主な対象は以下の通り

□ Q-vism / Who-ya Extended
 → クール別 > 秋 > 格好良い系

□ shadowgraph / MYTH & ROID
 → クール別 > 冬 > 格好良い系

□ 異世界ガールズ♡トーク / アルベド、アクア、エミリア、ターニャ
 → クール別 > 春 > 可愛い系

□ パパパ / 斉藤朱夏
 → クール別 > 秋 > 可愛い系

□ ハナコトバ / パンジー&ひまわり&コスモス
 → クール別 > 秋 > 切ない系

□ 輪!Moon!dass!cry! / 田中望、菊池茜、鷺宮しおり
 → クール別 > 夏 > 格好良い系

□ 三原色 / PELICAN FANCLUB
 → クール別 > 秋 > 格好良い系

□ よいまちカンターレ / コーロまちカド
 → クール別 > 夏 > 可愛い系

□ チカっとチカ千花っ♡ / 藤原千花
 → クール別 > 冬 > 可愛い系



☆ アニメ雑評と選外アニソン紹介【2020.12.10に追記】

 過去年の振り返りにも同様のセクションが用意してあったように、以降には音楽の好みとは切り離したクール毎のアニメ雑評の掲載(★ 作品語り)と、上掲24記事でふれ損ねたアニソンの紹介(★ 音楽的補遺)を行います。一応は小見出しで両者を分けていますが、言及は横断しており実際はどちらの項目に於いてもアニメとアニソンがテーマです。「残弾一挙放出記事の第二弾」と言って差し支えない文章量の多さを誇るものの、扱いとしてはあくまでおまけなので内容が具体的でない場合もあるとご了承ください。

 表記上の留意点は次の通り、視聴本数は「30分枠+15分以下枠」の作品数で示した、複数のクールに跨る作品は開始のクールに振り分けた、第2期以降で作品題が変わらない場合は「特記無し/第nクール/nth season」のいずれも「第n期」の表記に統合した、当該の24記事内で言及済みの作品には◆を付したの四点です。なお、カタカナが半角なのは視聴履歴記事からコピペしてきたことに由来します。


★ 冬アニメ:視聴作品(23+3本)

 上野さんは不器用, エガオノダイカ, ◆えんどろ~!, ◆ガーリー・エアフォース, ◆かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~, 賭ケグルイ××, グリムノーツ The Animation, ケムリクサ, けものフレンズ2, 荒野のコトブキ飛行隊, ◆五等分の花嫁, ◆サークレット・プリンセス, スター☆トゥインクルプリキュア, ◆盾の勇者の成り上がり, ドメスティックな彼女, ◆どろろ, ぱすてるメモリーズ, ピアノの森(第2期), ◆ブギーポップは笑わない, フライングベイビーズ, ◆魔法少女特殊戦あすか, みにとじ, 明治東亰恋伽, 約束のネバーランド, ◆revisions リヴィジョンズ, ◆私に天使が舞い降りた!


★ 作品語り


 この中では『かぐや様』がいちばんでした。原作の面白さによる部分が大きいとは思いますが、期待作に相応しいだけの熱量が注がれているとわかるアニメ化で好感が持てます。同じくアニメ化前からの話題作という立ち位置では、『五等分~』もこの水準であってほしかったです。…スタッフが刷新される『∬』に期待しましょう。その『∬』で監督を務めるかおりさんの手腕を知る一作として、加えて個人的にも『えんどろ~!』は次点のおすすめです。単独記事にも書いた通り、"ありそでなかった"系の魅力が詰まっています。

 もはや随分と過去のことに感じる『けもフレ2』関連の騒動で、どうしても比較対象になってしまう『ケムリクサ』がお気に入りの三番手です。もはや両作とも純粋な評価の埒外に置かれてしまった気はするものの、やはり『けもフレ』の核はたつき監督だったと思わざるを得ませんでした。一連の騒動で株を下げた(と僕が認識している)数名のクリエイターに関しては是々非々で、彼らの手掛けた過去作は依然好きなままでいられますし今後もバイアスをかけるつもりはありませんが、こと『けもフレ2』への向き合い方に関しては叩く側の心理を擁護します。



