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チキン番外編①
~第二章②~
トイレのドアが開いたので、俺とテルは揃ってその方を見た。
すると中からゆっくりと丸刈りで筋骨隆々の大男が出てきた。
作業ズボンに白のタンクトップ姿のその男は、胸から両腕にかけて入れ墨で埋め尽くされていた。
男はこちらをにらんでいる。
それもそうだ。
俺にドアを蹴られ、快適な大便タイムを邪魔されたのだから。
俺とテルはただならぬ雰囲気に目を見合わせた。
「逃げるしかねー」とお互いの目でサインを送ったが、それをさえぎるように男が話しかけてきた。
「お前、蹴った?」
何を勘違いしたのかテルを見ながら言ったのだった。
俺はチャンスだと思って、「こいつがやりました」と言わんばかりに無言でテルを指差した。
テルは「ちょ…お前!」と俺に食ってかかったが、男は言葉を続けた。
大きくため息をついて、「こっちは長距離で疲れてんだよ…からかってんの?」と言った。
どうやら長距離のトラック運転手のようだ。
「俺じゃないッス。こいつッス!」
テルは俺の腕を掴んで前に出した。
「お前か」
俺は首を振った。
すると男はまたテルを見て「じゃあお前だな」と言った。
テルは焦って否定した。
「俺もこいつにドアを蹴られたんスよ!まじッスよ!」
このままではいけないと思ったので、「俺もドアを蹴られたよ」と嘘をついた。
「じゃあ誰が蹴ったんだよ。面倒だからさ、お前ら、二人とも死んじゃおっか?」
男は低い声で淡々と俺たちを問い詰める。
テルは「どうにかしろ」という意味で俺を肘で小突いた。
どう考えても嘘は通じない状況で、俺のカンピューターも上手く回転しない。
「すいません…臭くてイライラして蹴っちゃいました」
とっさに出た言葉だったが、火に油を注ぐことになってしまった。
男は鼻で笑ったので、俺たちもぎこちなく笑った。
そして次の瞬間、男は思い切りテルを殴り飛ばした。
~つづく~
井口達也
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全てはここから始まった。小説チキンをよろしくだぜ!!
是非読んでくれい★