出雲国の八重垣めぐり⑦ ~稲佐の浜~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

神話の聖地・
稲佐の浜(いなさのはま)です。



出雲大社(いづもおほやしろ)から
西に1キロほどゆくと

あおい海と
うつくしい砂浜が
みえてきます。



出雲国風土記にのこる
国引き神話では、

支豆支(きづき)』の島を
引きよせた綱が

そのまま、
浜になったといいます。



浜からは、ひときわ高い
三瓶山(さんべさん)
南にみえます。

綱の一方はあの山に
ゆわえてあったといいます。

 

このときは、曇があって

よくわかりませんね。



三瓶山の
噴火による土砂が、

神戸川(かんどがわ)
はこばれて浜をつくり

島と陸をつないだ
ようですから、

神話もあながち
神話というだけでは
ないようです。
 



古事記(こじき)や
日本書紀(にほんしょき)では

朝廷の使者である
武甕槌命(たけみかつち)

出雲の
大国主命(おおくにぬし)

国譲りをせまった地でも
あるようです。

 



このとき、
タケミカヅチは

「否(いな)か然(さ)か」

をきいたことから、

「稲佐(いなさ)」

というようですね。



稲佐の浜のランドマークに
なっているのが

弁天島(べんてんじま)
です。

弁財天(べんざいてん)を
祀っていたといい

いまでも、
「べんてんさん」と
よばれるようです。



明治時代になると
弁財天ではなく

豊玉毘古命(とよたまひこ)
祀られたといいます。

海神(わたつみ)
龍神といわれるかたですね。

豊玉姫命(とよたまひめ)
父でもあります。



これも、明治時代の
神仏分離によるのでしょう。

おそらくは、もともと
大国主命の妻・
タキリヒメ(田心姫)

祀られていた
のではないでしょうか?

出雲大社では
本殿の西にある

筑紫社(つくしのやしろ)
祀られていました。



筑紫というように
九州・福岡の

宗像大社(むなかたたいしゃ)に
3女神のひとりとして
祀られています。

神仏習合の時代には
宗像3女神はよく
弁財天とされたようですね。

なかでも
タキリヒメは、

宗像大社でもっとも
神聖とされる

沖ノ島(おきのしま)に
祀られているといいます。

 



弁天島がいまのように
陸つづきとなったのは

昭和60年ごろと
いわれますが、

それまでは
海でへだてられた
沖合にあったようです。

ですから、弁天島も
沖ノ島や沖ノ御前と
いわれていたようです。

 



また、ここは
出雲(いずも)の語源でもある
日の沈(いずむ)地でもあります。

東(日の出)の
朝廷にたいして、

出雲は
西(日の入)を
大事にしていたといいますから、

大国主命の正妻である
タキリヒメが西の浜にいても
おかしくはないでしょう。


さらに、
深読みするならば

大国主命の娘・
高比売命(たかひめ)
かもしれません。

タカヒメは、このあたりに
暮らしていたようですし

ワカヒメ直伝の
楽器の名手だったようですから

琵琶をもつという

弁財天にちかいかもしれません。




弁財天が
海神にかわったのは、

おそらく
神在祭(かみありさい)
によるのでしょう。

出雲では、
旧暦の10月に

全国の神々が集まって
ひとびとの縁を決める

『神議り(かみはかり)』が
おこなわれるといいます。



なかでも、

神々がはじめにやってくる
稲佐の浜では

神迎(かみむかえ)神事が
おこなわれるようです。

そのとき、

浜から出雲大社まで
神々の先導をするのが
 

『龍蛇神(りゅうじゃじん)』
だといいます。

 

これは、
ウミヘビの神さま
だそうです。



この時期には
海の荒れる日がおおくなり

黒潮によってながされた
ウミヘビが浜にうちあげられる
といいます。

なかでも
背は黒で、腹が黄色の
「セグロウミヘビ」は
神聖視されていて

とぐろを巻いた形に
ととのえられ

龍蛇神として
祀るのだそうです。

水に住むという
「龍」の信仰からは
火難除け・水難除けとされ

地に住むという
「蛇」の信仰からは
土地の災難除けと

されるようです。



産卵期もあって
島根の浜にはよく

セグロウミヘビが
あがるのといいます。

毒性もつよいこの
ウミヘビは、

かつて
2匹で祀られていた
ともいうようです。

 

海からやってきた

龍蛇神を祀ることから、

 

海神や龍神のとされる

豊玉毘古命(とよたまひこ)

を祀ったのでしょう。



浜にあがったものを
縁起物とするのは

えびす信仰にも
通じるかもしれません。
 

「クジラ」も
浜にうちあがれば
漁村がうるおうとして

「えびす」と
よばれていたといいます。

弁天島の
かたわらには、かつて

クジラ島といわれる
岩礁があったようです。

いまではすっかり
砂浜に埋まっていて
みることができませんが、

イベントで
掘り起こされたりも
しているようです。



もちろん、
『えびす』といえば

事代主命(ことしろぬし)でも
知られています。

事代主命は
大国主命とタキリヒメの
子とされますから、

弁天島と
クジラ島には

母・タキリヒメと
子・事代主命が
祀られていたのかもしれませんね照れキラキラ

 

 

出雲国の八重垣めぐり⑧ へ つづく

 

 

 

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