 あとは順位付けに関係なく何処かで語りたかったネタを雑多に披露しますと、攻め過ぎたパロディで円盤収録お蔵入り回を出した『ぱすメモ』には、ラレ元の権利を守る意味でも特損を計上した製作側に同情する意味でも笑っちゃいけないのだけれど、図らずして録画の希少性が増す事態には笑ってしまいました。OP曲に今井麻美さんが起用されている点も含めて、全体的に懐かしいつくりであった同作と似たような感じ方で、ED曲に一昔前の豪華メンバーが集結している『サープリ』も悪くなかったです。実はOP曲の「HEAT:Moment」(2019)については、そのリフ使いを褒める文脈で別作品の記事に曲名を挙げており、字数制限さえなければ残弾記事でレビューするつもりでした。

 こういうエクストリームスポーツモノって言うんですかね?三次元的に派手な架空のスポーツが主軸の作品は昔から好みで、これはおそらく僕が漫画『エア・ギア』に影響されているからでしょうが、この記事で類似性を指摘した『蒼の彼方のフォーリズム』もいつかきちんと観たいと思っています。ただ、どうしても作画に係るコストが膨大になるせいか納得のいく映像化には未だ出会えていないとの認識で、全編3DCGでこのタイプの作品が出てこないかな(それこそ『エアギア』のリメイクでもいい)と常々期待しているのです。ゲームや実写映画ではなく、アニメでこれが観たいなぁと。


★ 音楽的補遺


 24記事内でふれ損ねた中からいくつかフェイバリットを紹介しますと、まず『ドメカノ』OP曲「カワキヲアメク」(2019)は瞬間的にかなり好きなナンバーでした。ポエトリー感の強い冒頭部~Aメロまでのエモさ;とりわけ叙情的なピアノが奏でる激しさと美しさが、雨を効果的に映したOPのビジュアルにぴったりです。

 雨天時の光源処理が現実的(ブラーの掛け方が繊細)で、創作物だからと綺麗にし過ぎず敢えて汚しを入れているところに、作品のドロドロ具合が窺えて気に入っています。往来の真中に置かれたピアノと傘も差さずに街中を全力疾走する女性陣も個人的に大好物の画作りで、後者はキャラクター毎にカメラワークが異なる(瑠衣:カットを割る/陽菜:付けパン[『アニメーション用語事典』p.72の定義に準拠]/もも:上手からハイアングル/美雨:下手からローアングル)芸の細かさは勿論、水たまりと窓を通してリアルとフィクションを融合させるセンスとそれに伴う心理描写の巧さが素晴らしいです。



 『上野さん』OP曲「閃きハートビート」(2019)は、サビ終わりのわちゃわちゃした音運びに初聴時「!?」となりました。2番はそのノリのままCメロに雪崩れ込む展開で、この強引さが不器用さの演出に繋がっているのかもしれないと紐付けします。fhánaのメンバーとしてもお馴染みの佐藤純一さんによる作編曲と知り腹落ちです。作品変わりまして、アニメと同名のタイトルナンバー「フライングベイビーズ」(2019)は、ゆるくキャッチーなメロディとフラのアレンジが心地好い良曲で、放送作家としても有名な鈴木おさむさんによる前向きな歌詞も癒し要素でした。

 おもしろ枠で紹介したいのは、『めいこい』挿入歌「エレキテルショー」(2019)です。簡素だけれど中毒性のあるバックトラックに、シンプルなフレーズを繰り返すだけというミニマルなライン、そして何より芽衣の特徴的な動きが決定打となって、今時「PPAP」(2016)かよと笑ってしまいました。同作の主題歌と挿入歌の殆どを手掛けている小川智之さんによるワークスで、ED曲のひとつ「宵や、酔いや ~Yoiya Yoiya~」(2019)も含めて、コミカルなトラックメイキングに光るものを感じます。女性向けゲームが原作のアニメでしたが、監督が大地丙太郎さんだったおかげかギャグに安定感があって割と面白かったです。「エレキテル~」は予想より尺が長くて、そのしつこさがじわってくるタイプでしたね。笑


