紀伊国の熊野めぐり⑪ ~熊野三山~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

熊野本宮大社
(くまのほんぐうたいしゃ)、

熊野那智大社
(くまのなちたいしゃ)、

熊野速玉大社
(くまのはやたまたいしゃ)を

あわせて
熊野三山(くまのさんざん)
というのだそうです。

 



寺院のように
山号でよばれるのは、

ここが
神仏習合の色濃い地
だからだといいます。

 

 

熊野三山では
熊野権現(くまのごんげん)
を祀るといいますが、


なかでも
主祭神である

熊野本宮大社の
家津美御子大神(けつみみこ)

熊野那智大社の
熊野牟須美大神(くまのふすみ)

熊野速玉大社の
熊野速玉大神(はやたま)は、

熊野三所権現
(くまのさんしょごんげん)
ともいわれ、

たがいに
勧請しあっている
といいます。
 


また、
仏や菩薩が、日本では
神の姿であらわれるという


本地垂迹(ほんちすいじゃく)
の思想によって

 



熊野本宮大社は

阿弥陀如来
(あみだにょらい)の
西方極楽浄土
(さいほうごくらくじょうど)、



熊野那智大社は

千手観音菩薩
(せんじゅかんのんぼさつ)の
南方補陀落浄土
(なんぽうふだらくじょうど)、



熊野速玉大社は

薬師如来
(やくしょにょらい)の
東方浄瑠璃浄土
(とうほうじょうるりじょうど)とされ、

 



本宮大社は
来世を

那智大社は
現世を

速玉大社は
過去世を

救済すると
いわれたよです。



とくに
平安時代には
終末思想もひろがり

多くのひとびとが
浄土を求めたといいます。

 

土地の神話に、


山岳信仰の
修験道(しゅげんどう)や

大陸から流れてきた
仏教や道教が

まじりあってうまれた
熊野の信仰は、

 



老若男女も
身分の貴賤も
難病・奇病も

あらゆるものを
問わず

あらゆるものを
受け入れたといいます。



この地へくれば
身の汚れも
心の障りも
すべてがすすがれる、

過去・現在・未来の
魂のすべてが
清浄となる、

 

この地で

儀式的に死を経験し

祓い清められて

ふたたびよみがる、

こうした考えが
ひとびとの心を
惹きつけたようです。

 



またその影には、

絵解(えとき)をして
日本各地に熊野を
広報したまわったという

熊野比丘尼(くまのびくに)
という尼僧の存在も
大きかったようです。

彼女らは、
ときには歌い
ときには春をひさいで

心身ともに、ひとびとを
魅了したといいます。



ではなぜ、熊野が
救済の地になりえたのか
というと、

この地が
自然の豊かな地であったから
といえるのかもしれません。

 



熊野三山はいずれも
自然信仰から
生まれたといいます。

熊野本宮大社の元宮である
大斎原(おおゆのはら)
巨大な中州だったといいます。



熊野那智大社は
那智の滝(なちのたき)
ご神体だったようです。



熊野速玉大社は
神倉山のゴトビキ岩
ご神体だったといいます。

 


つまり、

熊野本宮大社では
川や島を

熊野那智大社では
滝を

熊野速玉大社では
磐を

祀っていたというのです。




そしてこれは
さらにさかのぼること
1500万年前、

熊野カルデラ
つくりだした

超巨大噴火に
よるといいます。

 



紀伊半島の

東側をふき飛ばした
この噴火は、


全世界に大量絶滅を

もたらすほどのものであり、

地球史上

最大規模のもの
だったといいます。

このとき
噴出したマグマが
冷えて固まって、

摩訶不思議な
地形や岩を
生みだしたといいます。
 



これらがのちに
聖地や霊蹟として
祀られたのが

現在の信仰の
はじまりだというのです。

 



地下から湧いた
マグマは、

地球そのものの
血液や体液であり

生命力のかたまりとも
いえるのかもしれません。

ですから、マグマの
冷え固まった岩石は

ちいさな地球である
ともいえるのかもしれません。

 



熊野はそんな
地球の息吹が
沁みた大地であり、

山々すべてが
霊地とされている
のかもしれません。

自然のもつ
絶大な浄化力を

パワースポットとして
活用したのが
熊野という地なのでしょう。

 

そして同時に、この地が

黄泉の国へと通じる

よみがえりの地とされるのも、

 

火山活動によって

おおくの生命が

息絶えたということに

よるのかもしれません。

 



しかし、
これだけではまだ
十分ではないようです。

というのも、
この地にはどうやら
隠れ里的な要素もあり

さまざまな秘密が
隠されているようなのです。

むしろ、ひとびとは

その秘密によって

熊野を求めた

ともいえるようなのです。



『蟻の熊野詣で』
といわれるほど
にぎわったという

熊野の秘密を

もうすこし
探っていこうと思います。

 

 

紀伊国の熊野めぐり⑫ へ つづく

 

 

↓よければクリック

↓お願いします。


神社・お寺巡りランキング

 

 

☆熊野めぐり全記事リスト☆

紀伊国の熊野めぐり① ~玉置神社~
紀伊国の熊野めぐり② ~クマノ・神代~
紀伊国の熊野めぐり③ ~クマノ・人代~
紀伊国の熊野めぐり④ ~熊野本宮大社~
紀伊国の熊野めぐり⑤ ~大斎原~
紀伊国の熊野めぐり⑥ ~熊野那智大社~
紀伊国の熊野めぐり⑦ ~青岸渡寺~
紀伊国の熊野めぐり⑧ ~那智の滝~
紀伊国の熊野めぐり⑨ ~熊野速玉大社~
紀伊国の熊野めぐり⑩ ~花の窟神社~
紀伊国の熊野めぐり⑪ ~熊野三山~
紀伊国の熊野めぐり⑫ ~カグツチ~