子供のためと偽装した教育虐待
最近、本当に暗澹たる気持ちになるある発信をみました。目に触れたのはたまたまなのですが、目にした瞬間怒りが湧きました。私は自分で言うのもなんですが、冷静な人間です。それでもその内容は我慢できないものでした。
ちょっとその気持ちが収まらないので、本日連投ですが記事にしたいと思います。
その発信とは「自分の子供が競争から脱落した時に愛せるのか?」と疑問を投げかける内容です。発信者の真意は必ずしも定かではないですが、脱落したら子供を愛せない、という趣旨のように見えます。「自分自身はそのような考えでなく、単なる問題提起だ」という逃げを打てるような書き振りになっているのがまた嫌らしいです。まあいずれにせよ、そのような考えを持つ人はいるのだと思います。
もちろん、人がどのような考えを持つのかは自由です。賛同する方もいるのかもしれません。私は賛同者が少ないことを望みますが。少なくとも私はありえない考え方だと思っています。
親というのは子供に対して無条件の愛を与える存在であるべきです。そこには何の条件も留保もつけてはならないのです。
親が設定した目標を達成しなかったから愛せない、そんな条件付きの愛は、もはや愛と呼ぶことはできません。
「子供のためを思って厳しくしている」と言うのかもしれません。それに嘘はないのでしょう。タチが悪いことにそのような考え方の人は、本当にそう考えているのです。
しかし、それは本当に100%子供のためなのでしょうか?自分のためではないのでしょうか?
自分のために子供に学習を強い、脱落したら愛せないというやり方。それは「子供のためと偽装した教育虐待」です。子供を愛しているふりをして、自分のために利用しているだけです。
子供が挫折したら愛せない、とすると、その親から見捨てられた子供はどうすればいいのでしょうか?子供への精神的な悪影響は甚大でしょう。これを精神的な虐待と言わずして何と言えばいいのでしょう?
逃げることができればまだいいですが、年齢的にそれは難しいでしょう。親の愛を得るために親の言う通りの努力を強いられる、しかも往々にして自発的にやっているフリまでしなければならない、失敗は愛を失うことを意味する。普通に考えてそんな家庭には耐えられないと思いませんか?
この問題については、以下に紹介した本のブログ記事でも書いています。
【補足】死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威 | 2022中学受験終了 -A stitch in time saves nine- (ameblo.jp)
是非ご覧頂ければと思います。
中学受験保護者の陥りやすいマインド
中学受験は怖いです。この「子供のためと偽装した教育虐待」が非常に起きやすいのです。最初は心底子供のためと思って始めても、いつの間にか自分(保護者)のためのものになってしまうことがしばしばあります。子供のため、と保護者のため、は両立しうるのでまた厄介です。
「保護者のための中学受験」にならないようにするには、まずは極力周囲に中学受験の話をしないことです。
そして、自分が果たせなかった何かを子供に達成させよう、という考えを捨てます。また逆に、自分がこれを達成できたのだから、子供も当然これを達成できるはずだ、という考えも捨てます。保護者と子供は別の人間なのですから、当たり前のことなのです。
これで保護者がダークサイドに落ちることを多少なりとも予防することができるでしょう。
中学受験以外でも
もちろん、この「子供のためと偽装した教育虐待」の問題は中学受験だけではなく、大学受験、英語教育、資格取得などで親が教育に関わると常に問題になりえます。
ただ中学受験は一般的に保護者のかかわりが大きいため、特にこの問題が顕在化しやすいということができます。普通は中学入って以降、親が教育にコミットする機会は減りますからね。
ただ、中学入学後も子供の教育にコミットしまくる一般的ではない親の場合は、中学受験以降はこの「子供のためと偽装した教育虐待」がより酷くなるリスクが高くなります。
なにせ、思春期を迎え、自分の意思を持って親から離れていくべき時期の子供に対して、小学生の頃と同じような「指導」を行い、「恭順」を求めるわけです。通常であれば離れていこうとする時期の子供を、保護者のコントロール下に置くためには、より大きな力が必要になりますから。
このブログをご覧の保護者の皆様は、お子さんに無条件の愛を注いでらっしゃると思います。もちろん私なんかが心配するのはおこがましいと思いますが、念のため、上記のような言葉に惑わされないようにして頂ければと思います。
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中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
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