★ 春アニメ:視聴作品(16+6本)

 アイカツフレンズ! ~かがやきのジュエル~, ◆異世界かるてっと, 鬼滅の刃, キャロル&チューズデイ, 賢者の孫, この音とまれ!(第1期), この世の果てで恋を唄う少女YU-NO, さらざんまい, 進撃の巨人(第3期) Part.2, ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!, ◆世話やきキツネの仙狐さん, 川柳少女, 続・終物語, なんでここに先生が!?, 八月のシンデレラナイン, ひとりぼっちの○○生活, ◆ふたばにめ【女子かう生, 超可動ガール1/6, ノブナガ先生の幼な妻】, フルーツバスケット(第1期), ◆ぼくたちは勉強ができない, ◆みだらな青ちゃんは勉強ができない, 八十亀ちゃんかんさつにっき, ワンパンマン(第2期)


★ 作品語り


 2018年に先行してイベント上映されていたことに加えて放送が変則的であったため、2019年のラインナップに入れていいのか微妙なところですが、許されるなら『続終物語』をトップに据えます。『〈物語〉シリーズ』自体が好きな贔屓目もありますし、というか同作はアナザーストーリー的な内容なので殊更にシリーズのファン向けで、そも単体で評価を下すのが難しいのだけれど、面白いものは面白いと素直に捉えた結果、他の作品より上位に置くことにしました。

 アナザー感が半端ないOP曲「07734」(2019)も怪作で、そのエクスペリメンタルな作風に神前暁さんとミトさんの新境地を見た思いです。従って、単独記事を立ててレビューするプランもあったものの、将来的に書くつもりのMONACA特集に向けて温存しておきたい気持ちもあり、先述した公開時期の特殊性を言い訳に、本企画での取り扱いは見送ることにしました。



 次点は迷いますが、音楽が主軸の作品である『この音』と『C&T』を同列に据えておきましょう。前者は作中で演奏されたオリジナル筝曲がいずれも秀逸で、更新予定記事に曲名をリストしていたように単独記事化する気は満々でした。ただ、そうなると実質的にサントラレビューをしなくてはならなくなるため、時間的に追い込まれていた状況では手が付けられないと判断してのこれまた見送りです。いつかきちんとふれられたらなと思います。

 後者は音楽好きなら惹かれること請け合いの内容で、僕も毎週楽しみに観ていました。フライングドッグの記念作品なだけはあって音楽の質は非常に高く、ワールドワイドな発信力に長けていた点も評価出来ます。「じゃあ何で単独記事化してないの?」と突っ込まれそうですが、例えば2020年のアニメ『LISTENERS リスナーズ』への所感も同じ理由でして、端から音楽ファンを狙い撃ちにしてくるような作品だと、現実と重ねて一歩引いてしまう捻くれた音楽好きの自分がいるからです。現実の世界や存在から文脈を引用してきたのならば、作中のオリジナルもそれと同水準で扱うけれど構いませんね?と、とても厳しい評価基準が僕の中に芽生えます。


 現時点での人気ぶりは考慮の外にして、なるべくニュートラルな視座で当時を振り返ると、個人的な三番手は『鬼滅の刃』です。その面白さに関しては最早説明不要と、丸投げのスタンスが許されるほどの社会現象を起こした同作には、僕もご多分に漏れずハマっていました。OP曲「紅蓮華」(2019)についても、今更何を語る必要があるのだろうと遅きに失している状態です。

 ゆえに手短に言及しますと、普段当ブログで取り立てるようなタイプのナンバーではないものの、高い歌唱力と勢いのあるメロディで王道のアニソンらしさを携えた楽曲が、広く一般にも受け容れられた事実はとても健全で好ましいと結びます。原作は途中までジャンプ本誌で追っていたので、一応は連載開始時からの読者を名乗っていいとの自認ですが、まさかここまでの超絶ヒット作になるとは正直思っていませんでした。良質なアニメ化って偉大ですね。



