2017年のアニソンを振り返る・Part.4/5【夏アニメ + CM編】
注意:『YouTube』動画の埋め込みが多いため、読み込みに少し時間がかかると思います。
● はじめに
Part.3に続く、「2017年のアニソンを振り返る」シリーズのPart.4です。企画の趣旨はPart.1にて説明済みですが、「2017年にレビューし損ねたアニソンを紹介する記事」という理解で相違ありません。本記事では、「2017年の夏アニメ(7月~9月)に関する楽曲」がレビューの対象となります。「CM編」については後程説明。
● 注意事項 (Part.2~5で共通)
Part.2で書いたことと同じなので、お手数ですがリンク先を参照してください。
● レビュー済みの作品一覧
先述の通り「レビューし損ねた」が題目に含まれるので、当ブログにて既にレビューを行ったものについては、以下に当該記事へのリンクをしておくことで振り返りの一環とします。要するに以下のラインナップは、個人的なヒットチャートですね。
■ かなしいうれしい / フレデリック
『恋と嘘』OP曲
■ メイドインアビス オリジナルサウンドトラック / Kevin Penkin
『メイドインアビス』劇伴
これらに加え、単独記事ではありませんが『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』に関する楽曲はPart.1にてレビューを行ったのでリンクしておきます。
クールを通して単独でレビュー済みの作品(非常に気に入った楽曲)がたったこれだけというのは、第一次を含めた僕のアニヲタ遍歴の中でも相当イレギュラーな事態です。特に主題歌に関しては、「CDを買おう」とまで思えたものが僅か一曲だけ(それも一般バンドによるもの)という寂しさだったので、過去には「不作」という表現も使いました。この点に関しては後で再びふれます。
● 対象作品とクールの総評
ここからがようやく本題です。上掲のアニメ3本も含めると、2017年夏クールは都合21作品を観ていました。残りの18作品を英かな混在のあいうえお順で書くと…
【『アホガール』、『異世界食堂』、『縁結びの妖狐ちゃん』(2クール)、『終物語(下巻)』、『賭ケグルイ』、『ゲーマーズ!』、『時間の支配者』、『セントールの悩み』、『徒然チルドレン』、『天使の3P!』、『ナナマル サンバツ』、『NEW GAME!!』、『捏造トラップ-NTR-』、『ノラと皇女と野良猫ハート』、『はじめてのギャル』、『プリンセス・プリンシパル』、『ボールルームへようこそ』(2クール)、『魔法陣グルグル(2017年)』(2クール)】
…となります。30分アニメじゃないものが4本ありますし、『終物語(下巻)』はワンクール作品ではないので、いちばん視聴本数の少なかった冬クールと実質的には大差ないかもしれません。
特に気に入った『メイドインアビス』と元々シリーズが好きだった『シンフォギアAXZ』が、アニメの出来としても突出していた(『AXZ』はシリーズ内では微妙な気がしますが)と思うので、次点の気に入った作品は団子状態です。『賭ケグルイ』『ゲーマーズ!』『セントール』『徒チル』『NG!!』『プリプリ』『ボールルーム』『グルグル』あたりは毎週楽しく観ていました。アニソンとしては不作と表現しましたが、アニメ作品としては悪いクールではなかった気がします。あとは『終物語(下巻)』も良かった。話の完成度で言えばいちばん。前クールに上中巻の再放送もあったので助かりました。
音楽好きとしてというかDTMerとして、もっと言えばCubaseユーザーとして『天使の3P!』には驚かされました。しっかりとDAWを描写していたところに好感が持てます。Part.3でふれ損ねましたが、『覆面系ノイズ』にもDAW画面が映るシーンがあったと記憶しているので、バンドアニメに於いて楽器以外にもフォーカスする流れが来ているならば喜ばしいですね。
ただ『天使~』に関してはひとつ不満点があります。それは情報発信に関わる問題です。作中の楽曲が良かったので挿入歌アルバムを買おうか検討していたのですが、発売日になっても公式で収録曲目が明かされておらず(翌日には掲載)、ツイでその旨を尋ねている人に対しても無反応で、「売る気あるのか」と正直思ってしまいました。加えて、これは『プリプリ』のキャラソン集にも同じことが言えますが、今日日発売前に全曲試聴動画をアップしないのは怠慢ではないでしょうか。実際僕は詳細が不明なせいで両作とも買うのを躊躇ったため、これは機会損失ですよね。作中やCMで楽曲を聴いて「いいかも」と思った人に対し、次なる足掛かりを用意していないのは改善すべき点であると物申します。
最後は業界に対する苦言になってしまいましたが、簡単に総評を終えたところで、上掲のアニメラインナップ(21本)に関する楽曲から、気に入っているけれどレビューし損ねたものについて言及していきます。
【追記:2019.5.19】
今更のお知らせですが、後に『天使~』の挿入歌アルバム『TVアニメ『天使の3P!』Three Angels Complete Album♪』の中から、「HOWLING」のレビューをアップしました。
【追記ここまで】
アニソン的に不作のクールという認識なのは前述の通りですが、このままレビューに入るとディスが前提にあるように受け取られかねないので、その「不作」という言葉を出した記事にも書いておいた弁明を以下に再掲。
全体的なレベルは決して低くないと思うんですけどね。もう一声あれば…という曲なら結構ありました。一応誉め言葉なのですがこの流れで書くとディスってるみたいに映るのでぼかして書きますと、異世界グルメED・ゲーム会社OP・錯綜系OP・探窟家OP・女賭博EDあたりは好きです。
引用終わり。ぼかした書き方をしていますが、上のラインナップは夏クールで他に気に入った楽曲群を指しているので、まずはここに挙げた順でレビューをしていきます。また、引用文中で「あたり」という言葉を出しているように、言及したい楽曲は他にも存在するので、それらについても以降に書き連ねていきいます。
ただ、途中に「CM編」を挟むことをお許しください。これは「CMで聴いただけで良いと思った2017年のアニソンを紹介するコーナー」です。これがあるため他の関連記事とは異なり内容が一部特殊になっていますが、リリース時期が「2017年夏」という点では共通しており、これが「CM編」を「夏クール編」に挿入した理由となります。なお、Part.3と同じく見出しは全てそのまま作品名です。
☆ 異世界食堂
安野希世乃が歌うED曲「ちいさなひとつぶ」。彼女は『マクロスΔ』のカナメ役としても名が通っており、ワルキューレの楽曲は過去にも幾度かレビューを行っているため、個人的にはその歌声の良さを再認識出来たナンバーという感想です。
主張し過ぎない柔らかなアレンジによって、素直な歌詞と綺麗なメロディが一層際立っているという正統派の良い曲。『異世界食堂』という作品自体が童話のようなシンプルさと優しさを持ったアニメだったので、正しい寄り添い方をしていると思います。
Part.2の『幼女戦記』の項でも匂わせましたが、僕はあまり異世界モノが好きではありません。もっと言えば転生要素が、更に突っ込めば無双やハーレム要素には嫌悪感すら覚えます。ギャグベースならば話は別ですが、嫌いな理由を書き出すと長くなるのでここでは省略。『異世界食堂』もある意味食の無双モノのような気はしますが、描き方に悪意がありませんし、「こちら側が異世界」という変化球だったので安心して観ることが出来ました。
☆ NEW GAME!!
