出雲国の八重垣めぐり㉓ ~熊野大社~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

出雲国一宮の
熊野大社(くまのたいしゃ)です。

 

おなじく、出雲国一宮の

出雲大社(いずもたいしゃ)とも

縁がふかいようです。

 

松並木の参道

どこか似ていますね。

 

「火」の発祥の神社
として

日本火出初之社
(ひのもとひでぞめのやしろ)

ともいわれるそうです。
 

 

また、

意宇六社(おうろくしゃ)
ひとつでもあります。
 

 

意宇(おう)群にある
出雲国造(いずもこくぞう)ゆかりの

6つの神社のことで、

 

熊野大社は
出雲国造の氏神
なのだそうです。
 

 

出雲国造は、もともと
熊野大社に奉斎していた
といいます。

しかし、奈良時代に
出雲国造の本家が

意宇(おう)から
杵築(きずき・出雲)
うつったところ、

熊野大社は寂れてゆき
出雲大社は栄えていった
のだそうです。

 

 

意宇川(いうがわ)の

上流にあたるここは、

 

洪水や戦火によって

古文書や宝物が失われ

 

くわしい歴史は

わからないといいます。

 

 

しかしながら、

「熊野大社」というように

 

島根の「出雲」と

和歌山の「熊野」をむすぶ

手がかりはいまでも

残されているようです。

 


 

いまでは、
熊野氏が奉斎している
といいます。

 


ご祭神は

伊邪那伎日真名子加夫呂伎熊野大神櫛御気野命

だそうです。



伊邪那伎日真名子
(いざなぎのひまなこ)

加夫呂伎
(かぶろぎ)

熊野大神
(くまのおおかみ)

櫛御気野命
(くしみけぬ)

という
神格があるようですね。

 



和歌山にある
熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)
ご祭神である

家都美御子大神(けつみみこ)
とおなじ神とされ、

ソサノヲ(素戔嗚尊)のこと
だといいます。

 

『クシミ「ケ」ヌ』

『「ケ」ツミミコ』

というように、

食(け)にかかわる神
饌(け)をそなえる神
のようですね。

 



ホツマツタヱによると
ソサノヲは熊野で生まれた
といいます。

そして、ソサノヲの

心が荒れてしまったのも

熊野で

母・イサナミを亡くした

ことによるようです。

 

 

出雲は、


荒れていたソサノヲが
稲田姫(いなだひめ)

結ばれて心を鎮め、

オロチを倒して
建国した地ですから

ここは、ソサノヲが
母・イサナミを弔うために
建てた宮かもしれません。

 



ソサノヲの長男である
五十猛命(いそたける)
和歌山にいたとされ、

家都美御子(けつみみこ)とは
五十猛命(いそたける)のこと
ともいうようです。

母・イサナミを弔うため
子・イソタケルに祀らせた

のかもしれませんね。



日本書紀によると、

ソサノヲは
五十猛命(いそたける)
大屋都姫(おおやつひめ)
都麻津姫(つまつひめ)
を産んだあと、

熊成峯(くまなしのみね)
にいたといいます。



熊野大社は、もともと
4キロ南東にある

天狗山(てんぐやま)
にあったようです。

 


山頂ちかくには
元宮平(げんぐがなり)
という平地があり、

 

熊野大社の

元宮や斎場があった

といいます。


ソサノヲが降臨したという
磐座まであるようです。

 

ですから、
天宮山(てんぐうやま)
元宮ヶ成(げんぐうがなり)

熊野山(くまのやま)
ともいうようですね。

 

意宇(おう)郡をながれる
意宇川(いうがわ)の源流も
天狗山だといいます。

 



ソサノヲと稲田姫が

暮らした宮は

須我(すが)神社と
いわれますが、

熊野大社や天狗山は
須我神社とも近いようです。

もしかすると、ここが
クシイナタ宮だった

のでしょうか?

 


須我神社から
天狗山をながめれば、

三重の兄・

伊雑宮(いざわのみや)


兵庫の姉・

甲山(かぶとやま)
遥拝できるようですね。

 



また、
須我神社の奥宮である

須佐之男命御磐座から
天狗山をながめれば、

淡路島の父・
イサナギの墓所

三重の母・
イサナミの墓所
遥拝できるようです。

 

「クシイナタ」が

「奇し靈」に「懐」いた

とするのなら、

 

「天」の「狗(いぬ)」となった

ことから、

 

天狗山になった

のかもしれませんね。

 


本殿の右隣には
稲田(いなた)神社があり、

 

ソサノヲの后・
櫛名田比売命(くしなだひめ)
が祀られていました。

 



稲田姫の
父・足名椎命(あしなづち)
母・手名椎命(てなづち)も
祀られるようです。

 



本殿の左隣には
伊邪那美(いざなみ)神社があり

 

ソサノヲの母・
伊邪那美命(いさなみ)
が祀られていました。

 



本殿の両隣に

母と妻を祀るというのは、

ソサノヲは
女性を大切にするかた
だったのかもしれませんね。



左右の社には
近隣の社もたくさん
合祀されているようです。


珍しい神名もあり
とても興味深いのですが、

なかでも
伊邪那美神社には

爾保津姫命(にほつひめ)

祀られているようです。

ソサノヲの姉・
ワカヒメのことでしょうか。

 

 

境内には
荒神(こうじん)

祀られていました。

 



荒神・水神・氏神を
合わせ祀っているようで、

ソサノヲのほかに
高龗(たかおかみ)
闇龗(くらおかみ)
闇罔象(くらみつは)
が祀られているといいます。

くらみつは、は
はじめてみました。

 

 

石の祠は

近隣の社だったもの

でしょうか?