 この流れで書くと制作へのディスになってしまうのは承知で、原作が好きなだけにもう少し頑張って欲しかったのは『ハチナイ』です。詳しく書くと方々に迷惑でしょうからぼかしますと、現場はとても熱意があったとわかる某証言(現物を買って読みました)をソースにすれば、アニメーターは悪くないとフォロー出来ます。ただ、この背景には同作のIPとしての訴求力の程がいまいちよくわからない点があるとの認識で、僕自身原作をそこまで絶賛しているつもりはないのに、なぜか課金額はプレイしているゲームの中でいちばん高いという謎評価なので、ニーズを読むのが難しい作品なのかもしれません。メインストーリーやゲームシステムなどの根幹部分よりも、シーン単位での青春描写の眩しさや妙にフェチいイラストなどの細部に惹かれている節があり、後者の美点は長くプレイしていないと表出しにくく、新規にもわかりやすい前者のみで対外的なイメージが固まってしまうところが、IPへの期待値を押し下げる結果になっているのではと分析します。

 …とは言っても、実際人気があるのかないのかよくわかりませんよね。僕が同作をプレイし始めたきっかけはちょっとゲスくて、配信直後のグダグダ感を味わいたい一心で、リリースまでに長期間の延期を挟んでいる作品に目星をつけていた時期があり、言わばネタで事前登録したうちの一作だったのです。それでも一応初日から半年ぐらいはプレイし続けましたが、デレストがあまりにも苦行過ぎて(簡易演出?攻略集中?なにそれ?な時代)次第にやらなくなって一年以上放置、去年の夏頃に気まぐれにログインしたらデレストの高速化やストーリーの時系列整理が行われていて再び遊ぶ気になり、何だかんだで課金しちゃうくらいにはハマって現在に至ります。今では姉妹校に☆3ピンクスキルを付けるのも余裕です。



★ 音楽的補遺


 『ハチナイ』は音楽活動にも力を入れていて関連楽曲のリリースも多いので、単独記事化して作品ごと特集する案もあったのですが、ブランクが原因で下手なことを書いたら申し訳ないと自重していました。上記のゲーム語りはその機会があれば披露したいと考えていたもので、しかし結局こうして補足的にふれるだけとなる公算が大きくなったため、ここに載せて良しとしようと妥協した次第です。

 みゆはんが歌うOP曲「エチュード」(2019)は、まさに青春の汗を感じさせる熱く爽やかなロックナンバーで、別けてもサビ前のギターが素晴らしいと思います。本曲のそれはそこまで破壊的ではないものの、Radioheadの「Creep」(1992)が好例であるように、サビ前に挟まれるギターのミュートサウンドには、強く感情に訴えかけてくるものがあるんですよね。本曲の制作を手掛けたのはTHE BACK HORNの菅波栄純さんで、ロック畑の人間ならではの本気が確かに窺える編曲に満足です。



 『ぼく勉』の主題歌に関しては、単独記事できちんとレビューをしたのは第2期のOP曲だけですが、同記事内で第1期OP/ED曲および第2期ED曲についてもごく簡単にはふれています。そこから発展的に紹介したいのは、作品から誕生したユニット・Studyによるミニアルバム『PROGRESSIVE』(2019)です。公式が謳っているように「美少女PCゲーム音楽のレジェンドクリエイター達」が集結した実に豪華な一枚で、全収録曲がお気に入りと言っても過言ではないレベルの高い完成度を誇っているとおすすめします。中でも最大のフェイバリットは折戸伸治さん作曲の「Happy weather girl」で、サビメロの流麗な切なさは流石としか言いようがありません。

 この記事で述べた通り、第1期ED曲にI've Sound(正確には「元」ですが)を宛がってきたところから、I've復権の予感を覚えたのも2019年のことでした。上掲リンク内にも曲名を出していますが、『ぼっち生活』特殊ED曲「爆笑ぼっち塾 校歌」(2019)および挿入歌「まけるなアル かがやけアル」(2019)では、I've在籍時とは異なる島みやえい子さんのキャッチーなセンスを味わえます。同作はOP/ED曲も素敵で、松田彬人さんによる絢爛な編曲が旋律のポップさを際立たせている「ひとりぼっちのモノローグ」(2019)も、小さな歩みを積み重ねていくような誠実なメロディラインと牧歌的なアレンジに涙腺が刺激される「ね、いっしょにかえろ。」(2019)も、作品内容に相応しいナンバーでした。