『NEW GAME!』第2期のOP曲・fourfoliumの「STEP by STEP UP↑↑↑↑」は、普通にレビュー記事を作ってもよかったかなと少し後悔しているほどにはお気に入りのナンバーです。2016年の振り返り記事でも、第1期のOP曲「SAKURAスキップ」に言及しましたし、何気に音楽のレベルが高い作品だと思うということを軸に書き進めていきます。
この曲の好きなポイントはどれも細かいものでして、たとえばBメロの合いの手"(ハイ、ハイ、ハイ、ハイハイ!)"は、溌溂さの裏に少しのおふざけが見えるような発声がクセになる…といった、音韻に関する伝わるか微妙な書き方に終始してしまうのですが、このスタイルのまま個人的な細かいツボNo.1について以下に力説していきます。
そのツボはサビの"満開STEP BY STEPで進め!"のところにあり。正確には冒頭サビとそれ以外のサビとの差です。傾聴してほしいのは"STEPで"の部分で、冒頭サビのを仮に基本系とすると、それ以外のサビでは歌い方が微妙に異なりますよね。わかりにくいので"STEP"を[ステップ]に置き換えますが、促音[ッ]の持続時間が短くなることでつんのめるような趣が出ている、ここに青葉たち若い社員のエネルギッシュさや勢いが感じられるので好きなのです。
促音は単独では発音不可能というか出現しない音なので、言い方を変えれば[テ]から[プ]への移行が遅いか早いか(モーラをどれだけ意識して維持させるか)ということになりますが、これが歌唱指導によるものなのか将又元々のメロディがそうなのか、何れにせよフック(良い違和感)として機能しているところを技巧的だと評価します。
続いて1期と2期の間に発売されたミニアルバム『Now Singing♪♪♪♪』をピックアップ。2016年のリリースと勘違いしていましたが、2017年の作品だったのでそこそこしっかりふれることにします。笑 代表として二曲を紹介。
02.「向上上々ハイジャンプ↑↑↑↑」はゲーム版のED曲ですが、どこか1期のOP曲を彷彿させる作りになっていて、繰り返し聴くことによる中毒性の高さという点でも似ているので好みでした。
しかし最も良曲だと思ったのは、滝本ひふみのキャラソン04.「ワタシConnect*」です。キャラの特性にあわせたピコピコしたトラックで、アレンジからしてまず大好物。コーラスとの掛け合いが愛らしいAメロも、二音でバトンを繋いでいくような疾走感のあるサビメロも素敵で、流石ヒゲドライバーさんによる楽曲だと絶賛します。
歌詞は顔文字だらけでぱっと見ふざけているようにも思えますが、精読していくとなかなか心に響く優しい内容だとわかります。特に2番Aの"ふいにタイピングして(始まるおしゃべり)/温度が伝わる(ふれんどりー Emoticon)"というフレーズが好きで、ひふみというキャラの描写としても、旋律にマッチしているという点でも、現代のコミュニケーションらしいという意味でも非の打ち所がありません。2番サビの"届いて私のENTER"も天才的に鮮やかな一節だと思う。
TVアニメ「 NEW GAME!! 」キャラクターソングCDシリーズ VOCAL STAGE 3/メディアファクトリー

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2期放送中に次々とリリースされた『VOCAL STAGE』シリーズでは、「BUG! BUG! SURVIVAL!」と「YOU-TOPIA!」がお気に入り。これらシングルリリースがあったので2期はアルバムは出ないのかなと思っていましたが、今月下旬に第2弾の『SINGin' SING UP♪♪♪♪』が発売になるみたいなので、これにも期待大です。
最後にアニメ自体にふれますが、2期は普通に内容が良かったので、きらら系であるとかCGDCTだとかは抜きにして面白いという感想を持ちました。1期は正直キャラの可愛さだけで観ていたのですが、その認識は改めなくてはいけないようです。
☆ ゲーマーズ!
