出雲国の八重垣めぐり⑩ ~神在祭~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

弁天島(べんてんじま)
100メートルほど東に

下宮(しものみや)
があります。



こちらは、
出雲大社(いづもおほやしろ)
末社で

皇祖・
天照大神(あまてらす)
祀るといいます。

社殿のうしろには
岩がみえています。



素鵞(そが)社
因佐(いなさ)神社

社殿のうしろには
岩がありましたから、

出雲
磐座(いわくら)信仰が

強いようですね。

 



下宮の
50メートル東には

上宮(かみのみや)
があります。

出雲を建国した
素戔嗚尊(そさのを)

八百万(やおよろず)の神々を
祀るといいます。



旧暦10月の
『神在祭(かみありさい)』では

上宮が
神議り(かみはかり)』の
会場になるといいます。



出雲の信仰では、

旧暦10月になると
日本中の神々が
出雲にやってきて

ひとびとの

「縁」について話し合う

といわれているようです。

 

これを

「神集い(かみつどい)」や

「神議り(かみはかり)」と

いうようです。

また、10月のことを
「神無月(かんなづき)」
というのは、

神さまはみな
出雲に出かけるからであり、

出雲では逆に
神々が集まることから


「神在月(かみありつき)」
というそうです。



出雲大社には
旧暦10月10日から
旧暦10月17日まで
滞在するといいます。

 

このあいだにおこなわれる

お祭りの総称を

「神在祭」というそうです。


いまでは、

11月のなかごろ

のようですね。

稲佐の浜(いなさのはま)
についた神々は、

神迎え(かみむかえ)
によって迎えられると

海蛇神(りゅうじゃじん)
にみちびかれて、

神迎えの道をとおり
出雲大社にやってくる

といいます。

 



神々は、

本殿瑞垣前の
東西にそれぞれある


十九社(じゅうくしゃ)
宿泊するそうです。




滞在期間中は、

昼は
上宮で神議りをして

夜は
十九社に帰ってくる
といいます。

ですから、
神在祭のあいだ

十九社のとびらは
開いているそうです。

また、本殿では
「縁結大祭(えんむすびたいさい)」

 

神楽殿(かぐらでん)では
「夜神楽祈祷(よかぐらきとう)」も
おこなわれるといいますから、

出雲は
おおくのひとびとで
にぎわうようですね。



とはいうものの、

神在祭は
厳粛なお祭りで

御忌祭(おいみまつり)
ともいうようです。

神議りの
邪魔にならないよう、

大社町ではとにかく
静かにしなければならない
といいます。

工事は中止され
結婚式もあげず
演奏などもひかえる
のだそうです。

 



そうして、


旧暦10月17日に
神等去出祭(からさでさい)
がおこなわれると

「お立~ち~」
の声とともに、

神々は
次の目的地である

松江市の
佐太(さた)神社へ
向かわれるといいます。

 

ですから、こんどは

佐太神社で神在祭が

おこなわれるようです。

 



出雲ではほかにも

おおくの神社で神在祭が

おこなわれるといいます。

 

なかでも、

旧暦10月1日から

旧暦10月10日は

朝山(あさやま)神社、

 

旧暦10月10日から

旧暦10月17日は

出雲大社、

 

旧暦10月18日から

旧暦10月25日は

佐太神社をめぐり

旧暦10月26日に

万九千(まんくせん)神社から

神々は出雲を去る

といわれているようです。


帰る順番もあるらしく
30日ごろまで
かかるといいます。


ですから、およそ

1か月のあいだ神々は

出雲に滞在するようですね。




おそらく、
上宮(かみのみや)は

神々がつどう
神宮(かみのみや)
にもかかっているのでしょう。

もとは
仮宮(かりのみや)
といわれていたらしく

いまでも、地名は
「仮之宮」だといいます。



おもしろいのは、

神々が出雲にいるあいだ
各地にのこって
ひとびとを守る神を

『留守神(るすがみ)』
というそうです。

地域によって
いろいろあるようですが
基本的には、

えびす神
こんぴら神
竈(かまど)神
道祖神(どうそじん)