 『なんここ』OP曲「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」(2019)は、初期の「スゲー新人が出てきたぞ!」感に満ちていた頃には当ブログで幾度かお名前を出していた()清竜人さんの作で、当時は後にここまでの変貌を遂げるというか変幻自在な作風になるとは予想だにしていませんでした。MVの内容も含めて本曲に堂々とした態度で臨める上坂すみれさんの全力投球ぶりが、男性としては嬉しいと最大限の賛辞を贈ります。笑

 『YU-NO』の主題歌4曲はいずれも志倉千代丸ワークスで(編曲除く)、特に好みだったのは前期ED曲「真理の鏡、剣乃ように」(2019)です。ダークな疾走感を孕んだメロディラインのアグレッシブさを、白戸佑輔さんのアッパーなアレンジが勢い付けていてアガれます。白戸さんの手腕に関しては、単独記事で『魔法使いの嫁』OP曲「Here」(2017)を取り立てた時にも絶賛していました。また、2018年の振り返りでふれた『ISLAND』OP曲「永遠のひとつ」(2018)も白戸さんが作編曲を務めており、同曲は数多くある田村ゆかりさんの持ち歌の中でも上位のお気に入りなので、改めてツボなクリエイターであると高評価です。


★ 夏アニメ:視聴作品(22+2本)

 ◆荒ぶる季節の乙女どもよ。, うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。, 炎炎ノ消防隊, ◆彼方のアストラ, からかい上手の高木さん2, ◆可愛ければ変態でも好きになってくれますか?, ◆ギヴン, ◆コップクラフト, ◆女子高生の無駄づかい, 戦姫絶唱シンフォギアXV, ソウナンですか?, ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII, ◆ダンベル何キロ持てる?, 通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?, 手品先輩, とある科学の一方通行, ◆Dr.STONE, ナカノヒトゲノム【実況中】, ビジネスフィッシュ, ヴィンランド・サガ, BEM, 魔王様、リトライ!, ◆まちカドまぞく, ◆Re:ステージ! ドリームデイズ♪


★ 作品語り


 視聴当時はあまり意識していなかったものの、こうして並べてみると2019年夏クールは豊作ですね。またもシリーズへの贔屓目をご寛恕いただけるならば、やはり『XV』が最も面白かったとしたいです。衝動的に過去曲のレビューをしてまでリアルタイムの感想を書いたくらいですからね。前作『AXZ』は敵の三幹部を好きになるのに時間がかかったのですが(2017年の振り返りでディス → 2018年の振り返りで撤回)、今作の三幹部は登場時からツボでした。サジェストは「嫌い」に「いらない」と散々で、主人公サイドへの酷い仕打ちと今更残党が出張って来てもなぁという立ち上がりの鈍さを加味すればわからなくはないけれども、悪役としての活躍は充分でしたし散り際は切なかったので、個人的にはアリだったとフォローします。



 次点は『炎炎』です。厳密にはリアルタイムでは観ていなくて(三番組重複で録画が出来なかった)、後にアニマックスで視聴しました。現在は『弐ノ章』が放送中ですが尻上がり的に面白くなっている印象で、話が進むにつれて明らかになる遠大な世界観、火熱の縛りがあるにも拘らず多彩な固有能力とキャラの名前、台詞回しやキャラデザは当然ながらちょっとした所作や小物からも窺える作者の引き出しの多さ等々、原作購入も考えているくらいにはツボな要素のオンパレードです。

 とりわけ戦闘にシスターを同行させる必要のある設定が好きで、鎮魂のフレーズが象徴しているように定型句に役割を持たせている(有り体に言えば呪文周りの設定が体系的な)作品には、言葉が軽視されていないという信頼を寄せられます。同じ少年漫画から例示すれば、『BLEACH』の鬼道とか『魔法先生ネギま!』の始動キーとか『青の祓魔師』の致死節とか大好物の概念です。