作中ヒロインズによるOP曲「GAMERS!」。OP映像も込みで言えばかなり好きなナンバーなので単独レビュー記事を作る可能性は大いにあったのですが、サビが某曲に似ていると感じたところで新鮮味に疑問符がつき、そのまま見送ってしまいました。何かは明らかにしませんが、今改めて聴くとそこまでは似ていない気がするので、勝手に変なケチをつけたことを謝罪します。
そのポップでキャッチーなサビも良いですが、平坦な印象のAメロが歌詞も含めて最も好きなパートです。特に"恋もリスポーンを狙い撃ち"という表現は、ゲーム用語の落とし込み方としても上手ですし、公式の宣伝文句「すれ違い青春錯綜系ラブコメ」にもマッチした、味わい深い歌詞だと思います。
声質としては亜玖璃のCVを務める大久保瑠美さんのものが特徴的で好みです。あとはCメロが地味に美メロである点も高評価。
観る前はもっとゲームに特化した内容の作品(『ハイスコアガール』みたいな感じ)かと思っていたのですが、誤解と憶測と邪推と勘違いと運命のイタズラのせいでどんどんこじれていく人間模様を楽しむアニメで面白かったです。笑
☆ メイドインアビス
冒頭にリンクしたように、作品自体と劇伴に関しては大絶賛のレビュー記事をアップするほどのお気に入りですが、主題歌については言及していませんでした。ということで、ここではOP曲の「Deep in Abyss」を紹介します。主人公ズによるナンバーですね。
Tom-H@ckプロデュースで作詞がhotaruさんという点では、Part.2で紹介した「JINGO JUNGLE」(『幼女戦記』OP曲)と同じですが、こちらは作曲者が異なります。
決して嫌いではありませんし、作品にも合っていてアニソンらしさもきちんとあるという評価ですが、僕にはサビメロにやや狙い過ぎの感があるように思えて気になり、レビューを見送っていた次第です。A/Bメロの積み重ねは鮮やかだと感じるんですけどね。
これは余談ですが、Tom-H@ckさんの名前を出すことが出来たのでついでに紹介。2017年から再放送で『ヤマノススメ セカンドシーズン』を観始めた(継続中)のですが、そのOP曲「夏色プレゼント」の仕上がりには非常に感動を覚えました。作曲も編曲も(勿論稲葉エミさんによる作詞も)神懸っていて、この名曲を知らなかったことを恥じたレベルです。
☆ 賭ケグルイ
D-selectionsによるED曲「LAYon-theLINE」は、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによるナンバーだからか初聴から好きでした。2016年の振り返り記事で紹介した「LoSe±CoNtRoL」と「FLIP FLAP FLIP FLAP」もTPG(のメンバー)が関わっている楽曲ですし、この後に新たに紹介するトラックでも名前を出すことになるので、制作陣に関してはアーティスト単位で好きだと言えます。
イントロ(アニメでの使用部分にあたる0:15~)からして格好良いですよね。0:21地点のドラムのフィルインがとりわけクール。また、混声グループであることがしっかりと意識されているからか、男女のどちらが歌っても気持ちの好いメロディになっている点も流石です。
あのサイケデリックでセクシーなED映像があってこそより映えるナンバーだとも思うので、併せて楽しむと吉でしょう。
ここで一旦CMです!…というのは冗談ですが、記事タイトルおよび「対象作品とクールの総評」の項で示した通り、ここで「2017年夏アニメ編」を中断して「CM編」に入ります。CMということを意識して、この半端な位置からのスタートです。
趣旨だけ再掲しますが、「CM編」とは「CMで聴いただけで良いと思った2017年のアニソンを紹介するコーナー」です。先にぶっちゃけると、レビューの対象となったのはスマホゲームおよび舞台に関する楽曲なので、アニソンというのは不正確ですがそこは大目に見てくださると助かります。笑
☆ マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
テーマソングはTrySailの「かかわり」。Part.3でレビューした同アーティストによるシングル『adrenaline!!!』のc/wに収録されているナンバーで、2ndアルバム『TAILWIND』にも収録されています。
CM自体はもっと前から放送されていたものの、アルバムの発売は2017年8月でしたし、ゲームのリリースも延びに延びて同時期だったので、「夏クール編」での紹介になるのにもある程度は納得していただけるかと思います。笑 また、ゲーム自体も遊んでいるので厳密には「CMで聴いただけ」で気に入ったわけではないことも一応書いておきます。
この曲はAメロが特に素晴らしいと思っていて、それは旋律自体の切なさにも掛かる形容ですが、意味深というか正直意味を捉えにくい不思議な歌詞こそが魅力であるという主張でもあります。考察のし甲斐がある歌詞と換言してもいいです。
"どんなにどんなに手を取り合っていても/最後から最後まで始まりはない"。すれ違いの悲しさや虚しさは伝わってきますが、後半のループが閉じているようなトートロジーじみた表現は何なのだろう?と考えてしまいますよね。
2番にも"最初から最初まで何もなかったなんて"という複雑なフレーズが登場し解釈も難しいのですが、初期(宣伝段階)とプロットが異なる説(公式にある「まどかが神浜に来た理由」が作中の描写とあわない)もあるので、どこまで真面目に向き合うべきなのか決めあぐねているのも事実です。
まあ細かい点はともかく、『マギレコ』も『まどマギ』の外伝だけあってストーリーは(今のところ)面白いと思います。第5章あたりから不穏な要素が増えてきた印象で、2018年は本格的にお話が動くだろうと期待です。年明けからのAP消費1/2で、放置していた個別エピソードの開放も進めていますが、どのキャラもしっかりとしたバックグラウンドがあって魅力的だと思います。ガチャは相当渋いようですが、僕は無課金でも今までに☆4が6体出ているので特に不満はありません。笑
☆ プリンセスコネクト! Re:Dive
メインテーマである「Lost Princess」、この曲は本当の意味で「CMで聴いただけ」で好きになって手を出したので、個人的には「2017年CM(で聴いた)アニソン大賞」の称号を与えたいです。笑 これもCM自体はもっと前からやっていたような気がしますが、CDのリリースは2017年9月なので「夏」扱いとします。
かなりしつこくCMをやっていた印象で、そのせいで最初は正直嫌いだったような記憶があるのですが、押しの強さに負けて段々と「良い曲なのでは?」という思いが強くなっていったので、提供側の思惑にまんまとはまってしまったわけですね。それはまあいいんですが、未だに配信されていないのには驚きました。
