【夕顔335-3】古文常識「海人の子」
3学期は順調にスタートできましたか?
古語は、丸覚えするもの、漢字で覚えるもの、
イメージで覚えるものと、覚え分けしましょう。
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違うもの)
2.古典多義語(現代より幅広いもの)
3.古今同義語(現代と同じ意味のもの)
があります。
大学入試によく出るのは、今回のような【古典多義語】です♪
【今回の源氏物語】
「…まことに海人の子なりとも、さばかりに思ふを知らで、隔てたまひしかばなむ、つらかりし」とのたまへば、
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今回出てきた古文単語
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■【まことに】…本当に
■【海人(あま)】…漁師
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【子(こ)】…子ども
■【なり】…断定の助動詞「なり」の終止形
■【とも】…逆接仮定条件の接続助詞
■【さばかり】…あれほど
■【に】…状態を示す格助詞
■【思ふ】…ハ行四段動詞「思ふ」の連体形
■【を】…対象の格助詞
■【知ら】…ラ行四段動詞「知る」の未然形
■【で】…打消接続の接続助詞
■【隔て】…タ行下二段動詞「隔つ」の連用形
※【隔(へだ)つ】…隠しだてする
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」の連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(光源氏⇒夕顔)
■【しか】…過去の助動詞「き」の已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【なむ】…強意の係助詞
■【つらかり】…ク活用形容詞「つらし」の連用形
※【つらし】…つらいほど薄情だ
■【し】…過去の助動詞「き」の連体形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」の已然形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
◇ 今回は「ば」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「海人の子」 ☆
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「…まことに海人の子なりとも、さばかりに思ふを知らで、隔てたまひしかばなむ、つらかりし」とのたまへば、
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.夕顔が本当にいやしい身の上だったとしても
2.夕顔が本当に美しい人だったとしても
3.夕顔が本当に海の女神だったとしても
4.夕顔が果たして物の怪の子であろうとも
5.夕顔が果たして自分と兄姉だったとしても
国公二次や私大入試では、
このような古典常識の問題が問われることもあります。
【あま(海人・海士・蜑)】
【名詞】
①海で漁業や製塩に従事する人。漁夫
②(「海女」と書いて)海にもぐって貝類・海藻などを採る女
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「海人」とは漁師のことなので、
傍線部の逐語訳は、
「本当に(果たして)漁師の子だったとしても」
ということになります。
この訳出を念頭に置いて、
選択肢を検討していけばいいわけです。
ここで、古文常識☆
平安当時は、身分制社会でした。
したがって、「海人(漁師)の子」という
言葉にこめられた行間には、
低い身分であるという語感が
読み取れるのです。
「とも」は、逆接の仮定条件☆
たとえいやしい漁夫の子だったとしても、
たとえ夕顔が、どんな身の上だったとしても、
光源氏は、彼女のことを想う気持ちに
変わりはなかった、と言いたかったのです。
【解答】…1
「…まことに海人の子なりとも、さばかりに思ふを知らで、隔てたまひしかばなむ、つらかりし」とのたまへば、
● 過去記事リンク
■まことに
■ばかり
■たまふ
■つらし
■のたまふ
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