 これらとは対照的に、近年の異世界やゲーム世界が舞台の作品で特に顕著な、ただ英訳しただけの魔法名や技名はそれだけでも貧困な発想力に目を覆いたくなるのに、そこから作者が本気で世界を構築する気がないことが透けて見える虚無感で一段とげんなりさせられます。シンプルなのが即ち悪いわけではないものの、その単純さに納得のいく理由が用意されていなくても許された時代は疾うに終わっていたはずで、それなのに世界観そのものを流用したようなテンプレート作品が台頭してきたため、一部では時代への逆行が目立つのです。声高に個性の大切さが叫ばれる世の中とはいえ、画一的な作品が人気を博していることに鑑みると、まだまだ没個性の安心感を求める人間も多いのではないでしょうか。


 三番手は『ドまぞ』『リステDD』『荒乙』で迷いましたが、いずれも単独記事と残弾放出記事に感想を書いているのでここでの言及は行いません。


★ 音楽的補遺


 『うちの娘』OP曲「I'm with you」(2019)には、2000年代前半頃のアニソンっぽい懐かしさを覚えました。ラティナのたどたどしい発声で歌われる本曲には、王道の盛り上がりを見せるメロディラインも相俟って、応援したくなる心理が芽生えます。特殊ED曲「花ノ枝」(2019)は最終話に使用されていることもあって、OP曲より芯の強い歌唱になっているところにラティナの成長を見た思いです。父性本能くすぐり系アニメとしては、『愛してるぜベイベ★★』と『甘々と稲妻』に次ぐお気に入りとなりました。

 便宜的に父性本能という言葉を使いましたが、この文脈では母性本能でも主張したい意味内容に変わりはありません。…と、やや無理矢理感のある流れで続いて『お母好き』にふれます。ED曲「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃ママ」(2019)には驚きで、『ひらけ!ポンキッキ』発の有名曲「パタパタママ」(1976)の替え歌を主題歌にしてしまうマーケティング的な思い切りの良さと、下手に新曲を歌わせるより古い楽曲の力に頼ったところにリアルなママみを察せる点を評価したいです。収録先が円盤特典CDに限られているのは残念。



 同じく有名楽曲をベースにしたトラックでは、『ビジネス~』2ndED曲「スーダラ節 feat. BUSINESS FISH」(2019)も良かったです。DOTAMAによるサラリーマンの哀愁漂うラップで以て、昭和から令和への橋渡しが鮮やかに行われています。自分で聴き取ったものゆえ表記や内容が不正確かもしれないと断りまして、"今度の水曜有休消化 しようものなら集中砲火"、"上司に気配り 後輩気遣い 板挟みつらい/SNSで憂さ晴らし つい前向きウォーキング"、"忖度しながら個性保つ 現代社会を良く"、"恐れるなかれ異動先 待ってるニューワールド/どうなる査定 ボーナス査定 降格じゃねぇ 昇格だぜぇ、"多くの会社がブラック (Change!) 自ら働き方改革/セクハラ パワハラ 毎日ハラハラ そんな職場ばかりじゃない"、…哀しい哉、お気に入りのリリックでいっぱいです。笑

 『BEM』OP曲「宇宙の記憶」(2019)は、椎名林檎×坂本真綾の俺得コラボで情報解禁時に歓喜したことを覚えています。女史による楽曲提供の場合、自身の作風に寄せてくるか否かはその時々で変わる印象ですが、本曲に関しては演奏がSOIL&"PIMP"SESSIONSということもあって、多くのリスナーが期待するようなサウンドでまとめてきたとの所感です。ともすると安牌を切ったふうにも映るけれど、真綾さんのボーカルでジャズが聴けることの幸福の前では些事に過ぎません。


★ 秋アニメ:視聴作品(33+2本)