ネームバリューで判断したみたいでアレですが、調べて田中公平さん作の楽曲だとわかったのも手を出す後押しになりました。イントロを聴いて納得したのと同時に、「サクラ大戦やんけ!」と正直笑ってしまったほど。サビメロの実直さというか、間違いのない美しい旋律が実に彼らしいと思います。
しかしフルで聴いて特に良いと思ったのはAメロです。険しさを窺わせるゆらっとした質感が格好良い。特に"運命の采配は"のところの旋律が耳に残って好み。
☆ 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
メディアミックス作品でアニメ化は決定しているものの、今のところメインはミュージカル…という作品理解で正しいでしょうか。ここで紹介する「Star Divine」は、スタァライト九九組というメインキャスト陣によるユニットが歌うナンバーのようです。CMで聴いて良いと思ったので簡単にレビューします。
作品の内容は全然知らないので以下に書くのはイメージのみを先行させた分析だと断っておきますが、こういう世界観の作品にとっては王道というか、ある意味あざといとすら思えるようなクールな切り口を見せる、歌詞の通り剣のような楽曲ですよね。まさにそこが気に入ったポイントなので、正統派の良い仕事だと評価します。
以上、3曲ではありますが「CM編」でした。最後に紹介した「Star Divine」を収録したシングルも2017年9月の発売なので、一応全て「夏」という縛りのうえで「夏クール編」への挿入も据りの良いものとなりましたが、これは本当にたまたまです。笑
以下、「2017年夏アニメ編」を再開しますが、ここからはアニメ総評パートで書いたところの「あたり」を紹介するセクションになるので、思い付いた順にレビューしていきます。
☆ 魔法陣グルグル(2017年)
『グルグル』は子供の頃から好きな作品で、原作(無印)も紙で持っていますし、外伝と2も電子書籍で購入しているくらいにはファンです。1994年と2000年のアニメも全部ではありませんが当時観ていた覚えがあるので、三度目のアニメ化も楽しく観ることが出来ました。
ここでは1stOP曲の「Trip Trip Trip」に絞ってレビューを行いますが、これはPart.3でも名前を出したORESAMAによるナンバーです。2ndOP曲「流星ダンスフロア」も彼らによる作品で、こちらは編曲に『賭ケグルイ』の項で紹介したTPGが参加しているので(ちなみにED曲も1st/2nd共にTPG作のトラック)、主題歌は全て僕の好みのサウンドクリエイターズによって作られていて満足でした。
安定したポップセンスによる安心のダンスミュージックという趣で、しっかりとファンのツボをおさえていると感じます。漫画原作者の衛藤ヒロユキさんはDJとしての一面も持っていることは有名かと思いますが、彼の音楽的な嗜好も反映されているのだろうか。『グルグル』という作品自体にもダンスというか踊りは必要な要素なので、楽曲制作時の解釈のひとつとしては正道じゃないかな。
最終話で「Wind Climbing ~風にあそばれて~」(元は1994)のアレンジバージョンが流れたのも鳥肌でした。「晴れてハレルヤ」(1995)も含めて、奥井亜紀さんによるアニメ過去作の主題歌は超がつくほどの名曲ですよね。
☆ セントールの悩み
ピュアリーモンスターによるOP曲「教えてダーウィン」も結構お気に入り。歌詞もメロディも志倉節が炸裂しているなと感じますが、彼が手掛けているアイドルグループのナンバーの中では、嫌いじゃないギラギラ感を宿していると思います。
他のグループの楽曲も嫌いではないのですが、志倉さん作の楽曲の骨子に対する、最終的なアウトプットの圧が強過ぎる(声質やアレンジのせい?)気がするので、この観点で言えば「教えてダーウィン」はバランスが良いと感じたという意味です。砕けて言えば、わちゃわちゃした楽曲よりも、普通に格好良いトラックの方が志倉さんのワークスとしては好みだというだけの話。
バランスと言えば、この作品の妙に凝った世界設定やリアリティのある描写に対しても、好き嫌いが分かれそうだなと思いました。個人的には嫌いじゃなかったので観続けていましたが、気持ちの持って行き所がわからなくなる瞬間がある不思議な作品だという感想です。
☆ ボールルームへようこそ
この「2017年のアニソンを振り返る」シリーズですが、男性ボーカル分が圧倒的に不足しているので、UNISON SQUARE GARDENに少しでも補ってもらおうということでトリを任せます。笑 同バンドのソングライティングを担当している田淵さんに関しては、Part.3でQ-MHzの名前を出すことで間接的にはふれているんですけどね。
1stOP曲の「10% roll, 10% romance」も2ndOP曲の「Invisible Sensation」も良曲なのでどちらを代表させるか迷いましたが、ここでは疾走感が気持ち好い後者を推したいと思います。
ユニゾンの楽曲はメロディの輪郭を突き破ってしまう程の目まぐるしさこそが素敵だという認識ですが、そのせいか一回聴いただけでは旋律の妙が掴みにくいという側面がある気がします。その点「Invisible Sensation」はキャッチーなサビのインパクトが大きいため、初めて聴く人にもおすすめ出来るナンバーではないでしょうか。
僕にとっては『TIGER & BUNNY』のOP曲「オリオンをなぞる」(2011)のイメージが強かったバンドですが、『ボールルーム』関連の楽曲(小松未可子さんが歌う2つのED曲もQ-MHz作)でその印象がよりダンサブルなものに更新されました。『血界戦線』は観ていないので(観たい気持ちはある)、最も有名であろう「シュガーソングとビターステップ」(2015)にはアニメを伴った感想を持てずにいるんですよね。
● おわりに
以上、「2017年のアニソンを振り返る・Part.4/5【夏アニメ + CM編】」でした。例によって記事が埋め込み動画で重くてすみません。Part.5/5【秋アニメ編】へのリンクはこちらです。
● はじめに
Part.3に続く、「2017年のアニソンを振り返る」シリーズのPart.4です。企画の趣旨はPart.1にて説明済みですが、「2017年にレビューし損ねたアニソンを紹介する記事」という理解で相違ありません。本記事では、「2017年の夏アニメ(7月~9月)に関する楽曲」がレビューの対象となります。「CM編」については後程説明。
● 注意事項 (Part.2~5で共通)
Part.2で書いたことと同じなので、お手数ですがリンク先を参照してください。
● レビュー済みの作品一覧
