【桐壺184-②】会話文中の「させ給ふ」の解釈☆
おはようございますあいです。
かく心細くておはしまさんよりは、内住みせさせ給ひて、御心も慰むべく、などおぼし成りて、まゐらせたてまつり給へり。
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【これまでのあらすじ】
今は亡き桐壺更衣のことを忘れられずにいた帝の耳に、更衣とよく似て美しい先帝の四の宮の噂が入ってきました。帝は四の宮に、熱心に入内を申し込みますが、母后は、娘の入内の決心がつかないまま、お亡くなりになりました。
今日は、「せ給ふ」の解釈についてです。
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【せ給ふ・させ給ふ】
①~させなさる(使役+尊敬)
②~あそばす(尊敬+尊敬=二重尊敬)
「せ給ふ・させ給ふ」の解釈については、これまで何度もお話してきましたよね!
あなたはもう、「せ給ふ・させ給ふ」の訳出のしかたを覚えていると思います。
ですが、大学入試本番で、①②の意味をすばやく見分けられる力(=国語力)をつけることこそ、今あなたに最も必要な学習能力なのではないでしょうか…?
【ステップ1】
「せ給ふ・させ給ふ」の基本の2つの意味を覚える。
↓
【ステップ2】
なぜ今回はこちらの意味になるのか、出てきたものから理解する。
↓
【ステップ3】
初出の古文の中で、「せ給ふ・させ給ふ」の文脈判断を練習する。
この、【ステップ2】を、ブログで取り組んでいってもらいます☆
(o^-')b
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かく心細くておはしまさんよりは、内住みせさせ給ひて、…
この部分、実は、直前のお仕えする女房や後見人、兄などが、
心の中で、あるいは直接進言する形で、四の宮の進退を慮(おもんぱか)っている場面です。
ということは…
「かく心細くておはしまさんよりは、内住みせさせ給ひて、…」
心中語あるいは会話文ととらえるべきです。
ところで、当時の結婚形態は、以前にもお話しました。
男尊女卑社会の中で、女性は自分で結婚に関して事を進められないことが非常に多いんでしたよね;;
この1点から考えると、今回の「させ給ひ」は、【使役+尊敬】でしょうか。
四の宮が自分の意志で入内するのではなく、
後見人や兄弟たちが、入内させる、と。
内住みせ / させ / 給ひ / て
訳1)入内 / させ / なさっ / て
ですが、ちょっと待ってください!
(`・д´・ ;)
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たしかに、古文常識からすると、【使役+尊敬】が妥当なのかもしれません。
しかし、もし「させ」が使役だとすると、「給ひ」の敬意の対象は誰なのか?という点の説明がつかなくなってしまいます。
つまり、「させ」が使役であれば、「給ひ(尊敬)」は、四の宮に入内させる主体に対する敬意になりますよね。
入内させるのは誰かといえば、兄の兵部卿宮、そしてここで相談している女房や後見人たちです。
自分たちに敬語を使ってる…(・Θ・;)?
どんだけオレ様やねーん!
(σ・∀・)σ
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内住みせ / させ / 給ひ / て
訳2)入内し / され / なさっ / て
(意訳;入内あそばして)
このように、「させ給ふ」を、【尊敬+尊敬(=二重尊敬)】でとらえると、
四の宮に対して、最高敬語を使うこととなります。
実は、古文の会話文中では、
聞き手に対しては、けっこう敬語が重くなる傾向があるんです!
なので、今回の「させ給ひ」は、二重尊敬として、
全体を四の宮に対する敬意と考えたほうがよいですね♪
(o^-')b
◇◆今回の古文解釈◆◇
会話文中では敬語が重くなる傾向にあります。
出てきたものから理解してくださいね♪
あいでした