 アイカツオンパレード!, ◆アサシンズプライド, アズールレーン, ◆あひるの空, ◆俺を好きなのはお前だけかよ, 歌舞伎町シャーロック, 神田川JET GIRLS, GRANBLUE FANTASY The Animation Season 2, 警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 ートクナナー, この音とまれ!(第2期), ◆PSYCHO-PASS サイコパス 3, 食戟のソーマ 神ノ皿, ◆慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~, ゾイドワイルド ZERO, ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld(第1期), 耐え子の日常, ちはやふる3, 厨病激発ボーイ, 超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!, どるふろ -癒し篇-, 七つの大罪 神々の逆鱗, ◆ノー・ガンズ・ライフ(第1期), ハイスコアガールⅡ, 旗揚!けものみち, バビロン, ◆戦×恋, BEASTARS, 放課後さいころ倶楽部, ◆ぼくたちは勉強ができない!, 僕のヒーローアカデミア(第4期), 星合の空, 魔入りました!入間くん, ライフル・イズ・ビューティフル, ラディアン2, ◆私、能力は平均値でって言ったよね!


★ 作品語り


 30分枠だけで33本/クールは自分の視聴遍歴史上おそらく最多です。それだけにトップの一本を決めるのは難しいですが、題材にまで興味関心を覚えたという点で『さいころ倶楽部』に栄冠を与えます。作中にアナログゲームが多く登場するアニメというと『妹さえいればいい。』が思い浮かび、同作への感想を書いた際には「知識ひけらかし系の同族嫌悪を覚えなくもない」と、描写が鼻に付く面を自虐混じりにディスってしまいました(尤も、そこはアクセントの部分なので内容への批判ではありません)。しかし、その点が主軸の作品となると流石に描写が丁寧且つ初心者向けで、実際に遊んでみたいという気にさせられた現実へのフィードバック性を高く評価しています。

 インドアな作品性とは反対にアクティブな力強さを感じさせるOP曲「Present Moment」(2019)も、歌詞の通り"広がってくイメージの先"にある無限大の可能性に根差したものだとすれば得心のいくつくりです。富田美憂さんの歌声はとても良く通るので、言葉のひとつひとつがしっかりと響いてくるところに魅力があると感じます。本曲のように明るい展望の楽曲ではポジティブな青写真を、『無能なナナ』OP曲「Broken Sky」(2020)のように険しくダークな楽曲では作品世界の厳しさを、つまりは狙ったメッセージ性を端的に発信するのに適した歌唱と言えるでしょう。



 次点は『バビロン』です。一般小説ないしライト文芸が原作のアニメは良くも悪くもお利口さんで(監督や制作会社に独自の色があるケースは除く)、嫌いではないけれど大きなインパクトはないなと思うことが多いのですが、同作はテーマからしてセンシティブで放送前後に注意書きのテロップが入るくらいには描写が過激だったため、アニメ化の意義に富んでいたと顧みます。タブーを恐れず善悪についてとことん考えさせる問題提起の仕方も上手く、どのような答えに辿り着いたのかは元より、どれだけきちんと向き合えたかに説得力を持たせるロジカルな言葉繰りから、原作者である野﨑まどさんの鋭い思考力の冴えを感じ取れました。お名前に見覚えがあると思い調べたら、『正解するカド』のシリーズ構成と脚本を務めていた方だとわかり納得です。

 各章の主題歌もその内容に相応しい仕上がりで、立て続けに起こる怪事件の闇を探るサスペンシブな展開を彩った焦燥の「Live and let die」(2019)、曲世の魔の手が正崎を絶望の孤立へと誘うショッキングな惨劇の傍らで何処か美しさすら感じさせる文字通り華美と悪徳のバビロニアンな「イノチ食ム魂」(2019)、エンディングの白い闇の中に続くことと終わることが混濁した世の理が窺えるシンフォニックな「The next new world that no one knows(blood stained ver.)」(2019)と、それぞれにQ-MHzの多様な作家性と共同制作者の個性が炸裂しています。



 三番手は『BEASTARS』です。『けもフレ』や『群れなせ!シートン学園』などの優しい作風も結構ですが、本作の現実的な動物の擬人化および世界構築は更に含蓄に富み、これは蓋し「ヒューマンドラマ」に違いないとその惹句に異論ありません。ひたすらにお洒落なOP曲「Wild Side」(2019)にあわせてレゴシとハルが手を取り踊る映像を、普通のアニメーションではなくストップモーションによる人形劇で提示してきたところも技巧的で、コマ撮りの非連続性と人形の模倣的な性質が危うさの演出に繋がり、理性の奥底に沈められた本能が次の瞬間にいつでも暴発し得るということを伝えやすくしていたと分析します。