先述の通り「レビューし損ねた」が題目に含まれるので、当ブログにて既にレビューを行ったものについては、以下に当該記事へのリンクをしておくことで振り返りの一環とします。要するに以下のラインナップは、個人的なヒットチャートですね。
■ かなしいうれしい / フレデリック
『恋と嘘』OP曲
■ メイドインアビス オリジナルサウンドトラック / Kevin Penkin
『メイドインアビス』劇伴
これらに加え、単独記事ではありませんが『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』に関する楽曲はPart.1にてレビューを行ったのでリンクしておきます。
クールを通して単独でレビュー済みの作品(非常に気に入った楽曲)がたったこれだけというのは、第一次を含めた僕のアニヲタ遍歴の中でも相当イレギュラーな事態です。特に主題歌に関しては、「CDを買おう」とまで思えたものが僅か一曲だけ(それも一般バンドによるもの)という寂しさだったので、過去には「不作」という表現も使いました。この点に関しては後で再びふれます。
● 対象作品とクールの総評
ここからがようやく本題です。上掲のアニメ3本も含めると、2017年夏クールは都合21作品を観ていました。残りの18作品を英かな混在のあいうえお順で書くと…
【『アホガール』、『異世界食堂』、『縁結びの妖狐ちゃん』(2クール)、『終物語(下巻)』、『賭ケグルイ』、『ゲーマーズ!』、『時間の支配者』、『セントールの悩み』、『徒然チルドレン』、『天使の3P!』、『ナナマル サンバツ』、『NEW GAME!!』、『捏造トラップ-NTR-』、『ノラと皇女と野良猫ハート』、『はじめてのギャル』、『プリンセス・プリンシパル』、『ボールルームへようこそ』(2クール)、『魔法陣グルグル(2017年)』(2クール)】
…となります。30分アニメじゃないものが4本ありますし、『終物語(下巻)』はワンクール作品ではないので、いちばん視聴本数の少なかった冬クールと実質的には大差ないかもしれません。
特に気に入った『メイドインアビス』と元々シリーズが好きだった『シンフォギアAXZ』が、アニメの出来としても突出していた(『AXZ』はシリーズ内では微妙な気がしますが)と思うので、次点の気に入った作品は団子状態です。『賭ケグルイ』『ゲーマーズ!』『セントール』『徒チル』『NG!!』『プリプリ』『ボールルーム』『グルグル』あたりは毎週楽しく観ていました。アニソンとしては不作と表現しましたが、アニメ作品としては悪いクールではなかった気がします。あとは『終物語(下巻)』も良かった。話の完成度で言えばいちばん。前クールに上中巻の再放送もあったので助かりました。
音楽好きとしてというかDTMerとして、もっと言えばCubaseユーザーとして『天使の3P!』には驚かされました。しっかりとDAWを描写していたところに好感が持てます。Part.3でふれ損ねましたが、『覆面系ノイズ』にもDAW画面が映るシーンがあったと記憶しているので、バンドアニメに於いて楽器以外にもフォーカスする流れが来ているならば喜ばしいですね。
ただ『天使~』に関してはひとつ不満点があります。それは情報発信に関わる問題です。作中の楽曲が良かったので挿入歌アルバムを買おうか検討していたのですが、発売日になっても公式で収録曲目が明かされておらず(翌日には掲載)、ツイでその旨を尋ねている人に対しても無反応で、「売る気あるのか」と正直思ってしまいました。加えて、これは『プリプリ』のキャラソン集にも同じことが言えますが、今日日発売前に全曲試聴動画をアップしないのは怠慢ではないでしょうか。実際僕は詳細が不明なせいで両作とも買うのを躊躇ったため、これは機会損失ですよね。作中やCMで楽曲を聴いて「いいかも」と思った人に対し、次なる足掛かりを用意していないのは改善すべき点であると物申します。
最後は業界に対する苦言になってしまいましたが、簡単に総評を終えたところで、上掲のアニメラインナップ(21本)に関する楽曲から、気に入っているけれどレビューし損ねたものについて言及していきます。
【追記:2019.5.19】
今更のお知らせですが、後に『天使~』の挿入歌アルバム『TVアニメ『天使の3P!』Three Angels Complete Album♪』の中から、「HOWLING」のレビューをアップしました。
【追記ここまで】
アニソン的に不作のクールという認識なのは前述の通りですが、このままレビューに入るとディスが前提にあるように受け取られかねないので、その「不作」という言葉を出した記事にも書いておいた弁明を以下に再掲。
全体的なレベルは決して低くないと思うんですけどね。もう一声あれば…という曲なら結構ありました。一応誉め言葉なのですがこの流れで書くとディスってるみたいに映るのでぼかして書きますと、異世界グルメED・ゲーム会社OP・錯綜系OP・探窟家OP・女賭博EDあたりは好きです。
引用終わり。ぼかした書き方をしていますが、上のラインナップは夏クールで他に気に入った楽曲群を指しているので、まずはここに挙げた順でレビューをしていきます。また、引用文中で「あたり」という言葉を出しているように、言及したい楽曲は他にも存在するので、それらについても以降に書き連ねていきいます。
ただ、途中に「CM編」を挟むことをお許しください。これは「CMで聴いただけで良いと思った2017年のアニソンを紹介するコーナー」です。これがあるため他の関連記事とは異なり内容が一部特殊になっていますが、リリース時期が「2017年夏」という点では共通しており、これが「CM編」を「夏クール編」に挿入した理由となります。なお、Part.3と同じく見出しは全てそのまま作品名です。
☆ 異世界食堂
安野希世乃が歌うED曲「ちいさなひとつぶ」。彼女は『マクロスΔ』のカナメ役としても名が通っており、ワルキューレの楽曲は過去にも幾度かレビューを行っているため、個人的にはその歌声の良さを再認識出来たナンバーという感想です。
主張し過ぎない柔らかなアレンジによって、素直な歌詞と綺麗なメロディが一層際立っているという正統派の良い曲。『異世界食堂』という作品自体が童話のようなシンプルさと優しさを持ったアニメだったので、正しい寄り添い方をしていると思います。
Part.2の『幼女戦記』の項でも匂わせましたが、僕はあまり異世界モノが好きではありません。もっと言えば転生要素が、更に突っ込めば無双やハーレム要素には嫌悪感すら覚えます。ギャグベースならば話は別ですが、嫌いな理由を書き出すと長くなるのでここでは省略。『異世界食堂』もある意味食の無双モノのような気はしますが、描き方に悪意がありませんし、「こちら側が異世界」という変化球だったので安心して観ることが出来ました。
☆ NEW GAME!!
