出雲国の八重垣めぐり㊱ ~万九千神社~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

神在祭(かみありさい)
神々がさいごに立ちよるという

万九千(まんくせん)神社です。

 



ただしくは、
万九千社(まくせのやしろ)
というそうです。

出雲では、旧暦10月を
「神有月(かみありづき)」

といい

日本中の

神さまが出雲に集まると

いわれているようです。

この神々をもてなすのが
神在祭(かみありさい)
だそうです。

出雲に集まった神々は
神議(かみはかり)

をおこない、

ひとびとの縁について
取り決めるといいます。



神在祭では、

神々を迎える神事を
神迎祭(かみむかえさい)

神々を見送る神事を
「神等去出祭(からさでさい)」
というそうです。

旧暦10月には出雲各地で

神在祭がおこなわれるのですが、


万九千神社はさいごに

神々が旅立つ社といわれ

 

「からさでさん」

ともいわれるようです。

 



万九千神社では、

旧暦10月17日に
龍神祭(神迎え)があり

旧暦10月26日に
神等去出祭があるといいます。

 

龍神祭というのは

龍蛇(りゅうじゃ)信仰

よるのでしょう。

 

出雲では、

浜にあがったセグロウミヘビを

龍蛇神(りゅうじゃじん)として

神迎えの先導にするのだそうです。

 


また、神等去出祭では
「お立ち~お立ち~お立ち~」
と唱えられるといいます。

神々が旅立つことから

地名も


「神立(かんだち)」
というようですね。

 



ご神紋は、

万九千神社にちなんで

「万」、、、ではなく、


「一」のしたに

「力」とかかれていて
 

「いちりき」
というのだそうです。

 

いったいなぜでしょう爆  笑キラキラ

 



ご祭神は、

櫛御気奴命(くしみけぬ)
大穴牟遅命(おほなむち)
少彦名命(すくなひこな)
八百萬神(やおよろずのかみ)

だそうです。

櫛御気奴命は
熊野(くまの)の神であり
ソサノヲのことだといいます。

大穴牟遅命は
出雲大社の大国主命
ソサノヲの子ですね。

少彦名命は
大穴牟遅命とともに
国作りをしたかたです。

八百萬神は
旧暦10月にあつまる神々
のことでしょう。

 



かつては、ここを
「神戸(かんど)」郷といい

熊野(くまの)大社
杵築大社(出雲大社)
社領だったといいます。

出雲平野にあったという
神門水海(かんどのみずうみ)
にもちかく、

斐伊川(ひいがわ)と
宍道湖(しんじこ)

はさまれたここは、


交通・交易の要衝

だったようです。

 



さらに、
出雲のカンナビ山である
仏教山(ぶっきょうざん)もちかく

 

かつては、
仏教山のふもとで火を焚いて
神々を送っていたともいうようです。

 

万九千神社に

本殿がないのはこのため

かもしれません。

いまでは、拝殿のうしろに

磐境(いわさか)があり
ここから神々を送るそうです。



ただし、この磐座も
水害などによってたびたび
代替わりしているといいます。

磐座を信仰するのではなく
ひとびとの思いの象徴として
磐がある、のでしょうか。

 


また、ここには
「万九千の森」という
豊かな森があったといいます。

土地もすこし高くなっていて

水辺の祭場でもあったようです。

 

ですから、
「不動の霊地」

ともいわれるようですね。

 



とはいうものの、
万九千神社は摂社であり

本社は、となりにある
立虫(たちむし)神社
だといいます。

鳥居の正面には
立虫神社があり

万九千神社は
立虫神社の東に西面して

鎮座しているようです。

 



もともと、この地は
万九千神社の境内

だったといいます。

 

そこへ、

立虫神社が遷座してきた

ようですね。

 

さらに、

立虫神社に産土神の
客(きゃく)神社が合祀され、

 

立虫神社がこの地の

氏神・鎮守とされたため

本社になったようです。




立虫神社は、もともと
仏教山の西の中州にあった

といいます。

 

しかし、

洪水によって遷座すると

神立橋のあたりの中州に

祀られたといいます。

 

この地に遷ったのは

江戸時代のはじめごろ

のようですね。

 

一説によると、立虫神社には
ソサノヲの毛髪が納められていた

ともいうようです。

だからこそ、
髪断(かんだち・神立)
なのでしょうか。



ご祭神は、

五十猛命(いたける)
大屋津姫命(おおやつひめ)
抓津姫命(つまつひめ)