★ 音楽的補遺


 夏アニメの項で紹介した「宇宙の記憶」然り直上の「Wild Side」然り、OPにジャズはそれだけで質アニメの期待値を高めてくれる効能があるとの理解で、それは『歌舞伎町~』OP曲「CAPTURE」(2019)も同じくでした。EGO-WRAPPIN'はその名前が売れ出した頃にはよく聴いていて、中学生前後の自分にとっては殊更に格好良い音楽性を有するユニットとの印象が強かったです。こうしてアニメの主題歌で再びその音楽にふれて、その個性が健在であることを知れました。

 『ソーマ4期』ED曲「エンブレム」(2019)は、nano.RIPEが手掛けた歴代ED曲の中ではいちばんのフェイバリットです。別けても好みなのはAメロの美メロっぷりで、"現れた壁のどこかに"の流麗なラインには陶酔性があります。この歌詞内容から発展させて『ソーマ5期』OP曲「ラストチャプター」(2020)を先取りしますと、歌い出しの"どれだけ美しい旋律なら/傷ついたあの子へと届くだろう"に代表されるように、楽曲の序盤に来るフレーズ(歌詞および旋律)に強い牽引力があるのがナノライプの良さだと思っています。2018年の振り返りで『citrus』OP曲「アザレア」(2018)をレビューした時にも、似たようなことを書いていました。



 『旗揚!けものみち』OP曲「闘魂(ファイト)!ケモナーマスク」(2019)は、『聖闘士星矢』OP曲「ペガサス幻想」(1986)のヒットを持つバンドMAKE-UPのボーカル・NoBこと山田信夫さんが歌唱を務めているだけのことはあって、古き良きアニソンの趣を宿した楽曲です。NoBさんは特撮『スーパー戦隊シリーズ』数作品の主題歌を担当した経験があり、加えて本作はプロレスがテーマと男性的な嗜好にマッチする諸要素が鏤められているため、尚の事圧の強さが熱さを生んでいて素敵です。"ケモナージャーマン"の発声が完全に「ケモナーヒャーマン」でも、こまけぇこたぁいいんだよ!!で許される感ありますよね。笑

 最後はネタ枠というか特殊枠で、『耐え子の日常』をピックアップします。ある意味作品の全体が音楽に依存していると言いましょうか、OP曲からそのままジングル的なサブタイトルに雪崩れ込み、ネタのオチに「Oh~♪」が来てまた次のサブタイトルへ…という、リズムネタの如き斬新な見せ方に感心しました。作品へのアンチコメを作中で流してネタに昇華させる制作サイドの鋼メンタルも好感触です。笑



☆ おわりに

 ラストの1本だけ「一作品に対して一記事」の原則を破ってしまいましたが、2019年分は一年強に亘る更新で都合24本という結果で終わりました。元より短期集中ではない(「時期的な区切りや終点を設けない」)と明言しておいたものの、本当に今年いっぱいかかる長期企画になるとは正直予想していませんで、年明けに本記事を作成した段階では「未来の自分が頑張って上半期までには終わらせるだろう」と楽観視していたんですけどね。笑

 なお、残弾一挙放出記事に書いたこととの重複をお許しいただくとして、2018年分まではふれていたのに2019年分に対応するエントリーがない【アニソン+】の作品については、将来的により詳細な内容で更新することにしました。例えば本企画に於いても『SB69』の特集記事はかなり網羅的な内容になっていますが、このレベルの強固な記事を作品毎にせめて1本は作っておかないと僕の音楽愛を正しく示せないと思い始めたため、範囲を一年間に区切った振り返り企画では不適格と判断したのです。というわけで、今後の更新をお待ちいただければと思います。

 最後に、本企画を通して最も驚いたというか書いて良かったなと思ったのは、『ギヴン』OP曲「キヅアト」(2019)の記事をセンチミリメンタルこと温詞さんご本人がTwitterで紹介してくださったことです。好意的なお言葉を頂戴出来まして、大いに励みになりました。