『NEW GAME!』第2期のOP曲・fourfoliumの「STEP by STEP UP↑↑↑↑」は、普通にレビュー記事を作ってもよかったかなと少し後悔しているほどにはお気に入りのナンバーです。2016年の振り返り記事でも、第1期のOP曲「SAKURAスキップ」に言及しましたし、何気に音楽のレベルが高い作品だと思うということを軸に書き進めていきます。
この曲の好きなポイントはどれも細かいものでして、たとえばBメロの合いの手"(ハイ、ハイ、ハイ、ハイハイ!)"は、溌溂さの裏に少しのおふざけが見えるような発声がクセになる…といった、音韻に関する伝わるか微妙な書き方に終始してしまうのですが、このスタイルのまま個人的な細かいツボNo.1について以下に力説していきます。
そのツボはサビの"満開STEP BY STEPで進め!"のところにあり。正確には冒頭サビとそれ以外のサビとの差です。傾聴してほしいのは"STEPで"の部分で、冒頭サビのを仮に基本系とすると、それ以外のサビでは歌い方が微妙に異なりますよね。わかりにくいので"STEP"を[ステップ]に置き換えますが、促音[ッ]の持続時間が短くなることでつんのめるような趣が出ている、ここに青葉たち若い社員のエネルギッシュさや勢いが感じられるので好きなのです。
促音は単独では発音不可能というか出現しない音なので、言い方を変えれば[テ]から[プ]への移行が遅いか早いか(モーラをどれだけ意識して維持させるか)ということになりますが、これが歌唱指導によるものなのか将又元々のメロディがそうなのか、何れにせよフック(良い違和感)として機能しているところを技巧的だと評価します。
続いて1期と2期の間に発売されたミニアルバム『Now Singing♪♪♪♪』をピックアップ。2016年のリリースと勘違いしていましたが、2017年の作品だったのでそこそこしっかりふれることにします。笑 代表として二曲を紹介。
02.「向上上々ハイジャンプ↑↑↑↑」はゲーム版のED曲ですが、どこか1期のOP曲を彷彿させる作りになっていて、繰り返し聴くことによる中毒性の高さという点でも似ているので好みでした。
しかし最も良曲だと思ったのは、滝本ひふみのキャラソン04.「ワタシConnect*」です。キャラの特性にあわせたピコピコしたトラックで、アレンジからしてまず大好物。コーラスとの掛け合いが愛らしいAメロも、二音でバトンを繋いでいくような疾走感のあるサビメロも素敵で、流石ヒゲドライバーさんによる楽曲だと絶賛します。
歌詞は顔文字だらけでぱっと見ふざけているようにも思えますが、精読していくとなかなか心に響く優しい内容だとわかります。特に2番Aの"ふいにタイピングして(始まるおしゃべり)/温度が伝わる(ふれんどりー Emoticon)"というフレーズが好きで、ひふみというキャラの描写としても、旋律にマッチしているという点でも、現代のコミュニケーションらしいという意味でも非の打ち所がありません。2番サビの"届いて私のENTER"も天才的に鮮やかな一節だと思う。
TVアニメ「 NEW GAME!! 」キャラクターソングCDシリーズ VOCAL STAGE 3/メディアファクトリー

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2期放送中に次々とリリースされた『VOCAL STAGE』シリーズでは、「BUG! BUG! SURVIVAL!」と「YOU-TOPIA!」がお気に入り。これらシングルリリースがあったので2期はアルバムは出ないのかなと思っていましたが、今月下旬に第2弾の『SINGin' SING UP♪♪♪♪』が発売になるみたいなので、これにも期待大です。
最後にアニメ自体にふれますが、2期は普通に内容が良かったので、きらら系であるとかCGDCTだとかは抜きにして面白いという感想を持ちました。1期は正直キャラの可愛さだけで観ていたのですが、その認識は改めなくてはいけないようです。
☆ ゲーマーズ!
