出雲建国の父・
ソサノヲ(素戔嗚尊)について
ホツマツタヱから
みています。
熊野(くまの)に生まれた
ソサノヲは、
父・イサナギから
治めよういわれたものの
ひとり立ちできずに
悩んでいた、といいます。
↓↓↓
ハヤスフヒメとの
縁談はたち消えとなり、
心をゆるした
引きはがされて、
荒れたソサノヲは
クーデター未遂を
おかしてしまいます。
しかし、裁かれて
流離(さすらい)の身に
おとされたのが、
前回までのあらすじです。
↓↓↓
ソサノヲが、各地を
放浪しているあいだにも
サホコチタル国(山陰地方)は
さらに荒れていったようです。
シラヒト・コクミ
モチコ・ハヤコ
アメオシヒとつづく
不穏な影は、ついに
「ハタレ(反乱軍)」を
生んだといいます。
『
はたれとは
あめにもおらず
かみならず
ひとのねちけの
ときすぐれ
こりゑてむつの
はたれなる
』
ハタレとは
天(朝廷)にしたがわず
地方の統治者(守・かみ)に
なるわけでもない
無法者のことで、
ひとの心がねじけ
するどくとがり
負の感情が
凝り固まった輩が
6つのハタレとして
蜂起したのだそうです。
『
むつのはたれは
やまたあり
ここちつかさに
ななはかり
むれあつまりて
』
6つのハタレには
8人の頭目がいたといいます。
9千人の将(つかさ)に
70万人もの兵が
群れ集まっていたようですね。
これら6つのハタレが
朝廷(伊雑宮)めがけて
攻めてきたというのです。
天照大神は、
諸臣と力をあわせて
6ハタレを討ち破った
といいます。
この活劇も
ホツマツタヱならではの
興味深い話ばかりなのですが、
それはまたいずれ
じっくり向き合います。
気になるのは、
ハルナハハミチ(榛名大神)
というハタレが捕まったとき
こんな証言をしたといいます。
『
ねのますひとか
をしえけり
いさおしならは
くにつかみ
これそさのをの
みことなり
』
「
根国の長官・
アメオシヒ(天忍日命)が
教えてくれたのです。
動乱が成功したなら
国をつかんだ褒美として
国の守(かみ)してやる、と
ソサノヲ尊が宣言していた
と。
」
もちろん、
ソサノヲは放浪中であり
証言は「嘘」なのですが、
ハタレ(反乱軍)にとって
ソサノヲの名には影響力があった
ソサノヲはというと
『
あらかねの
つちにおちたる
さすらをの
あめのおそれの
みのかさも
ぬがでやすまん
やともなく
』
未精錬の世界におちた
流離男・ソサノヲは
雨(あめ)をよける蓑笠を
脱いで休む宿もなく、
天下(あめ)をおそれた
心の瘡(かさ・きず)を
癒す間もなく、
『
ちにさまよひて
とかめやる
すりやわことに
たとりきて
ついにねのくに
さほこなる
』
地をさまよい
ひとから咎められる
スリや、やましいことを
おかしながら
ついに根国の
サホコチタル国に
たどりついたようです。
『
ゆけのそしもり
つるめそが
やどにつぐむや
しむのむし
』
弓作りをしながら
辺境の地を守る下民の
宿をかしたところ、
ソサノヲの
心(しむ)を蝕(むし)ばむ
血(しむ)の騒ぎ(むし・虫)は
ようやくおさまったといいます。
弓削(ゆげ)のツルメソと
なにがあったのかはどこにも
書かれていませんが、
ソサノヲが鎮まるほどの
劇的な出会いだったのでしょう。
このおふたりの関係が
とてもとても気になります!
ここから、ソサノヲは
悪(闇・が)から善(光・か)へ
かわったようです。
ツルメソとの出会いで
心をしずめたソサノヲは、
サタの村にいた
イナタヒメ(稲田姫命)を
見初めたといいます。
聞けば、
父・アシナツチは
アカツチの弟であり
ソサノヲがかつて求婚した
ハヤスフヒメとは
従妹にあたるかたでした。
しかし、
斐伊川(ひいかわ)を縄張りとする
イナタヒメは、生贄(花嫁)として
捧げられるところだったようです。
『
ひめおえんやと
いやといに
みなはたれぞと
うらとえは
あめのおととと
あらはれて
』
「
姫をいただけないでしょうか?