 

牛のご神像も

気になるところです。

 


荒神社のとなりには
稲荷神社もありました。

 

 

倉稲魂神(うかのみたま)

が祀られるようですが、


豊穣の神でもあり
食(け)にも通じそうです。


ここには、
ご神水も沸いていました。

 



熊野大社の
背後にそびえる山は


蛇山(へびやま)
というようですね。

ここもまた、出雲の
龍蛇(りゅうじゃ)信仰
あるのでしょうか?

 

こちらは、

鑚火殿(さんかでん)

というそうです。

熊野大社には
鑽火祭(さんかさい)

という神事があり、

熊野大社にある
燧杵(ひきりぎね)と
燧臼(ひきりうす)を、

出雲大社が
借りうけるといいます。

 


 

燧(ひきり)とは

木の棒と木の板で
火をきりだすことだそうです。

こうしてつけた火は

神聖な火(忌火・別火)

とされて、

神にささげる
食事を作ったりするようです。

 

クシミケヌ(ソサノヲ)が

火をきりだす方法を、

 

出雲国造の祖神・

天穂日命(ほひ)に

伝えたことから、

 

日本火出初社

(ひのもとでぞめのやしろ)

というようですね。

 



熊野大社が
燧(ひきり)を渡すとき

出雲大社からは
餅が奉納されるといいます。


熊野大社の下級神官・

亀太夫(かめだゆう)は、

 

この餅について

色が悪い、小さい、形が悪い

などなど苦言をいうそうです。

 

これを
亀太夫神事(かめだゆうしんじ)
というようです。

 



熊野大社から
出雲大社へうつった
出雲国造家たちに、

熊野大社がうえだと

知らしめているといいます。

 


熊野大社の

燧(ひきり)の火は、

 

出雲大社の

古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)で

つかわれるほか、


出雲国造の世代交代である
火継式(ひつぎしき)にも

つかわれるそうです。

 

「火(ひ)」は

「霊(ひ)」にもつうじる

重要なものだといいます。

 

出雲国造は、ここで

ソサノヲにかわって

 

イサナミを祀っていた

のでしょうか?

 


熊野大社から
500メートルほど南に
意宇川をさかのぼると


「上の宮」の跡地

があります。

 

 

熊野大社の
伊邪那美神社はもともと

ここに祀られていたようです。



いまでは石碑が
旧地をしのんでいるようです。

 

 

左には
事解男(ことさかお)神社です。

 

 

伊邪那美(いざなみ)神社は

上の宮の主祭神でしょう。

 

 

速玉(はやたま)神社

だそうです。

 

イサナミの左右を

イサナミの仲人である

 

事解男(ことときお)と

速玉男(はやたまお)が

守っているようですね。


熊野を治めた大臣
でもあったようです。

 

 

五所(ごしょ)神社は、熊野の

五所王子のことでしょうか?

 

天照大神(あまてらす)

天忍穂耳命(おしほみみ)

瓊々杵尊(ににきね)

彦火々出見尊(ほおでみ・山幸彦)

鸕鶿草葺不合命(うがやふきあわせず)

 

という、

天皇家につながる

直系の方々ですね。

 

天照大神と、

子・孫・曾孫・玄孫です。

 

 

八所(はっしょ)社は、

 

イサナギ・イサナミの

先代である

 

国狭槌尊(くにさつち)

豊斟渟尊(とよくんぬ)

泥土煮尊(うびちに)
沙土煮尊(すひぢ)

大戸之道尊(おおとのち)
大苫辺尊(おおとまえ)

面足尊(おもたる)
惶根尊(かしこね)

 

でしょうか?

 


こちらは
熊野信仰がつよく
残っているようですね。



上の宮の神体山は
御笠山(みかさやま)
というそうです。

ここにもまた、頂上に
巨大磐座があるといいます。

 

 

時間の都合もあって

登拝はしませんでしたが、


ふもとからすでに
魅惑的な山肌です。

 

ここには、

久米(くめ)神社跡があり

 

明見水(みょうけんすい)が

いただけるようです。



眼病に効く
といいますが、

眼をすすぐ勇気は
ありませんでした。



また、妊婦が明見水をのむと
母乳がみち足りるともいうようです。



山頂からは、
元宮である天狗山が
遥拝できるといいます。

なんという
素晴らしい場所でしょう。

 

いずれ、

御笠山も天狗山も

のぼってみたいです爆  笑キラキラ

 

 

出雲国の八重垣めぐり㉔ へ つづく

 

 

 

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