作中ヒロインズによるOP曲「GAMERS!」。OP映像も込みで言えばかなり好きなナンバーなので単独レビュー記事を作る可能性は大いにあったのですが、サビが某曲に似ていると感じたところで新鮮味に疑問符がつき、そのまま見送ってしまいました。何かは明らかにしませんが、今改めて聴くとそこまでは似ていない気がするので、勝手に変なケチをつけたことを謝罪します。
そのポップでキャッチーなサビも良いですが、平坦な印象のAメロが歌詞も含めて最も好きなパートです。特に"恋もリスポーンを狙い撃ち"という表現は、ゲーム用語の落とし込み方としても上手ですし、公式の宣伝文句「すれ違い青春錯綜系ラブコメ」にもマッチした、味わい深い歌詞だと思います。
声質としては亜玖璃のCVを務める大久保瑠美さんのものが特徴的で好みです。あとはCメロが地味に美メロである点も高評価。
観る前はもっとゲームに特化した内容の作品(『ハイスコアガール』みたいな感じ)かと思っていたのですが、誤解と憶測と邪推と勘違いと運命のイタズラのせいでどんどんこじれていく人間模様を楽しむアニメで面白かったです。笑
☆ メイドインアビス
冒頭にリンクしたように、作品自体と劇伴に関しては大絶賛のレビュー記事をアップするほどのお気に入りですが、主題歌については言及していませんでした。ということで、ここではOP曲の「Deep in Abyss」を紹介します。主人公ズによるナンバーですね。
Tom-H@ckプロデュースで作詞がhotaruさんという点では、Part.2で紹介した「JINGO JUNGLE」(『幼女戦記』OP曲)と同じですが、こちらは作曲者が異なります。
決して嫌いではありませんし、作品にも合っていてアニソンらしさもきちんとあるという評価ですが、僕にはサビメロにやや狙い過ぎの感があるように思えて気になり、レビューを見送っていた次第です。A/Bメロの積み重ねは鮮やかだと感じるんですけどね。
これは余談ですが、Tom-H@ckさんの名前を出すことが出来たのでついでに紹介。2017年から再放送で『ヤマノススメ セカンドシーズン』を観始めた(継続中)のですが、そのOP曲「夏色プレゼント」の仕上がりには非常に感動を覚えました。作曲も編曲も(勿論稲葉エミさんによる作詞も)神懸っていて、この名曲を知らなかったことを恥じたレベルです。
☆ 賭ケグルイ
D-selectionsによるED曲「LAYon-theLINE」は、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによるナンバーだからか初聴から好きでした。2016年の振り返り記事で紹介した「LoSe±CoNtRoL」と「FLIP FLAP FLIP FLAP」もTPG(のメンバー)が関わっている楽曲ですし、この後に新たに紹介するトラックでも名前を出すことになるので、制作陣に関してはアーティスト単位で好きだと言えます。
イントロ(アニメでの使用部分にあたる0:15~)からして格好良いですよね。0:21地点のドラムのフィルインがとりわけクール。また、混声グループであることがしっかりと意識されているからか、男女のどちらが歌っても気持ちの好いメロディになっている点も流石です。
あのサイケデリックでセクシーなED映像があってこそより映えるナンバーだとも思うので、併せて楽しむと吉でしょう。
ここで一旦CMです!…というのは冗談ですが、記事タイトルおよび「対象作品とクールの総評」の項で示した通り、ここで「2017年夏アニメ編」を中断して「CM編」に入ります。CMということを意識して、この半端な位置からのスタートです。
趣旨だけ再掲しますが、「CM編」とは「CMで聴いただけで良いと思った2017年のアニソンを紹介するコーナー」です。先にぶっちゃけると、レビューの対象となったのはスマホゲームおよび舞台に関する楽曲なので、アニソンというのは不正確ですがそこは大目に見てくださると助かります。笑
☆ マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
テーマソングはTrySailの「かかわり」。Part.3でレビューした同アーティストによるシングル『adrenaline!!!』のc/wに収録されているナンバーで、2ndアルバム『TAILWIND』にも収録されています。
CM自体はもっと前から放送されていたものの、アルバムの発売は2017年8月でしたし、ゲームのリリースも延びに延びて同時期だったので、「夏クール編」での紹介になるのにもある程度は納得していただけるかと思います。笑 また、ゲーム自体も遊んでいるので厳密には「CMで聴いただけ」で気に入ったわけではないことも一応書いておきます。
この曲はAメロが特に素晴らしいと思っていて、それは旋律自体の切なさにも掛かる形容ですが、意味深というか正直意味を捉えにくい不思議な歌詞こそが魅力であるという主張でもあります。考察のし甲斐がある歌詞と換言してもいいです。
"どんなにどんなに手を取り合っていても/最後から最後まで始まりはない"。すれ違いの悲しさや虚しさは伝わってきますが、後半のループが閉じているようなトートロジーじみた表現は何なのだろう?と考えてしまいますよね。
2番にも"最初から最初まで何もなかったなんて"という複雑なフレーズが登場し解釈も難しいのですが、初期(宣伝段階)とプロットが異なる説(公式にある「まどかが神浜に来た理由」が作中の描写とあわない)もあるので、どこまで真面目に向き合うべきなのか決めあぐねているのも事実です。
まあ細かい点はともかく、『マギレコ』も『まどマギ』の外伝だけあってストーリーは(今のところ)面白いと思います。第5章あたりから不穏な要素が増えてきた印象で、2018年は本格的にお話が動くだろうと期待です。年明けからのAP消費1/2で、放置していた個別エピソードの開放も進めていますが、どのキャラもしっかりとしたバックグラウンドがあって魅力的だと思います。ガチャは相当渋いようですが、僕は無課金でも今までに☆4が6体出ているので特に不満はありません。笑
☆ プリンセスコネクト! Re:Dive
メインテーマである「Lost Princess」、この曲は本当の意味で「CMで聴いただけ」で好きになって手を出したので、個人的には「2017年CM(で聴いた)アニソン大賞」の称号を与えたいです。笑 これもCM自体はもっと前からやっていたような気がしますが、CDのリリースは2017年9月なので「夏」扱いとします。
