有名大学における一般入試枠は相当程度残すべき | 2022中学受験(息子)と2027中学受験(姪) -A stitch in time saves nine-

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2022中学受験を終了した男子を持つ父のブログ
淡々と息子の学習(主にテスト)の記録をつけていたブログです。
息子は開成・筑駒をはじめ受験校全てに合格しました。
現在は2027年組の姪っこの中学受験アドバイザーです。

 

  推薦入試枠の増大

 

昨今、早慶をはじめ有名大学でも推薦入試枠が増大しています。

 

多様性のある人材を取りたい、という目的もあるでしょうが、現実としては少子化による受験生減少に対する学生の確保、さらには一般入試の偏差値維持という目的が大きいものと推察します。

 

私は推薦入試について完全に反対するものではありませんが、一般入試の枠は将来的にもある程度は維持して欲しいと思っています。

 

  推薦入試で要求されるもの

 

推薦入試ではどのようなものが要求されているのでしょうか。有名大学かつ、推薦入試の募集人員が多い慶應大学法学部をみてみましょう。

 

慶應大学法学部は、一般選抜が合計460名、FIT入試という自己推薦型選抜が合計160名、学校推薦が合計160名となっています。これに加え、附属高校からの進学者もかなりの数に上りますので、学部全体での一般選抜の割合は40%弱となります。

 

このうちの自己推薦型選抜のうち「A方式」(定員80名)で求められているものとして「次に例示するような優れた実績」が必要となります。

 

(以下募集要項から抜粋)

・日本語以外のさまざまな外国語の学習に熱心に取り組み、かつその成果を検定試験などで証明できる者。

・文化・芸術・技芸・運動等の分野において優れた成績や成果を残したことが証明できる者。

・学外活動や課外活動において高いリーダーシップを発揮し、そのことが何らかの形で証明できる者。

・国際交流や開発途上国援助などの活動に積極的に取り組み、その実績を示せる者。

・入試科目に限らない全般的な学業分野で極めて優秀な成績を収めたことを示せる者。

・その他の分野で、自己の関心や興味からユニークな実績をあげたことを証明できる者。

 

ちなみに「B方式」(定員80名)は、高校全期間の評定平均が4.0以上であることとされ、上記の「優れた実績」は明示的には要求されていません。

 

さて、この「A方式」で実際に評価されているのはどのようなものでしょうか?

 

かなり幅広いものが許容されています。

 

芸事関係は明確な実績が要求されるので、メジャーなコンクールや大会での受賞歴が必要ということです。スポーツ分野でも、全国大会出場レベルでないと難しいようです。これらは本人の才能も重要ですし、そのレベルまで到達しようとすれば費用も相当かかります。推薦入試狙いでこれらの分野の実績を積むというよりも、結果的に素晴らしい実績を上げることができたので、推薦入試に応募する、という場合が多いでしょう。個人的にはこれらの分野の業績が法学部での学業に何か関連性があるのか訝しんでしまいますが、まあいずれにせよ高く評価されるためにはずば抜けた才能が必要でしょう。

 

ではそのような才能がない者はどのようにこの「優秀な実績」をあげるのでしょうか?

 

AO入試対策予備校などのHPをみると、「海外留学」や「海外ボランティア」の活動実績は手堅い、というアドバイスをよくみます。そのうえで、何らかの英語の検定試験で高い英語力を証明できれば、有利になりそうです。

 

  富裕層有利ではないか?

 

しかし、他の受験生の経験と差をつけられるような海外留学や海外ボランティアというものは、万人が経験できるものではありません。

 

親の仕事の関係で海外在住の期間が長かったなどの事情がない限り、海外留学や海外ボランティアをしようとすると多額の費用がかかります。ごく平均的な家庭では、その費用を捻出するのは難しいかもしれません。

 

また、ユニークな体験、実績を積みあげるために、有力なコネクションがある方が有利になる場合があります。

 

もちろんペーパーテストであっても、塾に通ったりするのには費用がかかりますので、裕福な家庭の方がある程度は有利とも言えます。ただ、お金をかけずに試験勉強をする方法はいくらでもありますが、長期留学などの一定の体験はお金をかけずにはまずできません(ごく一部特待生みたいなものに選ばれれば可能ですが)。

 

推薦入試があまりに広がると、裕福でない家庭の受験生が極端に不利になってしまうように思います。

 

米国の大学は、ペーパーテスト一発ではなく、リーダーシップ、学校での活動、ボランティア体験など、様々な点を総合的に判断して合否が決まります。米国の大学の授業料は、日本に比べると非常に高額ですので、まずその時点で通わせられる家庭は限られます(但し、奨学金や学費ローンも充実していますが)。それに加え、有名大学に合格できるような業績をそろえるには、富裕でかつ多様なコネクションがある方が有利なわけです。これが米国社会における格差の固定化に寄与している面は否めないように思うのです。

 

  一般入試枠はある程度残すべき

 

まだ日本の大学は米国の大学ほど推薦入試一辺倒にはなっていませんが、この枠が今以上に拡大し続けると、米国のように格差の固定化につながらないか危惧します。

 

非常に優秀な才能を持っているのに、家庭に余裕がないがために有名大学に通えない、その結果世に出ることもできない、そんな社会となってしまうのは望ましくありません。

 

そのようなわけで、私は推薦入試を完全に否定するものではありませんが、ペーパーテスト一発で決まるシンプルな日本の一般入試は、将来的にも相当程度残すべきだと考えています。国公立、早慶、MARCHなどの人気のある有名大学については、特にそう思います。

 

 

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