だといいます。

ソサノヲの子たちですね。

紀伊国一宮の
伊太祁曾(いたきそ)神社
祀られています。

なかでも、

五十猛命はソサノヲとともに
朝鮮半島をまわって

植物の種を持ち帰った
といいます。

 



そのため

「有功(いさおし)の神」

ともいうそうです。


それは、父・

ソサノヲがかつて


いさおしならは
あめがした


とそそのかされたことによる

のかもしれません。

 



合祀された客神社には
イサナミオホナムチ
祀られていたようですね。

ところで、

客神社の旧座地は
「千家村」というそうです。

出雲国造(いづもこくそう)
千家(せんげ)家ゆかりの地
だといいます。

また、
万九千神社の北には
若宮(わかみや)神社があり


かつては、このあたりを

北嶋村と呼んでいたそうです。

出雲国造の
北島(きたじま)家ゆかりの地

なのだそうです。

 



また、

万九千神社の東には
富(とび)神社があります。

出雲の神である
八束水臣津野命(やつかみずおみつぬ)
を祀るといいますが、

 

どうやらほかにも

ふかいいわれがあるようです。

 

「富(とび)」は

「臣(とみ)」から

きているといいます。

 



南西には
求院八幡宮(ぐいはちまんぐう)
があります。

境内には、
鵠(くぐい)神社が
祀られているようです。

第11代・
垂仁(すいにん)天皇の御子・
誉津別命(ほむつわけ)
ゆかりの社だそうです。

30歳をすぎでも
言葉をしゃべれなかった

ホムツワケが、

鵠(くぐい・白鳥)をみたときに
「あれはなんだ?」と

はじめて口をひらいたといいます。

よろこんだ垂仁天皇は
鵠を捕らえるよう命じたところ

出雲のこの地で
捕まえたといいます。

また、一説には
出雲の神の祟りによって
話すことができないとされ、

ホムツワケが
出雲まで参詣にきたところ
話せるようになったといいます。

その帰路、
うつくしい姫に出会うのですが

姫が蛇体であったことに恐れて
逃げ帰ってきたそうです。



万九千神社の西の対岸には
雲根(くもね)神社があり、

八岐大蛇(やまたのおろち)
荒魂が鎮めてあるといいます。

祭神は、
ソサノヲイナタヒメ
だそうです。



ところで、
ホツマツタヱには

ヒカワ(簸川)に集っていた
ハタレ(反乱軍)について
こうありました。


むつのはたれは
やまたあり
ここちつかさに
ななはかり
むれあつまりて


6つのハタレには
8人の頭目がいて

9千人の将(つかさ)と
70万の兵が
群れ集まっていたといいます。

 



ほかにも、


すへてななます
ここちみな





むらがるる
なんますこちの
さまたげも





はたれきみ
なはかりこちお
むれあつめ


とあり、

「ななますここち」
「なんますこち」
「なはかりこち」

は、ハタレの総数
70万9千のことのようです。

もしかすると、
万九千神社の
「万九千」は

ハタレの総数
70「万九千」のこと
ではないでしょうか?



そもそも、記紀には
出雲に神々があつまる
という話はないといいます。

ですが、
ホツマツタヱには出雲に
ハタレ(反乱軍)が集まっていた
とあります。

これが、
出雲の信仰のもとになった
のではないでしょうか?

神議(かみはかり)とは
尊枡(かみはかり)であり

ハタレらが
7枡(ななはかり・70万)いた
ということではないでしょうか?



だとすると、
立虫(たちむし)神社も

ソサノヲが
しむのみき(血の幹)』に

立(たち)かえったことや、

朝廷に敵対する
きみのむし(君の虫)』を
断(たち)きったことから

 

「たちむし」という

のかもしれませんね。

 



もしかすると、
雲根(くもね)神社には

八「雲」(ハタレ)の「根」だった
天忍日命(あめおしひ)

祀られているのかもしれません。

だとすると、ここは

ハタレ蜂起の地

もしくは

ハタレ根らの本拠地

 

かもしれません。

 

彼らが討たれたことから
「神立(かんだち・尊断)」
というのでしょうか?

 



だとすると、
出雲大社というのは

ハタレの魂を鎮める
高野山(こうやさん)にちかい
のかもしれませんね。


出雲国の八重垣めぐり㊲ へ つづく

 

 

 

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