【帚木406-2】「隔つる関」☆「逢坂の関」 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【帚木406-2】「隔つる関」☆「逢坂の関」

源氏物語イラスト訳のあいですラブラブ


後期試験の論文対策に苦心されてる受験生のみなさん☆

ありきたりで小さく論点がまとまってしまわないためにも、

今回の出てきたような「引用法」も、

他人とちがった角度で論破する叙述の参考になります。

 

ではいってみましょ~~!
 

これまでのあらすじ

 

天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏

ただいま「2.帚木(ははきぎ)」の巻です。頭中将たちとの雨夜の品定め(=女性談義)の翌日、久しぶりに正妻葵の上のもとを訪れた光源氏でしたが、夕方には、方違えのために、紀伊守の邸宅に行きます。そこには、紀伊守の継母である空蝉がちょうど泊まっており、光源氏は彼女と一夜を共にして、悲しい別れの朝が来ました。


 

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今回の源氏物語

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内も外も人騒がしければ、引き立てて、別れたまふほど、心細く、隔つる闇と見えたり。


帚木406のイラスト訳はこちら

 

 

 

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大学入試新テスト 対応問題例

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内も外も人騒がしければ、引き立てて、別れたまふほど、心細く、隔つる闇と見えたり。
 

問題)傍線部は、当時の和歌をふまえて光源氏の心情を表したものである。次の1~5から、その説明として適切なものをすべて選べ。


1.「彦星に恋はまさりぬ天の川隔つる関を今はやめてよ(伊勢物語九五)」にもあるように、2人の間を分け隔てている天の川のような関所は、今となってはもうあってないようなものだと勢いづいている。

2.「彦星に恋はまさりぬ天の川隔つる関を今はやめてよ(伊勢物語九五)」の、織姫と彦星が、天の川という関所を隔てて逢えない辛さと、自分と空蝉との、逢うに逢われぬ隔たりとを重ね合わせている。

3.最愛の女性である藤壺宮が詠んだ、「九重に霧や隔つる雲の上の月をはるかに思ひやるかな(源氏物語・賢木)」を思い出して、聡明であった2人の女性どちらとも縁のなかったことを嘆き悲しんでいる。

4.「逢坂の名をば頼みてこしかども隔つる関のつらくもあるかな(新勅撰集恋2 読人しらず)」で見られる「逢坂の関」の切なさを念頭に置いた上で、空蝉との逢瀬の難しさ、つらさをこの歌語に託している。

5.「逢坂の名をば頼みてこしかども隔つる関のつらくもあるかな(新勅撰集恋2 読人しらず)」にちなんで、空蝉との隔たりの関は、「逢坂の関」という名であるから大丈夫だと、自分に言い聞かせている。
 

 

 

…なんか最近、

新テストの世界史問題例を見てから、

適切なものをすべて選べ」という出題形式にハマってます!
ヘ(゚∀゚*)ノ


 

すべて」と指示されたら、

いくつ正解があるか分からないので、

本当に力がないと、正答できません;;

(´□`。)



 

公立高校の入試問題では、

すべて選べ」という問題では、

完全解答の場合が多いですよね。



 

大学入試新テストでも、そうなったら…

(((゜д゜;)))


 

お、恐ろしい…


 

きちんと、今の間から、力をつけておかなくちゃ、ね♪

ヽ(゚◇゚ )ノ


 

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「隔つる関」とは 

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「隔つる」は、

タ行下二段活用動詞「隔つ」の連体形

今でいう、「隔てる」のことです!

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

 

隔つ(へだつ)
 (タ行下二段活用動詞)
 ① (間を)離す。(間を)仕切る。さえぎる。隔てる
 
② 別にする。区別する
 ③ (間に)時間を置く。間(ま)を置く
 
④ 疎んじる。疎み遠ざける
 

 


「関(せき)」というのは、

今でいうと、警察の検問をする所

みたいな…

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

関(せき)
 (名詞)
 物事をせきとめること。また、そのもの。隔て
 関所。国境や街道の要所に設け、通行人等を検査する所

 



光源氏は、空蝉と別れなさいます。

 

彼女が襖障子の向こうに消えてゆき…

その障子がぴしゃりと閉まります。

 


引き立てて

 

障子戸を隔てて…

もはや逢うこともかなわぬ2人の関係を

思うにつけ…

 


別れたまふ

 

「隔つる関」というフレーズが、

光源氏の頭にこだまします。

 

 

彦星に恋はまさり天の川隔つる関を今はやめてよ
(伊勢物語九五)

訳)わが恋は彦星よりまさっているのです。天の川のように、私たちの間に隔てている関所を、今は取り払ってしまってください
 

 

 

逢坂の名をば頼みしかども隔つる関つらくもあるかな
(新勅撰集恋2 読人しらず)

訳)「逢坂の関」という名を頼りにしてけれど、私たちの間を隔てている関所は、なんと冷たいものであるなぁ
 


 

解釈本には、

これらの歌が指摘されていますが、


 

後者の和歌にもあるように、

隔つる関」というフレーズは、


 

和歌の王道である「逢坂の関

も想起させるものです。

 

 

逢坂の関(あふさかのせき)
 (歌枕)
…「逢坂山」のふもとに置かれた関所。京都から東国への出口に当たる要所で、三関の一つ。和歌では多く「逢(あ)ふ」にかけて用いる。
 

 


百人一首にも、「逢坂の関」が出てくる和歌が2首あります。

 

 

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
 蝉丸(第10番)

夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ
 清少納言(第62番)

 

 


ともに、男女の間を隔てている関所のニュアンスが想起されます。

 

光源氏の、今回の嘆息も、




逢坂の関」という情感あふれるフレーズ☆


 

光源氏は、そういう言葉を使って、

空蝉との逢瀬を、思って

しんみりした気分に浸っているのです。

(ノ_-。)



 

課題文を読んでの小論文で、

ただ、課題文テーマと設問のみで論述していけば、

他の受験生と、何ら変わらない論点になってしまいます。

 

自分の持っているネタから引用して、

テーマの幅を広げてみましょう♪

そのためにも、

受験科目に要る要らないは別にして、

幅広い知識や教養を習得していく姿勢が、

受験生に求められるのです。

('-^*)/





 

正解は……2・4

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最後までお読みくださりありがとうございます。

少しでもお役に立てれば幸いです☆(o^-')b