かなりしつこくCMをやっていた印象で、そのせいで最初は正直嫌いだったような記憶があるのですが、押しの強さに負けて段々と「良い曲なのでは?」という思いが強くなっていったので、提供側の思惑にまんまとはまってしまったわけですね。それはまあいいんですが、未だに配信されていないのには驚きました。
ネームバリューで判断したみたいでアレですが、調べて田中公平さん作の楽曲だとわかったのも手を出す後押しになりました。イントロを聴いて納得したのと同時に、「サクラ大戦やんけ!」と正直笑ってしまったほど。サビメロの実直さというか、間違いのない美しい旋律が実に彼らしいと思います。
しかしフルで聴いて特に良いと思ったのはAメロです。険しさを窺わせるゆらっとした質感が格好良い。特に"運命の采配は"のところの旋律が耳に残って好み。
☆ 少女☆歌劇 レヴュースタァライト
メディアミックス作品でアニメ化は決定しているものの、今のところメインはミュージカル…という作品理解で正しいでしょうか。ここで紹介する「Star Divine」は、スタァライト九九組というメインキャスト陣によるユニットが歌うナンバーのようです。CMで聴いて良いと思ったので簡単にレビューします。
作品の内容は全然知らないので以下に書くのはイメージのみを先行させた分析だと断っておきますが、こういう世界観の作品にとっては王道というか、ある意味あざといとすら思えるようなクールな切り口を見せる、歌詞の通り剣のような楽曲ですよね。まさにそこが気に入ったポイントなので、正統派の良い仕事だと評価します。
以上、3曲ではありますが「CM編」でした。最後に紹介した「Star Divine」を収録したシングルも2017年9月の発売なので、一応全て「夏」という縛りのうえで「夏クール編」への挿入も据りの良いものとなりましたが、これは本当にたまたまです。笑
以下、「2017年夏アニメ編」を再開しますが、ここからはアニメ総評パートで書いたところの「あたり」を紹介するセクションになるので、思い付いた順にレビューしていきます。
☆ 魔法陣グルグル(2017年)
『グルグル』は子供の頃から好きな作品で、原作(無印)も紙で持っていますし、外伝と2も電子書籍で購入しているくらいにはファンです。1994年と2000年のアニメも全部ではありませんが当時観ていた覚えがあるので、三度目のアニメ化も楽しく観ることが出来ました。
ここでは1stOP曲の「Trip Trip Trip」に絞ってレビューを行いますが、これはPart.3でも名前を出したORESAMAによるナンバーです。2ndOP曲「流星ダンスフロア」も彼らによる作品で、こちらは編曲に『賭ケグルイ』の項で紹介したTPGが参加しているので(ちなみにED曲も1st/2nd共にTPG作のトラック)、主題歌は全て僕の好みのサウンドクリエイターズによって作られていて満足でした。
安定したポップセンスによる安心のダンスミュージックという趣で、しっかりとファンのツボをおさえていると感じます。漫画原作者の衛藤ヒロユキさんはDJとしての一面も持っていることは有名かと思いますが、彼の音楽的な嗜好も反映されているのだろうか。『グルグル』という作品自体にもダンスというか踊りは必要な要素なので、楽曲制作時の解釈のひとつとしては正道じゃないかな。
最終話で「Wind Climbing ~風にあそばれて~」(元は1994)のアレンジバージョンが流れたのも鳥肌でした。「晴れてハレルヤ」(1995)も含めて、奥井亜紀さんによるアニメ過去作の主題歌は超がつくほどの名曲ですよね。
☆ セントールの悩み
ピュアリーモンスターによるOP曲「教えてダーウィン」も結構お気に入り。歌詞もメロディも志倉節が炸裂しているなと感じますが、彼が手掛けているアイドルグループのナンバーの中では、嫌いじゃないギラギラ感を宿していると思います。
他のグループの楽曲も嫌いではないのですが、志倉さん作の楽曲の骨子に対する、最終的なアウトプットの圧が強過ぎる(声質やアレンジのせい?)気がするので、この観点で言えば「教えてダーウィン」はバランスが良いと感じたという意味です。砕けて言えば、わちゃわちゃした楽曲よりも、普通に格好良いトラックの方が志倉さんのワークスとしては好みだというだけの話。
バランスと言えば、この作品の妙に凝った世界設定やリアリティのある描写に対しても、好き嫌いが分かれそうだなと思いました。個人的には嫌いじゃなかったので観続けていましたが、気持ちの持って行き所がわからなくなる瞬間がある不思議な作品だという感想です。
☆ ボールルームへようこそ
この「2017年のアニソンを振り返る」シリーズですが、男性ボーカル分が圧倒的に不足しているので、UNISON SQUARE GARDENに少しでも補ってもらおうということでトリを任せます。笑 同バンドのソングライティングを担当している田淵さんに関しては、Part.3でQ-MHzの名前を出すことで間接的にはふれているんですけどね。
1stOP曲の「10% roll, 10% romance」も2ndOP曲の「Invisible Sensation」も良曲なのでどちらを代表させるか迷いましたが、ここでは疾走感が気持ち好い後者を推したいと思います。
ユニゾンの楽曲はメロディの輪郭を突き破ってしまう程の目まぐるしさこそが素敵だという認識ですが、そのせいか一回聴いただけでは旋律の妙が掴みにくいという側面がある気がします。その点「Invisible Sensation」はキャッチーなサビのインパクトが大きいため、初めて聴く人にもおすすめ出来るナンバーではないでしょうか。
僕にとっては『TIGER & BUNNY』のOP曲「オリオンをなぞる」(2011)のイメージが強かったバンドですが、『ボールルーム』関連の楽曲(小松未可子さんが歌う2つのED曲もQ-MHz作)でその印象がよりダンサブルなものに更新されました。『血界戦線』は観ていないので(観たい気持ちはある)、最も有名であろう「シュガーソングとビターステップ」(2015)にはアニメを伴った感想を持てずにいるんですよね。
● おわりに
以上、「2017年のアニソンを振り返る・Part.4/5【夏アニメ + CM編】」でした。例によって記事が埋め込み動画で重くてすみません。Part.5/5【秋アニメ編】へのリンクはこちらです。