」
という、ソサノヲ尊の
礼儀正しい言葉つかいに
イナタヒメのご両親は、
「
あなたはどなた様ですか?
そのお姿はハタレ(無法者)では
ないのですか?
」
と真意をうかがったところ
「
わたしは、天照大神の弟・
ソサノヲです
」
と名をあかしたといいます。
こうして、
『
ちぎりおむすぶ
いなたひめ
』
ソサノヲは
イナタヒメと婚姻をむすぶと
たったひとりで
ヤマタノオロチ(軍)を討つための
策をめぐらせたといいます。
ヤマタノオロチとは
でもあったようです。
『
ひめはゆけやに
かくしいれ
すさはやすみの
ひめすがた
』
ソサノヲはイナタヒメを
ツルメソの弓削屋(ゆげや)に
かくしいれると、
柔和な姫のすがたに
変装したといいます。
『
ゆづのつげくし
つらにさし
やまのさすきに
やしほりの
さけおかもして
まちたまふ
』
頭には「ツゲ櫛」を
前髪にさすと
山の谷あいに
「八絞りの酒」をかもして
待ったといいます。
「ツゲ櫛」も「酒」も
呪具として使われている
ようですね。
天照大神も
ハタレ討伐にはこうした
呪具を使ったといいます。
『
ねむるおろちお
づだにきる
ははがをさきに
つるぎあり
ははむらくもの
なにしあふ
』
ヤマタノオロチを
酒で眠らせたところを
ソサノヲはずたずたに
たたき斬ったといいます。
こうして、ソサノヲは
ハハムラクモの剣を
手に入れたようですが、
これは、
斐伊川でおこなわれていた
「たたら製鉄」にも関係があるといいます。
『
いなたひめして
おおやひこ
うめはそさのを
』
こうして、結ばれた
ソサノヲとイナタヒメは
長男・
を産んだといいます。
イナタヒメの
村長(あれおさ)だったらしく、
ソサノヲに娘の命を
救ってもらった恩もあり、
条件をつけられることもなく
暮らしたのではないでしょうか?
『
うめはそさのを
やすかわに
ゆきてちかひの
をのこうむ
あかつといえは
』
長男が生まれると
ソサノヲはすぐ
姉・ワカヒメ(ヒルコ)がいる
野洲の宮に行ったようです。
そこで、
「
男の子が生まれました!
わたしの勝ちです!
」
と叫んだといいます。
しかし、これは
『
』
と、姉から
またしても、弟を
追い返さなければならなかった
姉・ワカヒメの心情とは
どんなものだったのでしょう?
ソサノヲは
すっかり恥じ入ると、
サホコチタルに帰ってきて
隠れ住んだといいます。
「交わり去る」下民の身では
宮を持つこともできず
人と関わることもできず、
オロチの残党や追手から
隠れて暮らすしかなかった
のでしょう。
姉に許されれば
罪も軽くなり、
オロチにおびえて暮らす
生活から抜けだせるかもしれない
という期待もあったのでしょうが、
しかし、
そうした心の甘えが、いまの
現状をつくりだしているということにも
気づいたのかもしれません。
おそらく、ここで
ソサノヲはこれからもずっと
サホコチタル国で暮らしていくぞと
腹をくくったのでしょう。
細々と暮らしながらも
ソサノヲとイナタヒメは
長女・
オオヤヒメ(大屋津姫神)
次女・
ツマツヒメ(抓津姫神)
おおくのひとびとを
苦しめたソサノヲの罪は
消えることはありません。
しかし、そんな
ソサノヲが守(かみ)として
ふたたび世にあらわれるのは
どうやら、
「和歌」のもつ不思議なちから
によるようです。
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出雲国の八重垣めぐり② ~出雲大社 参道~
出雲国の八重垣めぐり③ ~出雲大社 本殿~
出雲国の八重垣めぐり④ ~千家家と北島家~
出雲国の八重垣めぐり⑤ ~八雲の瀧~
出雲国の八重垣めぐり⑥ ~三歳社~
出雲国の八重垣めぐり⑦ ~稲佐の浜~
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