などが
留守神といわれるようです。

えびす、といえば
大国主命(おおくにぬし)の子・
事代主命(ことしろぬし)
でも知られています。

父のもとに
神々が集まっているあいだ

子が留守をあずかる
というのも興味深いですね。



また、
出雲に参篭できない神
として


伊勢(いせ)の神
諏訪(すわ)の神
知られているようです。



さてさて、
とはいうものの。


旧暦10月には
神々が出雲に集まる


というのは、

平安時代に
出雲信仰をひろめた

「御師(おし)」による
通説・俗説であって、

神話には
そういった記述がない

といいます。

当時は、ひとびとに
信仰をひろめるための

各地の神社や仏閣には
教えをひろめるひとびと

がいたようです。

伊勢神宮
御師(おんし)

熊野三山
熊野比丘尼(くまのびくに)

高野山(こうやさん)
高野聖(こうやひじり)

などが

それにあたるようですね。

出雲大社では
御師(おし)というそうです。



「神無月」は
「神さまがいない月」
ではなく、

収穫期にもあたり
「祭事がすくない」こと
からきているといいます。

また、
酒を醸す月
醸成月(かもなしづき)

雷のおさまる月
雷無月(かんなづき)

新嘗(にいなめ)祭の準備月
神嘗月(かんなめづき)

なども
由来になっているようです。

日が短くなって

日神(天照大神)の力が

弱まるようにみえるというのも

あるようですね。



出雲の祭はもともと

海蛇神を祀るものだった
ともいわれようです。

旧暦10月になると
龍蛇神として祀られる
セグロウミヘビが浜につく

ということも
関係しているといいます。

 



さらには、


出雲を建国したとされる
素戔嗚尊(そさのを)の
母・イサナミ

比婆山(ひばやま)で
亡くなったと
古事記にあるのですが、

出雲ではそれも
10月だったというようです。

島根県安来市には
比婆山久米(ひばやまくめ)神社があり

イサナミの墓所
されているようです。

神々の母ともいえる
イサナミを弔うため、

10月になると
神々があつまってくる
ともいわれたようですね。

ですから、
まったくいわれのないこと
でもないようです。

 

ぼくとしては、
ホツマツタヱにのこる
モチコハヤコ姉妹
関わるのでは?とも思っています。



上宮の
50メートル南東には

大歳社(おおとしのやしろ)
があり、

素戔嗚尊(そさのを)の子・
大歳神(おおとし)を祀るといいます。

こちらは
豊穣の神とされれるようですね。

社殿のまえの囲いは

旧鎮座地のようです。



オオトシの子が
竈(かまど)神の
オキツヒコですから、

留守神につながる

のかもしれません。

 

大社町には

竈神や道祖神を祀る

荒神社がおおいようです。

また、これを
歳徳神(としとくじん・としのりかみ)
とすれば

素戔嗚尊(そさのを)の姉・
ワカ姫ヒルコにもつながり、

蛭子(ひるこ)=えびす

ですから、こちらも
留守神につながるのでしょうか?

 



出雲大社には
『潮汲み神事』があり

大社町のひとびとは
毎月1日なると

稲佐の浜の潮をくんで
出雲大社へ参拝する
といいます。

神迎えの道にある
越峠荒(こえどこう)神社
からはじまり、

稲佐の浜で
海水をくみあげてから、

因佐神社
下の宮
上の宮
大歳社
都稲荷社をめぐって
 

出雲大社へ参拝する
のだそうです。



そうして、
自宅に持ち帰り

各部屋や神棚・仏壇、
家族に水をまいて


お清めするといいます。



大社町の軒先には、よく

お花が生けられた
竹筒がさがっているといいますが、

その竹筒は、月はじめの
潮汲み神事でつかうもの
だそうです。

 

 

出雲国の八重垣めぐり⑪ へ つづく

 

 

 

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出雲国の八重垣めぐり② ~出雲大社 参道~
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