【夕顔209-3】古文単語「人離る」
「古文を勉強して、なんの意味があるの?」
…そんなふうに言ったら、あなたの受験する大学の教授に
「なんて狭い学識なの!」って思われちゃうよ!
つべこべ言わず、あと少し、がんばろう。
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【漢字のイメージ】で覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
「…人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、
「さぶらひつれど、仰せ言もなし。暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」と聞こゆ。
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今回出てきた古文単語
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■【人離(ひとばな)る】…人気(ひとけ)がなくなる
■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形
■【に】…逆接の接続助詞
■【心とけ】…カ行下二段動詞「心とく」連用形
※【心解く】…気を許す
■【て】…単純接続の接続助詞
■【寝ぬる】…ナ行下二段動詞「寝ぬ」連体形
※【寝(い)ぬ】…寝る
■【ものか】…~ていいのか。~ことよ
■【惟光(これみつ)】…光源氏の腹心の従者
■【朝臣(あそん)】…五位以上の貴人の敬称
■【の】…主格の格助詞
■【来】…カ変動詞「来(く)」連用形
■【たり】…完了の助動詞「たり」連用形
■【つらむ】…~ているだろう。~ただろう
※【つ】…強意の助動詞「つ」終止形
※【らむ】…現在の婉曲の助動詞「らむ」連体形
■【は】…提示の係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【問は】…ハ行四段動詞「問ふ」未然形
■【せ】…尊敬の助動詞「す」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【さぶらひ】…ハ行四段動詞「さぶらふ」連用形
※【さぶらふ】…「控ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【つれ】…完了の助動詞「つ」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【仰せ言(おほせごと)】…ご命令
■【も】…添加の係助詞
■【なし】…ク活用形容詞「無し」終止形
■【暁(あかつき)】…夜明け前
■【に】…時を表す格助詞
■【参る】…「行く」の謙譲(惟光⇒光源氏)
■【べき】…意志の助動詞「べし」連体形
■【よし】…こと。主旨
■【申し】…サ行四段動詞「申す」連用形
※【申す】…「言ふ」の謙譲(預かりの子⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【なむ】…強意の係助詞
■【まかで】…ダ行下二段動詞「まかづ」連用形
※【まかづ】…「退出す」の謙譲(預かりの子⇒光源氏)
■【はべり】…ラ変動詞「はべり」連用形
※【はべり】…丁寧の補助動詞(預かりの子⇒光源氏)
■【ぬる】…完了の助動詞「ぬ」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)
◇ 今回は謙譲語にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「人離る」 ☆
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「…人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、
「さぶらひつれど、仰せ言もなし。暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」と聞こゆ。
問)傍線部の意味として、最も適当なものはどれか。
1.こんな離れた所で、すでにうちとけて寝ていたのだな。
2.なんてまあ広く間隔をあけて、ぐっすり眠っていることよ。
3.私のそばにも控えていないで、こんな所で寝ていたのか。
4.他に警備する者もいない所で、気を許して寝るものがあるか。
5.人里離れたこのような場所で、ゆったりくつろいで寝ていたな。
【人離る(ひとはなる)】
【自動詞:ラ行下二段活用】
…人のいる所から遠く離れる。人気(ひとけ)がなくなる
※Weblio古語辞典より
…なんとなく、漢字でイメージ湧きますよね!
それより注意してほしいのは、
「人―離れる」じゃなくて、
「人―離る」という基本形です。
(灬ºωº灬)
傍線部中の「寝ぬ」についても、
未然 寝(い)ね
連用 寝(い)ね
終止 寝(い)ぬ
連体 寝(い)ぬる
已然 寝(い)ぬれ
命令 寝(い)ねよ
という形になるので、
「ぬる」は完了の助動詞ではありませんよ!
1.こんな離れた(△)所で、すでにうちとけて寝ていた(△)のだな。
2.なんてまあ広く間隔をあけて(×)、ぐっすり眠っていることよ。
3.私のそばにも控えていないで(△)、こんな所で寝ていた(△)のか。
4.他に警備する者もいない所で、気を許して寝るものがあるか。
5.人里離れたこのような場所で、ゆったりくつろいで寝ていた(△)な。
【正解】 4
「…人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、
「さぶらひつれど、仰せ言もなし。暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、まかではべりぬる」と聞こゆ。
● 過去記事リンク
■来(く)
■つらむ
■せたまふ
■さぶらふ
■も
■はべり
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